NODA・MAP『フェイクスピア』の余韻
春頃からことごとくチケットを逃したのに、ありがたいことにリセール&追加販売で超絶良席を確保できた上、2回も観劇できまして、これはもう、noteに書いてね ということだと思いました。
今日は、泣く子も黙るNODA・MAP 野田秀樹さんのお芝居『フェイクスピア』を観てきたお話です。
東京での公演を終え、今日7月25日が大阪での千穐楽。このご時勢の中で無事に幕が上がり、約2か月の公演が終わって、本当に本当に良かったです。
●ご安心を!全ての公演は終了しましたが、この記事ではストーリーのネタバレをしません。
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そもそもNODA・MAPと野田秀樹さんって?
野田秀樹さんは、日本を代表する劇作家であり演出家です。( 劇作家とは、演劇の脚本を書く方のこと。)
また、ご自身が作・演出した舞台に出演することもあります。今回の『フェイクスピア』にも出演されていました。
テレビにはほとんど出演されません。YouTubeで検索すると喋ってる様子の映像が出てくるかと。
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わたしのNODA・MAP歴 & 観劇歴
初めてちゃんと作品を観たのは、NHKで放映された『エッグ』でした。2012年の公演ですね。
このビジュアルからもなんとなく伝わりますでしょうか。ストーリーのテーマはスポーツ、そしてオリンピックです。
敬愛する椎名林檎女史が音楽を手掛けられ、大好きな深津絵里さんが出演、しかも、歌うという!
テレビや映画ではなく、舞台の深津さんが観てみたい!生歌を聴きたい!と、本当に劇場で観たかったのですが、上演当時は猛烈に仕事が忙しかった頃で、チケットが全く確保できず、涙をのんだのでした・・・。
数年後、テレビで観ることができて本当に嬉しかったですが、強烈すぎる結末、あの衝撃は忘れられません。未だに、録画を何度観ても、秀逸だなぁ、と思います。まだご存知ない方は、ぜひ!
なお、昨日ふと思い立ち、マイ林檎女史アーカイブから、2014年のNHK「SONGS」の録画を観ました。
そうです、あの「どうなる?東京五輪」の回です。
2014年です。そう、まだ全てが始まる前・・・終始しびれましたよ。
林檎女史が どんな想いで その貴重な創作の時間と才能を費やして参加してくれていたか・・・ほんとにもう(涙)。
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また、ずっと心残りでいるのが、亡くなってしまった中村勘三郎さんと野田秀樹さんが初共演して、オーディションで選ばれた、太田 緑 ロランスさんと、当時大学生だった黒木華さんとのWキャストで行われた、3人芝居『表に出ろいっ!』を観に行けなかったこと。
上演は2010年9月。なぜかどこかでフライヤーをもらい、ものすごく気になっていたのに、観に行きそびれました・・・。
でも、このnoteを書こうと思って下調べしていたら、なんとDVDになっていると知って、無事にポチりました。10年越しに観られる!楽しみです!!!
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念願叶って、劇場で初めてNODA・MAP作品を観たのは、2017年の『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』でした。
野田さんから、亡くなってしまった中村勘三郎さんへ捧げられた作品であり、特に宮沢りえさんのお芝居が観たかったのです。
チケットも奇跡的に1枚だけ取れて・・・!行けて良かったです。
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舞台演劇全体の観劇歴で言えば、正直そこまで経験豊かではありません。
本当に、年に1〜2本というところ。
ちなみにここ数年だと・・・
・イッセー尾形さんの一人芝居(2020年末)
・渡辺謙さんによる英語でのミュージカル『王様と私』(2019年9月)
・シティーボーイズ& ASH&Dメンバーのライブ(2019年夏)
実は、シティボーイズはここ15年ほど欠かさず観てます。大好きです。(ムロさん、売れて良かったです)
イッセー尾形さんも 10年程前、今はなき原宿クエストホールで「これからの生活」シリーズを上演してた頃から好きです。ライフワークとしてずーっと続けてらっしゃる一人芝居、圧巻なんですよ。
あとは、映画館で楽しんでます。
シネマ歌舞伎で、『京鹿子二人娘道明寺』や『阿古屋』などを。
つい先日は、念願叶って『野田版 研辰の討たれ』も観てきました!
