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はがゆくて、夏[2024/6/19(水)〜6/25(火)]


2024/6/19(水) ママのよしよしはいつも効く

月に一度ようちえんのスタートが10時半になる、ぬらし絵の日。時間があるから、と昨日提出した原稿の修正などに対応しているうちに、10時だということに気づく。「お弁当つくってない!」。慌てて階段を降りる。

ハンバーグとごはんはある。かぶとにんじんを焼こう。あとはゆでたまごでも作ろう。ぱぱっとできそうなものを考えて取り掛かり、2人分のお弁当を詰める。遅刻は確定。

町民センターの駐車場は満車という情報が入ったから、自転車で町民センターへ。昨日と打って変わって良いお天気だ。坂道を自転車で駆け上ったら息があがる。そっと部屋に入り、呼吸を整えながら、輪に加わった。

ぬらし絵をする。娘は年長になってから描き方が変わったような気がする。よりいろんな色の出現や色との出会いを楽しめるようになったようだ。

子どもたちはお当番に連れられて山へ行き、親たちはそのまま部屋の中で懇談会。短い時間で考えることがたくさんあった。

お迎えは山の中腹にある藤棚のところだった。階段の上りがなかなかきつい。ゼーゼーしながら登り切ると、子どもたちは絵本を読んでもらっていた。

階段を降りる途中、こちらを振り返って何か言った娘が転んだ。幸い1段ほど落ちたところで止まり、転がり落ちずに済んだ。

こういうとき「後ろ振り返りながら階段降りたら危ないよ」という言葉が先に出てしまう。それから「大丈夫?痛いところはない?」という言葉が出てくる。娘のことを考えたら先にケアする言葉をかけた方がいいのかもしれないと思うのだが、いつも「だから言ったじゃない」が先に頭に到来して、口から出ていってしまう。

「〇〇ちゃん転んじゃったー!」と前を歩いていたお友達が、さらに前を歩いている友達に大きい声で呼びかけている。それを聞いて恥ずかしくなったのか、娘は私の後ろに隠れた。

自転車に乗って家に帰る。暑いから帰ったらアイスでも食べようか、と話す。帰り道にあるパンケーキ屋さんに「かき氷」の旗を見つけた。そういえばソフトクリームもあって、おいしいと友達に聞いたのを思い出す。「ソフトクリーム食べてく?」「うん!」。

ソフトクリームを1つ注文し、横並びに座った娘と交互になめる。コーンの部分をかじると、歯茎の裏側がひんやりして「つめたっ」となりながら食べた。

再び自転車に乗り、駅前のお店Nに野菜がないかな、と顔を出す。お目当ての野菜は売り切れてしまったらしい。「また来るね」と帰ろうとすると、Mさんが「これ持って帰って」とTさんのケーキを手渡してくれた。「もうひとつあるよ」とTさんが奥から取り出してくれる。思いがけずいただきものに、嬉しい気持ちで帰る。

私が自転車にカバーをかぶせているうちに、先に家に入っていた娘は、手を洗い、棚から絆創膏を取り出していた。私も手を洗って、娘の腕のかすり傷に絆創膏を貼る。

とても眠くなった。ここ数日とても眠い。ソファに横になると、娘も向かいのソファで横になった。気がつくと寝ていて、ピンポーンという音で目が覚める。さくらんぼだ。母が送ってくれたさくらんぼが届く日だった。

娘もすぐに起きてきた。まだ眠くてぼーっとした頭のまま、さくらんぼを洗って一緒に食べる。「〇〇ちゃんは1,2,3,4でお母さんは1,2,3,4,5」。食べ終わった種の数を娘が数える。「もうひとついる?」と聞くと、「うん、お母さんと同じにする」と言うから、1つ洗って持っていった。

食器を準備して、地域の居場所Dへ。今日は夕飯をみんなで食べる会がある。横断歩道ですれ違ったAさんが「僕もこれから行く、すでにカオス!」と言っていた。確かに、ものすごく混み合ってギューギューだった。娘が子どもたちが集まっているところへ向かったのを見届けて、私は混雑を避けて、土間のピアノの椅子に座ってマンガを読む。昔好きだった『僕の地球を守って』がここに入ったと聞いて、読むのを楽しみにしていた。

