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共創のはじまり

真夏の炎天下の昼下がり、東京都内の会議室に次々に人が集まってきます。会議室前方のスクリーンには「共創の達人」の文字が映し出されています。スクリーンの中での笑顔とは対照的に、神妙な面持ちのおじさん2人がパソコンやタブレットの画面を見つめながら資料投影の確認をしています。

作家・公認会計士の田中靖浩先生とがくちょの通称で知られる仲山進也さん(以降はがくちょ)の共創で開催されたのが「共創の達人」セミナーでした。

田中先生は会計業務をやらない会計士として知られ、ベストセラーになった「会計の世界史」の著者でもあります。がくちょはチームビルディングの第一人者として知られています。

また、田中先生は2015年7月に「良い値決め悪い値決め」を出版し、その1ヶ月後にがくちょは共創価値のつくり方をテーマにした「あの会社はなぜ『違い』を生み出し続けられるのか」を出版しています。


「共創の達人」になる前提条件

田中先生と誰かがコラボしたセミナーでは、たいてい田中先生の話から始まります。この日も先に口を開いたのは田中先生でした。

経営の悩みは「人間関係」と「お金」の2つに集約されます。

これが何を意味しているかと言いますと、なぜこのセミナーが2人のコラボによるものかを伝えているんですね。このセミナーの講師2人で経営の悩みを解決できますよと言っているわけです。人間関係の悩みをチームビルディングで解決し、お金の悩みを会計ナレッジで解決すると。

田中先生の話は、言葉はわかりやすいのですが、その言葉のウラまで読むのがオススメです(にっこり)。

こんな話から始まると「経営」の話かなと思うじゃないですか。ところがどっこい、次からは「経営」のキーワードはもう出てきません。

フリーランスは一人で仕事をすると思うかもしれませんが、フリーランスにこそチームビルディングが必要なんですね。でも、いきなりそれを言ってもわからないと思うので、なぜフリーランスにチームビルディングが必要なのか、なぜフリーランスに共創が必要なのかをお話したいと思います。

今から話すことは、なぜフリーランスにチームビルディングが必要なのか、なぜフリーランスに共創が必要なのかということですよとガイドを示しているんですね。こう言ってくれれば、この後の話も理解しやすいですね。

でも、田中先生の話はもう少し深読みしておいた方が楽しめます(笑)。ワタクシの深読みはこうです。

フリーランスは経営と現場の両方を担当することになりますですから、フリーランスは経営者として「人間関係」と「お金」の両方をうまくマネジメントする必要があります。ただし、今日は、そのうちの人間関係、特に誰かと一緒にプロジェクトを行う共創の必要性にフォーカスした話ですよというガイドが示されました。ということは、いずれ、どうやって共創するかの話もしますよという予告でもあるに違いありません。

おっと、導入部分だけでこんなに書いてしまいました。ここから先の本論はサクっといきたいと思います(笑)

このセミナーを届けたいのはこんな悩みがある人ですと、告知文にもあった内容が紹介されました。

・「一人で抱え込むクセ」がある人
・「営業」が苦手な人
・「働くことがつらい」人
・「安売り」から抜け出したい人

3つめの「『働くことがつらい』人」は他に比べて異質な気がしますが、まあ気にせずいきましょう。

これらの悩みが解消された理想の姿が「共創の達人」であると、早々にセミナータイトルが回収されました。そして、「共創の達人」を体現しているのが「がくちょ」であり、その特徴として挙げられたのがこれです。

・応援される
・感謝されることが増える
・場づくりがうまい
・売上単価が自然とあがる

ここで一気に憧憬の視線ががくちょに集まります。

「共創の達人」になりたい気持ちがMAXに高まったところで、田中先生が力強く言いました。

皆さん、それぞれに何か秀でた技術や芸をもっていると思います。でも、それとお金儲けができるかは別の話です。お金儲けは才能と技術です。この技術の中に共創が含まれます

これを聞いて、田中先生が「共創の達人」を増やすことに並々ならぬ意欲を燃やしている背景をしかと受けとめました。

お金儲けができないと、せっかくの技術や芸を世の中に活かし続けることができません。ですから、お金儲けは大事なんです。でも、実際にはそれはとても難しいのです。

お金儲けが技術であるならば、頑張れば習得できるという希望がわいてきます。そして、お金儲けと共創は別のものではなく、密接に関わるものだというのです。ですから、「共創の達人」になることがとてつもなく大事ということになります。

