打ちのめされた時、必ず見る映画 ’Jackie Brown’
私のempowerment film(勇気をくれる映画)
監督 Quentin Tarantino 1997
日本を20代初めに出国して以来、数々の荒波を乗り越えてきたなぁと思う。「もうダメ」「もう私、お終いにしたい。」と感じる。そんな一人ぽっちの時を、幾度過ごしただろう。体を動かす気力もなく、海辺に漂流した動物の死体のごとく、半死状態になる。そんな時は最後の力をふりしぼり、DVD(ストリーミングなどない時代)/ディバイスを立ち上げる。画面一杯にJackieのスカイブルーの制服が 'Across 110th Street' (Bobby Womack & Peace)の音楽に乗って画面いっぱいに広がる。彼女は仕事場へ向かう。一点を見つめウォーキングエスカレーターを流れるように歩く彼女は上半身しか映っていない。それは世間様に見せている彼女の姿を象徴しているのだと思う。体の半分は私たちには見ることが出来ない。中年女性として生きるコアな部分を見せないのだ。
あー。この時点で私の感情は高揚し、パワーを貰っちゃってんのだ。
I've Got a Power(by Alex Sin)である。
もう私は死んだ躯ではではない。そう、私は自立した女性として生きているのだ。
Thank you, Jackie!
私は深く息をする。主人公、Jackieが降臨する瞬間なのだ。彼女は安月給の中年フライトアテンダンス。そのため運び屋に手を染めてる。警察に捕まったのを機に、シングル中年女の彼女は人生の大勝負に出る。
そこ、そこ。
Dead or Alive/死ぬか生きるかの瀬戸際の大勝負。
あるある、そんなドン底。
そんな時に、見る映画なの。彼女は誰も信じない。知っているのだ、中年女の孤独を。刑務所から出てタバコを買うため、バーに行く。出迎えた保釈屋に、「暗いところならどこでもいいわ。」と。盛りを過ぎた女性は、ボソッとつぶやく。苦労するとどっと老けこむのであるよ。だから明るいところではそんな姿を見せられない、大人の女のたしなみもある。
わかる、わかるぅ。
私は、孤高に生きる女性の生き方からいつも勇気を貰う。一人で地に足をつけて自分の人生自分で責任を取る。その潔さはとてもセクシーなの。そして、誰か必ずそんな人を救ってくれる人が凄いタイミングで現れることを、思い出させてくれる。
もっと自分を信用してあげよう。大丈夫、全てはうまくいく。
世の中に打ちのめされた日の帰り道、重い体を引きずってエスカレーターに足を乗せた私の頭の中には「Woo, ooh Woo, ooh〜」のメロディが鳴り響くのであった。
#映画にまつわる思い出
おまけ
歌詞の抜粋
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?