友達のところに行っても思うように遊べなかったらしい娘がこちらへやってくる。「中に入って」と言われて、混雑の中に縮こまってみたり、やっぱり土間へ出たりした。

ちょうど1巻を読み終わったところで動きがありそうだったので、室内に戻る。列に並んで、配膳を待った。今日のおかずは鶏肉と夏野菜のトマト煮込み。炊きたてご飯にかけていただく。夏野菜がたっぷりでおいしくておかわりした。

片付けをして、家に帰る。お風呂はいい、という娘を残して、私はシャワーを浴びた。その間に『アナ雪』のミュージカルのパンフレットを見ていたはずの娘は、ちゃんとパジャマに着替えていた。

「足が痛い」と言う。成長痛なのか、夜になるとたまに膝下の痛みを訴えることがある。「痛い〜」とだんだん痛みが強くなってきたらしい娘の歯磨きをして、なんとかトイレに行かせて、寝室へ行く。

ホメオパシーのレメディを与えて足をさすると、悲痛な声はおさまった。「ママのよしよしはいつも効くんだよなあ」と言う。腕がしびれそうになりながらも、これは筋トレだ、と自分に言い聞かせて、足をさすり続けた。


2024/6/20(木) 生活はカニの足を切り出すことの積み重ね

最近娘は毎晩布団からはみ出して、床で寝ている。そろそろ暑さ対策を考えなければならない。なかなか起きてこない娘を8時半に起こす。

一緒に朝食を食べ、お弁当をつくり始める。父の畑からもらってきたかぼちゃを塩ゆでして、卵焼きを焼く。

「ナゲットとウインナーどっちがいい?」と聞くと「ウインナー!カニさんの!」と言うから、時間がないながらに、カニの切り方を調べ、せっせとウインナーに切り込みを入れる。カニの足がポキリと折れてしまったから、包丁を果物包丁に持ち替えて、もう2匹カニを生み出す。

「お弁当をつくる」と一口に言っても、生活はこんな細かい作業の積み重ねで成り立っているんだよなあと思う。

昨日に続いて今日も遅刻だ。やになっちゃう。起こすのが遅すぎたのが失敗だ。「早く行くよ」「急ぎたくない!」。娘も私もピリピリする。

梅シロップ2瓶分を持って向かう。保育中につくって我が家に持ち帰っていたシロップがそろそろ良い具合になっていたから、みんなに飲んでもらおうと思っていた。

集合場所へ行く。今日は放課後子どもたちの預かりをする当番のつもりだったが、急遽別の友だちが預かりを担当してくれることになった。ありがたく、預けさせてもらうことにする。

それを聞くと娘が「やだ!」と私の後ろにしがみついた。放課後一緒にいられると思っていたのに、いられなくなったのだから、気持ちがわからなくはない。手を取ってしゃがみ、帰ってきたら、おいしいもの食べようね、と話す。離れたくない、という娘に「“目の窓開けろ”したら帰るね」と伝えて、朝のあいさつのわらべうたまで一緒にした。

終わると覚悟を決めたのか、ハイタッチをして、「ちゅーさせて!」と私の手の甲にちゅっとすると、バイバイと手を振った。

家に帰って、溜まっていた日記を書いたり、仕事したり。

夫と昼ご飯にひやむぎを食べた。太めのひやむぎは食べごたえがあって、そうめんより好きだ。

午後も仕事。夫とコンビニまで散歩。風の心地よい日だった。アイスでも買おう、と、夫の好きな「チョコモナカジャンボ」と、初めてみる「あずきモナカ」を買って帰る。

アイスモナカはアイスに皮がついてることで、サクサクとクリーミーと2つの食感が楽しめるし、食べごたえがあっておいしいな、と思う。私はどうやら食べごたえがあるものばかり求めているらしい。

夫は「お菓子のモナカは口の中パサパサになるけど、アイスはならないのがいいね」と言う。彼はクッキーとかおせんべいとか、口の中の水分を持ってかれるもの全般があんまり好きではない。私はお菓子の最中も好きなのであんまり共感できないけど、アイスモナカがおいしいことにだけは同意した。