ここからがいよいよ田中先生の本領発揮です。「売り物」と「働き方」の観点で、歴史的にどんな変化が起こってきたのか、今、ワタクシたちがどんな時代に生きているのかが語られました。この壮大なスケールの視点に立つと、「共創の達人」になる前提条件が見えてきます。

「共創のノウハウを知れば共創ができるんじゃねえの?」「共創といえばチームビルディングじゃねえの?」と一瞬でも思ったことがある自分を猛省しました。何ごとも前提条件を満たしていなければ、何をやっても成果は出ないのです。

田中先生がこの日伝えたかったのは「共創の達人」になるための前提条件だったのです。

田中先生のパートの最後には、この日の参加者に対するサプライズ特典も発表されました。

がくちょに学ぶ「共創の達人」

ここからは「共創の達人」の見本であるがくちょからのお話です。まずは、何度聞いても摩訶不思議ながくちょの自己紹介からです。

私はこれまでにも何度かがくちょの自己紹介を聞いていますが、同じ人の自己紹介なのに、ちょっとずつ話す内容が違っています(笑)。なので、毎回、「へええ、そんなことが!」という驚きがあります。

この自己紹介を聞けば、がくちょが「共創の達人」であることは否応なしに理解できます。が、しかーし、理解はできても、「共創の達人」になるためにがくちょから学ぶというには程遠く、自分に活かすための手がかりが全くつかめません(泣)

一筋縄ではいかないキャリアゆえ、いくらでも話せる長めのがくちょの自己紹介の後は、おなじみの仲山考材スライド集(勝手に命名)から、「共創」に関連するスライドが何枚か紹介されました。

その中に「共創の達人」と「分業の達人」を対比したスライドが含まれていました。こうした対比によって、「共創の達人」への手がかりにわずかに近づけたような気がしました。おそらくはただの気のせいでしょうけど(汗)。

「共創のチームづくりに失敗するパターン」として紹介されたスライドに書かれた「共創はメンバーの集め方が超重要」というポイントは、深く胸に刻んでおきたいことでした。

共創のはじまり

東京開催のセミナーにも関わらず、新幹線に乗って遠地から駆けつけた方が複数名いました。しかも、その方たちは講師と参加者に地元のお土産を持ってきてくれたのです。そのお菓子のおいしいこと、おいしいこと。このお菓子のおかけで、参加者同士の会話がはずんだことは言うまでもありません。

開始時刻より早めに会場に着いた参加者(誰とは言いません)は、真夏の晴れ渡った空の下で会場入口の案内係を担当しました。実際には日陰に立っていたので、それほど大変ではありませんでした(笑)。

セミナーでは、次の質問への回答がなされました。

「お声がかかる」自分になりたいですが、一番はじめに「お声がかかる」状態になるイメージがもてません

この質問への田中先生からの回答は、「お声がかかる」人になるための大きなヒントを与えてくれました。

セミナーの満足度は、テーマや講師が誰であるかだけに起因するものではありません。どんな参加者がいるかにも大きく左右されます。今回のように、参加者からのGood Questionによって、あらかじめ講師が準備していた内容以上のものを講師から引き出せることがあるからです。

セミナー終了後は、参加者全員がキビキビと動いて会場の片付けを行い、あっという間に片付けが終わりました。

振り返ってみると、とてもいい場でした。それは、講師は主催者で参加者はお客さんというような区分けをせず、そこにいた全員が楽しもうとした結果、自然と共創した場づくりができたからだと思います。

共創のノウハウを知らなくても、チームビルディングをしなくても、共創のはじまりはこうやっておこるんだという実例を見た気がしました。

「どこから?どこから共創?」(海ちゃんの声で)
その答えは、面白そうな人がいる場に行けばきっと見つかります。


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