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不安は自分がつくりだす(2)~頭思考から体思考へ

不安サイクルから脱出するには、過去に基づく「頭」思考から、今を生きる「体」思考への切り替えが鍵になります。思考を頭から体へ切り替えることで、根源となっている「怖れ」の実態を感じ、真正面から向き合うことが可能になります。

単に、頭思考と体思考と言われても、ピンとこないかもしれませんね。「体で考えるってどういうこと?」「いつ頭で考えていて、いつ体で考えているのかわからない。」「二つの間を行ったり来たりする。」などと、いろいろ疑問も湧いてくると思います。

一般的に、頭で考える人は「左脳」優位で, 分析したり、解明したり、整理したり、合理的に物事を進めたりする能力に優れていると言われています。 頭思考の人のイメージは、頭脳明晰、仕事がデキル人。頭で分析するのが得意です。頭で考えて、今起こっていることを分析する時に軸になるのは、過去からのデータです。どこかで読んだこと、学んだこと、言われたこと、聞いたことや、自分が実際に体験したことをもとにして、今を分析しようとします。 

この思考方法は合理的で、情報というデータを使うだけではなく、「過去に証明されているんだから」とか、「誰々もそういっていた」とか、「前にこれでうまく行ったから」という確固としたバッキングを使うことで、安心できるような気がします。しかし同時に、情報の正確さをしっかりと把握できていない場合もありますし、この思考方法では、過去からの思考や誰か他の人の言葉や考えに自分の考えを当てはめてしまうことで、新しい可能性や他のオプションが見えなくなってしまうこともあります。

「頭で分析」する頭思考を続けてしまうと、 「今、ここで」起こっていることが、体で感じられにくくなります。「変化」にすぐに対応できにくくなり、不思議なことに、頭で考えると、不安な方へ、不安な方へと駆り立てられやすい。うまくいかないんじゃないだろうかとか、今はうまく行っていても、どこかでダメになるんじゃないだろうかとか。底無しの不安に囚われてしまう。「考えれば考えるほど。。。」っていうアレです。

では、体思考の人のイメージはどんなものでしょう?「頭で考える人」に比べて、すぐには出てこないのではないでしょうか?「体で考える人」は、体で感じとることが全てです。体の声を優先して、行動する。今、私の体はどう感じているのか?そこが全ての基準です。  私たちの体の中では、右脳も左脳も共に働いていて、常に感覚、感情、思考、動きが同時に起こっています。心身一如というように、体は心を動かし、心は体を動かす。体思考のイメージは、掴みどころがないように思えますが、ひとところに留まらない広がりや、突発性、即興性、今、ここでの絶対性などが感じられます。 

ここで再度、「不安」を「体思考」の視点から見てみましょう。

「不安」を感じた時、あなたの体に何が起こっているのかを、まず察知して、じっと不安の感覚の中に入ります。 胸が閉まる?頭が熱くなる?起こってくる身体反応を感じてみてください。この体の感じはどんな感じ? 

自分の体と、さらに深く対話してみます。

私はどんな気持ちなの?どんな感情がここにある?この中にいることをどう思っているのだろう?

自分の呼吸を感じます。

思い出される風景はどこなのか?どんな色が、形が、質感が自分の不安の中に立ち現れてくるのか。

ただただじっと、自分の「不安」の中にいる、それだけです。

そして、不安の奥にある怖れに向かいます。一体自分は何を怖れているのか?

「怖れ」の匂いを嗅ぎます。その根源にあるものを感じます。

体の声に耳をすまし、体で思考すると、今まで自分にのしかかっていた「不安」の本質が見えてきます。不安という漠然としたコンセプトの影に隠れて見えてこなかったディテールを体で感じることで、視点が変わり、一つだと思っていた選択肢が実は複数あることにも気がつくでしょう。

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