再び仕事。ついでに先延ばしにしていた、インスタやXのポストなどをする。

友達から連絡が来て、娘のお迎え場所まで自転車で行く。車から降りてきた娘を見て、こんなに日焼けしてたっけと思う。日に日にこんがりしていく。

娘を自転車に乗せて帰宅。夕飯を作る。

その間娘と夫はリビングで「わっせわっせ」と走り回り、今日も「汗びっちょになった〜!」と光る額を見せにきた。

「手間のかかるものを作っても誰も幸せにならない」をモットーに、豚丼と味噌汁だけ作る。朝ゆでたかぼちゃも食卓に並べる。

食後、娘が夫に、「食べたものはお腹の中でどうなってるの?」などと質問している。説明する夫に、絵本の棚から『ひとのからだ』を取り出して手渡す。小児科医の毛利子来さんが書いた体の仕組みなどが書かれた絵本で、以前娘と一緒に古本屋に行ったとき、「これほしい」と持ってきたものだ。内蔵のことから、血液、神経、骨のことまで、体の仕組みがイラストと文章で解説されている良い絵本だ。

娘が私とお風呂に入るかと思ったら「やっぱりパパと」と言う。絵本を読んでいて先延ばしにしたいだけじゃないかと思い、プリプリしながら「私があがったら絶対入ってね」と告げてひとりでお風呂に入る。

あがったら、今度は娘と夫の番だ。2階にいると、「やっぱりママと入りたい」などともめている声が聞こえたが、やがて入ったようだった。自室でパソコンに向かっているとしばらくして「ママー、歯も磨いてきた」と娘がやってきた。

3人でストレッチをして、リビングで本を読んでいる夫を残して、娘と私は布団に入る。

「今日急に預かりになっちゃったから、お母さんの後ろでしくしく泣いてたんだ」と娘が言う。事情を説明して、ごめんね、と言う。「でも預かり楽しかった」。

それからしばらくなんやかや話していたが、「もう寝よう」と私が言う。最近朝が遅いのは寝るのが遅いからに違いない。おしゃべりをやめたら、あっという間にどこか暗いところへ吸い込まれていった。


2024/6/21(金) 夏至の日

思っていたより本降りの雨になったようだ。
ようちえんはお散歩に行く予定が変更になり、町民センター集合になった。梅雨の季節、これからそんな日も増えるかもしれない。

町民センターへ娘を送る。家に帰る。DHLの車が止まっていてめずらしいな、と思ったら、郵便受けの中にDHLの不在票が入っていた。まだそこにいるかも、と思って、傘をさして外へ出るが見当たらず、家に帰る。

これから夏至の集まりで、何か植物を持っていくことになっていた。ハサミで庭のランタナをちょきんと切る。庭のあちこちに勝手に自生しているランタナは気がつくと増えている。茎がトゲトゲしていて片付けるのは厄介だけれど、ピンクと黄色の小さな花から構成された鮮やかなコントラストはかわいらしい。

ランタナの持ち手をキッチンペーパーで包み、アトリエUに向かう。

夏至の集まり。タッセルを手作りしたり、おいしいものを食べたり、香りをつくったり。楽しい時間を過ごした。

家へ帰る。夫が娘を迎えに行ってくれて、娘と夫がリビングにいた。娘は段ボール箱の中に入っている。よく見ると両サイドにピンク色のリボンが付いていて、「ソリなんだ」と言っていた。

