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エッセイ/移住してみると

山口新聞 東流西流掲載 2024.1.6

私は大学卒業した3月に入籍し、結婚3年目になる。23歳で結婚した私に同世代は早いと驚き、年上の方々には時代錯誤やねぇと言われることも多いが、この人以上の人はいないと私の直感が判子を押す以上、それを信じてみようじゃないかとえいっと覚悟を決めたのだ。夫は埼玉県生まれの都会っ子。結婚を機に阿武町に移住した。海無し県で育った彼は、なんと阿武町で漁師を始めた。元々生き物が好きだったらしく、地元育ちの私でも初耳の魚の名前をどんどん覚え、最近は手に入れた魚図鑑をキラキラした目で眺めている。遠距離交際をしていた頃は、魚が好きだとは知らなかったし、ましてや都会からこんな田舎に移住するとは考えもつかなかった。都会にあまりない、人との距離の近さもいつの間にやら楽しんでいるし、立派な畑を作って野菜作りをするし、私は彼の新たな一面を阿武町で日々発見している。環境が変わるとこれほど変化するのか、はたまた元々彼が持っていた一面が発揮されただけで、それに私が気づかなかったのか。とにもかくにも、休日に私より早く起きて畑に行き、ブロッコリーの葉っぱにこんくらいの芋虫がいたよと嬉しそうに言う声で目覚める私はどうやら夫の魅力探しに忙しく、飽きなさそうだよ、とまた私の直感が判子を押す。


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