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ニューヨーク摩天楼〜大人の恋 『めぐり逢い』

中秋の夜に明かりを消して満月を見ていたら
浮かんだ映画のセリフがありました。

誰のせいでもない。私が上ばかり見ていたから。天国に一番近い場所…あなただけを

この時、彼女が見ていたのは月ではなく、
エンパイアステートビルの最上階102階
あの頂点で待つ彼との半年ぶりの再会を喜び、
上を仰いだ途端、彼女は事故に遭います。

これは映画の最後のシーンで、彼女が彼に、
事故直前の愛は今もあると伝える台詞です。

20世紀の恋愛映画
先に音楽を知って、映画を見る事があるほど
旋律が美しい。この映画も私にはそうでした。

映画『めぐりあい』の始めは
共感できる人物じゃありません。

ケーリーグラント扮するニッキーは資産家と婚約し、中年になっても仕事につかず女性が貢いで婚約も世界の話題になるプレイボーイ。
デボラ・カー扮するテリーは元歌手で実業家と婚約。独身最後の優雅な旅の最中。

豪華客船のクルーズで出会った二人は、船上の数日間で、今ある富を捨てる道を選びますが、きっかけは途中で寄港したフランスの祖母との時間でした。

ニッキーは画家を目指して挫折した過去を持ち、祖母は孫の繊細さを心配して、テリーに孫を託します。

別れる前に祖母が弾くピアノの曲が
映画の主題曲
です。

82才の元ピアニストが老いた手で弾く切ないメロディに、歌手のテリーは思わずフランス語で歌詞を口ずさむ。

この1時間あまりで、二人は共に
新たな愛に舵をとり始めます。
絵描きと歌手。人間にとって芸術は心の糧に欠かせないのでしょう。

でも経済という現実問題があります。
ニックもテリーも自分の年齢では
人生最後の決断になる
のがわかっている。

二人は半年の時間を置き、半年後にエンパイアーステートビルで会う事にします。

一度も働いたことがないニックは絵筆を持ち、結婚に相応しい男になる為、看板描きをしつつ自作の絵に向かい、
テリーはクラブ歌手に戻る。

そして半年後、それぞれエンパイアーステートビルに向かいますが、
テリーはビル目前で事故に遭い再会は叶わず、
運命はまた思わぬ道を二人に歩かせます。

何も知らぬニックはテリーを忘れようと絵を描き、テリーは歩く日を信じて車椅子の教師として生活を立て直す。

全体にコミカルをベースに進みますが、
神様が二人に用意した再会の場面と、
ラストシーンは秀逸です。

上を仰ぎ、幸せを期待し胸を躍らせても
人生は思い通りにいかない


それでも、自分が愛するものを支えに
前を向けば、なんだってできる

愛は人を歩かせると思い出した夜でした。

この撮影時、ケーリー・グラントは50代、
デボラ・カーは30代

若くないという設定通りのふたりです。

私も含め、若くないだれかの心をうるおしてくれたらうれしいです。

この映画の記事をシリーズで書かれている先人がいらっしゃいます。
シーンの抜粋もあり、祖母のピアノとデボラの歌、ラストシーン、脚本や製作上の話もあり、とても興味深い本格的内容です。

「人生を素敵に旅しよう」というnote名の通り、記事の話題は世界に渡っており、アクティブな方と想像させて頂いております。


この度もご訪問頂きまして、
ありがとうございました。

いただいた、あなたのお気持ちは、さらなる活動へのエネルギーとして大切に活かしていくことをお約束いたします。もしもオススメいただけたら幸いです。