仕事をする夫が自室に戻り、手を洗っていると、娘が「どうしてママじゃなかったの」「ママのお迎えがよかった」と段ボールの中からうらめしそうに言う。ごめんね、と思う。

私が持って帰ってきた、キャンドルとキャンドルの入ったガラスの瓶を気に入って遊んでいた。

すぐに出かける時間で、さて準備するよ!と急かすと、「もうやだ!」とご機嫌ななめだ。疲れているのかもしれない。

なんとかバレエに行く支度をして、車に乗る。途中でYちゃんOちゃん親子を乗せて、スタジオへ。

娘は出かける前までご機嫌ななめだった割に、今日も元気に頑張っていた。

帰宅。夫と娘がお風呂に入っている間にカレーを作る。明日は一日私が出かける予定だから、多めに作っておく。

娘の好きなにんじんラペも作って出したら「これ、半分食べていい?」とごっそり取ろうとした。結局2/3ぐらい娘が食べた。

食器を片付ける。Yちゃんからもらったすももピューレを味見したら、おいしくて胸がキュンとした。

お風呂に入る。あがると、娘は寝ていて、夫は自室で仕事していた。

私も自室で、明日行く場所についてなど調べていた。映画1本ぐらい観ようかと思うが、とてつもなく眠くなり、諦めて寝た。

雨で涼しかったのかもしれない。今夜の娘は、布団からはみ出さずに寝ていた。


2024/6/22(土) おかえりのポーチ

朝のルーティンを済ませて、出かける準備をする。

起きてきた娘が私にくっつきながら「ママ行かないでほしいな」と言う。「ごめんね、でも行くね」と言って、バタバタと準備をして家を出た。

電車に乗って出かける。片道2時間。途中で、ふと思い出して、今日はカフェCの庭で、昼からマルシェをやっているらしい、と夫にインスタのスクリーンショットを送った。

中高時代の友達とたっぷり一日遊んだ。途中で「情報ありがとう」とチーズケーキを片手に庭の椅子に座って微笑む娘の写真が、夫から送られてきた。

遊んで夕飯を食べて、帰りも2時間かけて帰る。隣町のブックマルシェで買った小説『お探しものは図書室まで』がよく読み進んだ。

駅から家に向かって歩いていくと、向こうにオレンジ色の灯りがついているのが見える。我が家のポーチだ。「おかえり」と言ってもらってるようでホッとした。


2024/6/23(日) はがゆくて、夏

雨降りの朝。月に一度の親子で参加する農園の活動はお休みになった。

代わりに大人の農園の座学があるとのことで、娘を連れて参加する。海の水を山が吸収し、山の地面に染み込んだ水が畑を流れてまた海へ帰っていく、そうした循環の話だった。

娘のお友達のKちゃんがやってきたから「遊んだら」と娘に声を掛けたが、「いい」と言って、私の隣でしばらくメモ帳に文字や絵を描くことに集中していた。

やがて「つかれた」と飽きた様子で、Kちゃんと、娘にとってははじめましての、少しお姉ちゃんの子が遊んでいる様子をじっと見ている。一緒に遊びたいに違いない。「Kちゃんと遊びたい」と私に耳打ちする。「遊んできたらいいじゃん」「知らない子がいるからやだ」。そう言うと、「ちょっとお外出てきていい?」と部屋の外へ出ていった。すぐに戻ってくる。

今度は「トイレ行きたい」と耳打ちされて、トイレへ一緒に行く。

戻ってくると、またKちゃんとお姉ちゃんが遊んでいるのを、机から乗り出してじっと見ている。そんなに遊びたいなら「入れて」って言えばいいのに。「お母さんが言って」と言われる。「私は言わないけど、一緒に近くまで行くならいいよ」と言って、行きかけて、一歩が踏み出せないでいる。

最終的に、その様子に気づいたお姉ちゃんのお父さんが、お姉ちゃんに「遊びたいみたいよ」と声をかけてくれた。お姉ちゃんが「遊ぶ?」と娘に聞いてくれて、娘は頷いてそちらに入っていった。

ここまで30分ぐらいかかる。なぜだか私の目に涙がにじんでくる。私自身は物怖じしない子どもで、初めての場所でも自分から話しかけて友達をつくって帰ってくるタイプだった。娘の入りたいのに入れない、みたいなのを見ていると、はがゆくてたまらない。

家に帰って昼ご飯を食べ、午後はホームセンターに行った。植物を植え替えようと、ポット、プランター、土をいろいろと買ってくる。

庭で夫はウンベラータとサボテンを、私はローズマリーやミニトマトを植え替えた。娘が土を入れたい!と言って、土をプランターに入れるがこぼす。イライラして「もうやらなくていい」と言うと「ママと一緒にやりたかったのに」と娘が泣きはじめる。夫に「やさしくしてあげて」とたしなめられる。

「怒っちゃってごめんね」と言って、仲良く植え替えを進めた。ヘチマを植えた。我が家にグリーンカーテン、できるだろうか。


2024/6/24(月) にんじんラペちゃんは待っててくれる?

