私が自己嫌悪に陥った時、観る映画 'Babette's Feast' バベットの晩餐会
監督 Gabriel Axel 1987
地味な映画よ、正直。なのにすごく美しい。余計な物を全て排除したような作品。映像は全体がモノトーンに近い作り。皮膚にじんわり伝わってくる、海辺の村の風、塩気を含んだ空気、自然も人も動物も全て一貫した清貧さ。
この作品に出会ったのはいつだったか覚えてないけど、随分と昔だったような気がする。10年も、20年も心に残っている映画は、熟成したワインと同じだなぁと思う。好きとか嫌いとか、そんなうわべだけのものじゃないよ、私の血肉になってる。
人生上手くいっている、眩しい人の気に当てられてつい「それに比べて、自分は、、、」って自己嫌悪になっちゃう時ない? あるよねぇ、誰だって! そんな時、主人公バベットの台詞に喝入れてもらってます。
「芸術家は決して貧しくなる事はないのです。」
そしてバリトン歌手のパパンは、パリで最高の料理人であったバベット、家族と故郷全てを失った彼女に、かつてこう言ったのでした。
「芸術家の切なる声が聞こえる。私に自分のベストを表現する機会を与えてほしいと。」
まじかぁ。かもなぁ。
その言葉が刺さっていたのだろう。彼女は幸運にも宝くじで当たった全ての賞金を、自分が与えられた才能を表現する為、最後の機会に全身全霊を注ぎ込むと決めた。
どんな過酷な状況に陥っても、姿勢を正して地獄の世を歩るかなければならない姿は、もしかして彼女を支えてくれていた人の、こんな言葉に支えられていたのかも知れない。
他人を通してしか自分を知る事は出来ない。他人と比べちゃうって事は、自分が欲しいものを他人が持っているという事。自分が何が欲しいのか解って良かったじゃん。
おまけ
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