息つく間もなく喋りまくり、一人汗だくで動き回る勘三郎さん、素敵すぎました。笑って泣いてピリッと辛口で、いい作品でした、ほんとに。
英国ロイヤルバレエシネマでは、昨年、先日プリンシパルになった金子扶生さんの主演公演『眠れる森の美女』や、3作品のトリプル・ビル『コンチェルト/エニグマ・ヴァリエーション/ライモンダ 第3幕』を観ました。
ロイヤルバレエシネマは特に、旧作でもいいので、ぜひまた上映してほしいのですが、なかなか難しいのでしょうか。
現実を忘れて、キラキラした夢のように美しいバレエの世界へ、ロンドンのロイヤルオペラハウスへ ひとっ飛びできて楽しいのになぁ。
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俳優の破壊力
前置きが長くなりました。『フェイクスピア』観劇のお話を。
今作は、メインキャストの方々全員、ぜひ生でお芝居を観たかった方ばかりだったので、客席で観ていて単純に圧倒されました。
とにかく、とにかくすごい。カッコいい。
”本物”の役者さんの底力が、エネルギーが、舞台の上から、終始、客席に降り注いできているようでした。
しかも。
お一人でも圧倒的なのに、それが掛け合わされたときの、ものすごさといったらもう!!!!!
本当に、このキャスティングで公演してくださったことを、心の底から、奇跡だな、と思いました。誰一人として代えがきかない。最高すぎます。
加えて圧倒されたのが、終始躍動する役者さん一人ひとりの身体能力。
わたしの方が年下な方ばかりのはずなのに、絶対にこんなに動けない。
その動きに、声に、呼応するかのような客席の一体感にも、幾度となくぞわぞわっとしました。まさに呼吸を合わせて、あの空間を一緒に作っている感覚。
“生もの”と呼ばれる所以を、こういうことか!と、くっきりはっきり体感しました。
なにより、本当に久しぶりの ”LIVE” 。これこれ!これですよね!と。
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”アンサンブル”というかけがえのない存在
今回の観劇で、本当に本当に今さらなのですが、初めて、目が離せない!と思ったのが、”アンサンブル”と呼ばれる役者の皆さまの動き。
メインキャストの脇を固め、ときには大事なセリフの応酬、ときには舞台美術、ときには音楽、と変幻自在。黒子となり主役となり、お芝居の世界でさまざまな役割を担っていて、決して欠かすことのできない方々です。
もしかすると今はまだ、メインキャストのように誰もが名前を知っている、という方々ではないかもしれません。
でも、アンサンブルの彼らがいてくれたからこそ、観客であるわたしは、最初の最初から、目にもとまらぬ速さで、お芝居の世界へぐぐぐーっと連れ去られたんだなぁ、と感じました。
だから2回観に行って2回とも、終始、メインキャストもアンサンブルも、あっちもこっちも全てのお芝居を観逃したくない!と、必死でした。
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エンドレスで聴けるサントラの美しさ
今回の『フェイクスピア』、音楽を原 摩利彦さんが担当されてたことも、個人的に嬉しかったことのひとつでした。
わたしが原さんと原さんの音楽を知ったきっかけは、2017年の「情熱大陸」。
もともとわたしは、洋邦、映画やドラマを問わず、サントラが好きでよく聴くのですが、番組で原さんの活動を知って衝撃を受けたと同時に、”自然の音”を音楽に取り入れる美しさに気づきました。
その後、原さんの作品ではないのですが、坂本龍一さんのJ-WAVEの番組『RADIO SAKAMOTO』で、自然の音をサンプリングした作品を耳にしたり、習っている茶道でも、風の音や釜で湯が沸く音など、自然の音を味わうってことをするので、ずっとなんだか気になっています。
『フェイクスピア』のサントラ、AppleMusicほかで配信されていますので、あえてぜひ、ゆるっと聴き流してみてください。お芝居を観ていない方にとっても、とても心地よい音楽だと思います。
そしてぜひぜひ、原さんの過去作品にもふれていただけると嬉しいです。
美しいですよ。
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高橋一生さんが 好きすぎる
わたしが『フェイクスピア』を観に行きたかった最大の理由。主演が高橋一生さんだったからでした。はい、もう10年以上のファンです。
しかも、今回は野田秀樹さんの作品に、初出演・初主演。
これはもう、何が何でも絶対に観たいに決まっています。
とはいえ、わたしが過去、一生さんの出演舞台で、何とかチケットを確保して観に行けたのは、2作品だけ。どちらも2016年の公演です。
白井晃さん演出で、吉高由里子さん、キムラ緑子さんとの3人芝居だった『レディエント・バーミン』。
そして、蜷川幸雄さん演出の『元禄港歌-千年の恋の森-』。
わたしにはファンのくせに、少々変なこだわりがありまして。
一生さんが出演するから無条件に観に行く!というのとはちょっと違い、ちゃんと観ないと一生さんに失礼だ、と勝手に思っています。