娘を今日のようちえんの集合場所、海岸まで送る。今日も海岸まで下る坂道の風が心地よい。
帰宅して、月に一度主催する読書会の日で、準備をしてEコーヒーへ。

いつも参加してくれる方が大学生の息子さんと一緒に来てくれた。知らなかった小説やマンガを紹介してくれて、とても面白そうで読んでみたくなる。

特技のマジックも披露してくれた。トランプから選んだカードが飛び出てきたり、500円玉が体のどこかに消えてしまう。魔法ではなくてタネがあるのは知っているけれど、わからなくて、ずっと驚いていた。ダマサれる快感、というのがあると思う。私はいつまでも驚いていたいから、タネは知らなくていい。

本を紹介しあって、今日もMちゃんのランチに舌鼓を打った。好きな本の話ができて、おいしいご飯が食べられる。まったく月に一度のご褒美みたいな時間を、自分のために主催していると思う。

Mちゃんが娘のお迎えに行ってくれて、午後のイベント、アロマづくりをしている間に娘が帰ってきた。手に、丸くて平べったい石を持っている。「見てこれ!」「丸いねぇ」「おつきさま!」。

娘はアロマづくりが大好きで、空き容器を持っていくともう一つ香りを作らせてもらえるのを知っていて「空き瓶持っていってね!」と朝から頼まれていた。パッと手に取ったアロマオイルの香りを嗅いで、好きか嫌いかを判断すると、あっという間に3種類選んだ「好き」の香りを混ぜ合わせてオリジナルの香りを完成させていた。いつもの「お花の香り」とは違う、夏にぴったりな爽やかな香りだった。

帰宅して、夕飯をつくる。娘の好物のにんじんラペを今日もつくる。
つくっていたらつまみぐいしに来た。

お風呂に入る。娘はお風呂場の鏡の前で遊んでいて、一向に体を洗おうとしない。たぶんちょっと眠たい。「〇〇ちゃん全然来ないなぁ、お父さんのお口に先に飛び込んじゃおうかな、にんじんラペ」と、高めの声をつくって、にんじんラペの心の声を代弁する。それを聞いて「だめ!」と体を洗い始めたものの、また遊び始める。

「にんじんラペちゃんが待ち切れないって言ってるよ」と言うと、「〇〇ちゃん体洗ってるのに...にんじんラペちゃん待っててくれる?」と泣き始めた。「その調子で洗ってれば待っててくれるから」と諭して、泣きながら体を洗い終える。

お風呂をあがる。着替えを済ませるとすぐにキッチンへ向かっていった。「今、にんじんラペちゃん、ひとくち飛び込んでくれた。挨拶に行ったら」と笑っていた。

娘と夫と3人で食卓に着く。娘はごはんの上に肉じゃがを乗せていたのだが、肉じゃがだけきれいにすくって頬張る。「肉じゃがとご飯と一緒に食べたらおいしいのに」と言うと「ちょっと噛んだらご飯入れるの!」と満杯の口の中にごはんを追加した。溢れ出しそうな口元を見て「お、お、Oh… I see」と思わず英語でつぶやいていた。


2024/6/25(火) 俺はクーラー生まれクーラー育ち

朝ご飯に枝豆を食べる。娘が皮から取り出すと「お父さん、お母さん、そして〇〇ちゃん」と大中小3つの豆をテーブルに順に並べた。

ご飯も出したのに、結局枝豆とさくらんぼだけを朝ご飯にして娘は朝食を終えた。

集合場所まで送っていく。車の中も暑い。これまでの季節はクーラーを入れず、窓を開けて暑さをしのいでいたが、今日は問答無用でクーラーを入れる。

私は父が空調設備の会社で働いていたことと関係もあってか、子どもの頃から躊躇なくエアコンに頼ってきた。うちの家族はすぐクーラーを入れる。父は夏の暑い一時、とかじゃなくて結構長いスパンで、ひと晩中クーラーをつけて寝ている。涼しい部屋で布団をかぶって寝るのが至福らしい。「電子ちゃん(東京電力のCMのキャラクター、なつかしいね)に怒られるよ」と何度注意したかしれない。

