![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69372287/rectangle_large_type_2_3e56b435857011a0b32392553ef58be2.jpeg?width=800)
【本】『おおきな木』を「今」だから読む
久しぶりの本の話です。
昨年末、サマリーポケットに預けていた本をすべて引きあげてきました。
公式のサイトはこちら。
預けていた本の中に、「おおきな木」が入っていました。
ああ、懐かしいな。
こんなにいい作品 何で教科書から無くなったんだろう。
かなり昔の教科書(自分が新卒だった頃だったと思う)に載っていたお話で、覚えている人も多いのではないでしょうか。
最近、noteでも、紹介されることが多い1冊です。
書評などでも、再び注目されているのかな、と感じます。
シルヴァスタインの絵本は、子供向け、というよりも 大人向けの作品として紹介されることが多いですが、英文はとても平易で読みやすいものです。
絵本ではありますが、絵本らしくない。
白黒のモノトーンだったり、緑、赤など、単色をちょっと使っているような挿絵も印象的です。
作者のシルヴァスタイン、どんな人だろう?と写真を見ると、想像を超えるようなマッチョな感じで驚いたことを覚えています。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69371674/picture_pc_c459b3035c49143920bbf783af80f09c.png)
英語の教科書に載っていた『おおきな木』ですが、私が持っている本は、ほんだきいちろうさんが日本語訳をしている本でした。
今手に入るのは、村上春樹さんの新訳になります。
英語の原書も比較的簡単に手に入ります。
りんごの木と、少年の話が最後まで続くお話です。
りんごの木は、ひたすら少年の要求に答え続けます。
「求める者」と「与える者」の立場が入れ替わることは、最後までありませんでした。
歳を重ね、老いていく少年。
与えることで喜びを感じ続けるりんごの木。
少年は、年を追うごとに、利己的になっていきます。
そして、りんごの木は、最期に自分自身の体までを少年に与えます。
この救いようのないラストに、中学生は呆然とします。
その意味を、彼らは理解できませんでした。
自分を犠牲にしてまで、与える必要はあるのか?
それが、愛というものなのか、
そもそも、愛とは何なのか。
答えのないまま放り出された感じ。
そして、大人になって再読して、
そのたびに 答えがわかっていく。
そんな一冊です。
子どもでも、大人でも簡単に読める英文であるにも関わらず、
どんな解釈の仕方もできる 不思議な物語だなと思います。
読み手の年代や、人生経験や、いろいろなフィルターを通すことに よって、見え方が違ってくる、プリズムのような絵本。
「無償の愛」が、与えるものに何をもたらすのか。
与えられるものに、何をもたらすのか。
現代であれば、地球と人類 という見方もできてしまうのかもしれません。
そんなこと、20年前には、思いもしなかったのに。
今、再びオミクロン株の脅威におののき、
疑心暗鬼に囚われてしまいそうな私達が、
もう一度 人間としての温かな感情を取り戻すために
必要としている「気付き」を
今、この本は、私たちに与えてくれると
思うのです。
サポートありがとうございます。頂いたサポートは、地元の小さな本屋さんや、そこを応援する地元のお店をサポートするために、活用させていただきます!