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伝説のフォルクスワーゲン

'The Freewheeling'  Bob Dylan

彼がノーベル文学賞を受賞したことはまだ、記憶に新しいかしら。今も現役、フォークの神様。現存する伝説の男。の、セカンドアルバムに写り込んでいる、フォルックスワーゲンのワゴン車、のおはなし〜。

この車の所有者は、Jack Ubaldi。Florence Prime Meat というお肉屋の経営者で、1936年からニューヨークのグリニッジヴィレッジ、5 Jones Streetにお店を構えていた人なんだって。当時、Dylanは161 West 4 Streetに住んでいて、カメラマンのDon Husteinと近所で2枚目のアルバムジャケットを、全てが凍っているこの街で撮影していた。その一枚に映りこんじゃったのが、この肉屋のワゴン車。
1963年当時まだ15歳だった、肉屋の息子Rich Ubaldiは、父が毎朝肉の卸売り市場から運ばれてくる肉を店頭に並べた後、路上駐車の為パーキングメーターにコインを入れに行くのが彼の仕事の一つだったんだって。家族経営だもんね。その日もきっと、このニューヨークの凍てつく寒さの中、冷たくなったコインをメーターに入れていたのに違いない。その横で、時代の波を変える伝説レコードの一部になるのを知らずに。そして60年後の今も新聞の記事になるなんて、誰が想像できただろうか?

Billy Heller の記事(The Guardian 25th March 2023)を参考。

私達は何気に日々を過ごしている。毎日通る道。いつも行く近所のパン屋。特に買う気は無いのに、寄っちゃう雑貨屋。もしかしたら、あなたも知らないうちに歴史的瞬間の一コマに存在しているかもよ。

そしてその答えは、風の中の塵となって舞っている。


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