なので、演目そのものの内容に興味があるか、とか、劇場はどこか、とか、演出家や共演の皆さんはどなたか、みたいなことをあれこれ確認した上で、チケットを狙うどうか決めています。
決してお安くない、簡単には確保できないチケットですから、わたしよりももっと熱烈にご覧になりたい方へは、どうぞどうぞ!という気分になるんです。
そんなわけで、縁あってチケットが取れた過去2作品は、どちらも非常に良かったです。劇場で楽しめて本当にラッキーでした。
そして、5年ぶりの今回。
実は、2回観に行けたうちの2回目が、まさかの最前列。
幸い、ストーリー全体を理解できていたため、舞台全体を観つつも、ついつい、本当に目の前、すぐそこにいらっしゃる一生さんを見つめてしまいました。
細かな表情、視線、息遣い、手の動き、何気ないしぐさ、したたる汗まで、瞬間瞬間、はっきりと認識できてしまいまして・・・それはそれは、もうとてつもなく強烈な鑑賞体験でした。
テレビドラマや映画でも存分にアップで映るんですけど、やっぱり、全然違うんですよねぇ・・・
本当に運が良かったです。
そして、やっぱりこの方の演技は素晴らしいし、素敵な人だ、と心底思ったのでした。
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野田秀樹さんも 好きすぎる
そしてもうお一人。
まさか今回、こんなに自分が野田秀樹さんという人を好きになるとは思いもしませんでした。その才能にすっかり魅了されてしまった、というのが正確かもしれません。
わたしが歳を重ねたからでしょうか。自分で自分に驚きました。
劇中の野田さんの、強烈すぎるキャラクターの挙動に、もう完全に面食らいました。しかも2役やってらしたけど、どちらも。
65歳(!!!)とは思えない、よく通る個性的なお声で、うわわわわーっとセリフを淀みなく喋り、舞台の端から端まで躍動しまくるんです。そもそも、お姿が!よく似合っていて素敵で。
これまで勝手に抱いていた"穏やかで知的な方"のイメージががらがらと崩壊し、"穏やかだけど狂気を秘めてる 知的な やばい方"となりました。(全力で褒めています。) 野田さん、素敵すぎますね。
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もちろん、当たり前ですが、終始セリフにがっちり心を掴まれていました。
だから今回は人生で初めて、文芸誌を買いました。
『フェイクスピア』の戯曲(脚本ぜんぶ)が掲載されていたからです。
思えば、お芝居の戯曲を読みたい!と強烈に思ったのも、初めてのことでした。しかも観劇に行く前から、読みたかったんです。
タイトルと、公式ページ内「イントロダクション」を読んで、興味を持ちました。
ネタバレ回避のため、実際に目を通したのは観劇後でしたが、買って良かったです。戯曲を読むのって、とても面白いですね。
読み進めながら、役者さんお一人おひとりの顔が浮かび、その声でセリフが再生されていくよう。あの日に観た体験がリピート再生されるようでした。
劇場まで観に行きたかったけど行けなかったよ!という方、『新潮』2021年7月号で読めます。本屋さんでお取り寄せできます。ぜひぜひ。
そして、野田さんのエッセイが読めたり、チケットの先行予約ができたりするという、野田地図の会員になったのは言うまでもありません。
無料なので、ご興味あればぜひこちらからどうぞ。
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時間と場を共有しないと、味わえないものがある
本当に久しぶりに、観客の入った大きな劇場で、お芝居の舞台を観ました。
友人・知人を誰一人誘うに誘えず、一人黙々と直行直帰の観劇でした。
仕事が佳境の頃で、体調もへろへろ状態だったため、作品を受け止めきれる自信がなかったのですが、本当に、行って良かったです。
やっぱり生配信とは全く違う、観客とキャストとスタッフとが、時間と場を共有して生み出す ”たった一度きりの生の空気” を体感して、味わって、心が震える感覚を思い出しました。
そして、なんだかふわーっと生き返るような、大きな感動を覚えました。
改めて、公演に携わった全ての方に感謝を。そして心からの賛辞を。
【おまけ】
NODA・MAP もうすぐWOWOWでやるよ!!!
大変です。一気に3作品も観られますよ。
そして、『フェイクスピア』も、放映決定です✨実は劇場で観ていた日が収録日だったので、なおさら嬉しいです。
え、アンテナついてない!WOWOW観られない!って方、ご安心を。
なんと今は専用アプリで、すぐに加入して観られちゃうんですよ!!!
我が家もアンテナついてないので、アプリで観ます!!!!
記事を読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは書籍購入などに使わせていただきます。何よりそんな広く優しい心をお持ちの方には きっといいことがあるはず✨メッセージも合わせて書いていただけたら必ずお返事いたします✏︎