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『母の周りは悲鳴が絶えない?そんな母が愛おしい。今日は母に感謝する日です。』



「ママ、トイレに行きたいーっ」

幼い頃、母に連れて行って貰ったデパート。

『え、なおみちゃん、我慢出来る?』
「出来ないかも…。」

つい口走った、私のこの一言が
母に火をつけてしまった。

私の手を握り、
闇雲に走り始める母。

ゴーーーーンっ!!
『ぎゃあっ!!』

悲鳴が聞こえ周りの人が振り返る。

透明なガラスのドアに
母が凄い勢いで突っ込んで行ったのだ。

『ごめんなさい、見えなくて…』
ぶつけて赤くなるオデコを押さえながらも
反対の手では、私の手をギュッと握りしめる。

『なおみちゃん、大丈夫?』
「え、でも、ママのオデコが…」
『もうすぐトイレだからね!!』

一生懸命になったら人の話は聞かない。
それが母だ。

そして、いよいよトイレを発見。
私を引きずりながら、突っ込んで行く母。

ところが、周りを見れば男の人ばかり…

「ママ、ママ、違う、違う…」
『あら?このトイレ個室が少ないわねー』

たまりかねたトイレの中の男の人から、
「すみません、ここ男子トイレですけど」
『えーえーえーっ!!』




母は昔から、こんな感じ。
私の時は
透明のドアに自分から突っ込んで行った母だが…

姉の手を引いて道を歩いている時は、
自分だけ電柱のそばを通って、
手を引いていた姉は、
「うぁーーっ」
そのまま電柱に追突し鼻血を出した。

何かに集中すると周りが見えなくなる母。
いつも一生懸命。
手を抜くことが出来ない。
なのに可愛らしい失敗ばかり。

そんな母が愛おしくて仕方がない。




56年前の今日。
そんな母が私を産んでくれた。
失敗だらけの毎日を重ね、
泣いて笑い、時には怒りながら…
一生懸命に育ててくれた母。

今日は母に感謝する日。
ママ、有難う。
長生きしてね。

コロナで丸3年実家には帰らせて貰ってないけど…
そろそろ家に入れて下さい!!

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