夫はクーラーがあまり好きではない。クーラーを付けて寝るとお腹を壊すのだとか。炎天下で野球をしてきた夫と、クーラーの効いた部屋でフルート吹いていた私。育った環境由来の暑さ耐性の違いもあると思うが、夫を通して誰もがクーラーのスイッチを気軽に入れるわけではないのだと知った。

それで夫がいるときはなんとなくクーラーのスイッチを押すことにためらいがあるのだが、今日は夫もいないし、迷うことなく車のクーラーのスイッチを入れる。「俺はクーラー生まれ、クーラー育ち...」とGrateful Daysのメロディが私の脳内に流れ出す。

娘を集合場所にパッと送って、近くの産直で野菜を買う。「周年イベント」を開催中らしく、色とりどりの野菜が棚にぎっしり詰まっていて、ついつい色々買ってしまった。

帰って仕事。昨日一日外にいてできなかった原稿の修正点のチェックなど。自室がある2階はむわっとした空気が暑い。クーラー育ちなのに、この部屋にはクーラーがない。扇風機を取り出してきて、つける。

昼食後、体調がいまいちで、布団に横になって昼寝。40分ほどしたところで起き上がって仕事。今日書きたい原稿があった。娘が帰ってくるまでに間に合うだろうか。

暑さと体調のいまいちさで、しばらく机の前でげんなりしていたが、キーボードに手を置いて書き始めてみると、思いの外スルスルと進む。今日は友達が娘を預かってくれる日。子どもたちを連れて少し遠出をしているようで、帰りが遅くなるようだ。

もう今日は間に合わないだろうと思った原稿が間もなく書き上がりそうなところで、娘が帰ってきた。腕に泥がはねたらしい跡がついていて、すぐにでもお風呂に入れたいところだけど、少し待っていてもらう。原稿が書き上がった。

夕飯に親子丼と味噌汁をつくる。つくっている間娘がキッチンにやってきて「これ持っていっていい?」と3キロの米を抱えている。「どうぞ」と言うと、やがてごっこ遊びが始まった。

米袋を抱きながら「目の窓開けろ 目の窓開けろ」とようちえんで毎朝しているわらべうたをしている。「じゃあ今日はA山に行くね、私先頭ね」と言うのが聞こえた。たぶんようちえんのお当番なのだろう。しかも赤ちゃん連れの。

「ようちえんなの?」と聞くと「そう今A山でお弁当食べ終わって遊ぶところ」と言う。「よーいどん!」と駆け出した。

「みんなは何して遊ぶの?...そう、色々あるね」どこか口調も大人っぽい。「あ、それはやめてあげて!お友達には向けないでね...うん」誰か棒で遊んでいるのだろうか。「上手だね!ママのお手伝いとかもしてる?...そっか、してるかぁ」。どれも“お当番の大人”が言いそうな内容と口調で、私はキッチンで笑いをこらえながら見ていた。

夕飯を食べ終えると娘が「今日プラムとったのリュックの中にある。3つあるから、1つはお父さんのために置いておく」と言う。早速リュックから取り出す。「うわぁ」。プラムの入った袋の中は、赤い水が透けて見えた。「プラムジュースだ!」おそらく完熟だったのだろう。そのジュースをコップに流し込み、二人で飲んだ。「すももおいしいね」と言うと「すももじゃなくてプラムだよ」と言われた。たぶん一緒では。

お風呂に入って寝支度を済ませて2階にあがると、空気がモアッとむし暑い。寝室のクーラーをつけた。しかしひと晩中つけるには時期尚早だと判断。クーラーをタイマーにして、扇風機を回しながら寝た。


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