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コロナ禍の卒業生が後輩たちに遺したこと

こんにちは ナカちゃんです。

卒業式まで、あと3週間。(登校日は、2週間です)

先日、中学校では、3年生応援集会がありました。

 皆さんの学生時代、今現役の学生の皆さんも、3送会ってあるのでしょうか?

 一昔前だったら、いろいろな企画があったものですが、今の勤務校ではそのような行事がなく、昨年度くらいから、2月の全校集会で「お別れ企画」を実施するようになりました。

 去年の卒業式は、コロナでの一斉休校の最中だったため、在校生も参加できない、本当に簡易的な卒業式になってしまいました。

 でも、彼らは、卒業式までに、すべての学校行事を滞りなく終えて、卒業式だけがダメになってしまった学年でした。言い換えると、修学旅行も、体育大会も、文化祭も、ほとんどすべての行事を予定通りに行うことができた学年だったわけです。

 今年の3年生は、出だしから躓きました。一斉休校が長引き、分散登校、午前授業、体育館での授業などを経て、ようやく通常の学校生活に戻ったのが6月でした。

 新1年生を迎える会、体育大会、修学旅行など、1学期に予定していた行事は軒並み中止や延期。2学期のホールで行う文化祭も、学校の体育館で簡素化されてしまいました。部活動は、中体連大会は、すべて中止、音楽部のコンクールも音源のみの審査、会場に行って演奏することができませんでした。


 先日、1,2年生から、「お別れ会企画」がある、と3年生に伝えた時、彼らは素直に喜べない表情を浮かべました。

「俺らは、1,2年生に、何もしてあげていない。

 何も、してあげられなかったのに、感謝されていいのだろうか。」

 意外な答えに、私は言葉が出ませんでした。

 今までの先輩たちは、たくさんの行事で後輩たちと触れ合う機会がありました。彼らが2年の時、3年生にしてもらったことを強烈に覚えていたのです。だから、3年生になった時、「ああもしたい、こうもしたい。」と思っていたはずなのです。

 自分たちは、何もできなかった。カッコいいところも、何も、見せることができなかった。

 大きな喪失感と、無力感を抱えながら、彼らはここまで過ごしてきたんだ。決して、彼らのせいではないのに、それぞれが責任を感じながら、この1年を過ごしてきたのだ、ということに私は気づいたのです。

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 数日考えた後、その集会の前に、私は彼らに伝えました。

 「君たちは、後輩たちに何もしてあげられなかった、と思っているかもしれない。直接、接する時間も少なかったし、行事でも、部活動でも、引退も、後輩たちと一緒にできなかったことばかりだったかもしれない。

 でも、君たちの「今できることを、全力でやるんだ」という姿勢や心を、後輩たちは、ちゃんと見ています。何もしてあげられないと思っているのは、自分たちだけかもしれないよ。不自由な日常の中でも、明るく、諦めず、何事もどうにかしようと努力してきたことは、必ず周りの人に良い影響を与えているはずです。

 だから、胸を張って、後輩からの感謝の言葉を受け取ってください。

 しっかり受け取ったよ!と、精一杯の声で感謝を伝えてください。

 君たちが、後輩たちの感謝に恩返しできる最後のチャンスが、この集会なのです。

 「情熱」「結束」「品位」「規律」「尊重」

 この5つを掲げて歩んできた1年。みんなの良さと、これまでの先輩から受け継いだ伝統を、後輩へつなげる、そんな集会にして欲しいと思っています。」

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 1,2年生の応援エールと歌に、3年生も、精一杯答えました。

「3年生の ありがとう が、3年間の中で一番大きな声だった。

   感動したよ!」

 たくさんの先生方から、声をかけていただきました。

「コロナ禍の3年生だから、可哀想。」と思わせてしまわないように、と私たちは懸命にやってきましたが、子どもたちの方が、困難な中であっても、こちらが思うよりずっと、しっかりと成長していたのです。

 卒業して何年か経った時、「あの頃は大変だったけど、がんばったよね。」とみんなで笑い会えるように、辛かったことも、自分の糧にできるようになって欲しいと願っています。


 卒業生の皆さん、思いが叶わなかった、悔しいこともたくさんあった1年間でしたね。

 でも、あなたの後輩たちは、歯を食いしばって困難を乗り越えてきたあなたの頑張る姿を、しっかりと見てくれています。そして、周りの沢山の人達が、あなたに勇気をもらい、励まされてきたはずです。

 卒業、おめでとう。

 かっこいい、先輩方へ。





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