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いつもの明日がきますように[2024/8/7(水)〜8/13(火)]


2024/8/7(水) お腹ぺこぺこ、心うきうき

朝、娘は扇風機を抱きかかえるようにして寝ていた。夫は寝室の扉を開け、娘の寝顔を見て出かける。出張で、金曜の夜まで帰らないらしい。

クッションカバーを洗濯しようとファスナーを開けて中身を取り出していると娘が、「そうだ、クッションつくろう!」と言う。

階段を登ると、私の部屋からはぎれが入った袋を持ってくる。たしかはぎれは私の部屋のダーニングセットが入っている籠の中にあったはずだ。どこに何があるのかちゃんと把握している。はぎれをつなげてクッションカバーをつくるらしい。

ようちえんで以前ぞうきんを縫ったことがあるからか、迷いなく、丁寧に手早く縫っていく。縫い目は大きいけど、気にしない。玉結びと玉留めだけ手伝う。

7,8枚の布をつなげて、単行本サイズぐらいのパッチワークができた。そろそろ出かける時間になった。残りのはぎれやお裁縫セットを持って出かける。

Eコーヒーで、読書会仲間と月末開催するイベントの打ち合わせ。隣で娘ははぎれを縫い合わせていた。娘が「お母さん、糸からまっちゃった」と助けを求めてくる。話し合いで真剣に考える私の頭の中と布の上の糸が同調して、こんがらがりそうになった。

無事にやることが決まって解散。

終わる頃、友達がやってきて、おしゃべりする。持ってきたはぎれを縫い終わった娘も、Eコーヒーの看板娘と遊び始める。そんなこんなで気がつくと3時近くなっていた。

そういえばお昼ご飯がまだだった。お腹が空いて、ドーナツとバナナブレッドを娘と半分に分けて食べる。

3時過ぎ、帰宅し、着替えて、おにぎりを握る。ヨガをしに、近所の友だちの家へ。

たっぷり2時間、体に意識を向けて、とても気持ちが良かった。ただぼーっとすること、体を伸ばすこと、全然できていないんだなと気付かされる。

娘は友達とおうちごっこをして終始楽しそうだった。

帰り道、自転車をひいて歩いていると、焼き鳥屋さんの店先が見えた。「焼き鳥食べる?」と娘に聞く。「食べたい!」。

いつもお世話になっている駅前のお店で野菜を買い、そのまま自転車をひいて焼き鳥屋さんに行った。

焼き鳥の盛り合わせを注文して、店先にあるイスに腰掛けて待つ。なかなか呼ばれない。もう19時を過ぎただろうか。こんなに待つなら焼き鳥じゃなくても良かったかなぁ。

ふと見上げた電信柱に「中丸」と書いてある。そういえば中丸くんがSNSで話題になってた。どうしちゃったんだろう。

店内で予約の電話を受けている声がして、なるほど、今度は予約しよう、と思う。

「もう疲れちゃった」と娘が私の腕に頭をもたせかけた頃「8番でお待ちの方〜」とついに呼ばれる。「お待たせしちゃったんで、1本サービスしておきました」。

うれしい!「1本サービスしてもらったよ」と声を掛けながら、自転車の後部座席に座った娘に、まだあったかい焼鳥の入った袋を持ってもらう。

お腹ぺこぺこ、心うきうき。夜のはじまりを自転車で走り抜けて帰った。


2024/8/8(木) 一緒につくると楽しいね

予定変更があって、思いがけずゆっくり過ごせる朝。
娘と9時過ぎに朝ご飯を食べる。

予定がなくなった娘は昨日の続きのクッションづくりをしたい、と言う。

私は図書館にリサイクル図書をもらいに行きたい。

早めに行かないと良い本なくなっちゃうから、と娘にお願いして、朝ご飯を食べ終わり、準備が整うと図書館へ。

子ども向けの本が多く、絵本などたくさん良いものがみつかった。本を物色している間、娘は数分に一度「クッションつくる時間なくなっちゃうよ〜」と私に声を掛けてくる。「1周したら終わりにするから」とぐるっと1周。でも最初の場所に戻ったら、またほしかった絵本を見つけたりして。

8冊ほど良い本を手に取り持ち帰る。絵本の棚はすでにいっぱいだけど、どうしよう。

帰宅し、娘は縫い物の続きを始める。パッチワークが2枚できあがり、今度は、3辺を縫う。綿を入れて、最後の1辺を閉じて完成だ。手早く、丁寧で、集中力もあって、感心する。

娘は「うれしすぎる〜!」と声をあげている。できあがったクッションを枕にしてみたり、背中に置いてイスに座ってみたりしていた。

お昼ご飯に冷汁を作る。昨日ヨガの先生が「夏を乗り切るために昆布を取ると良い」と言っていたのを思い出して、朝作っておいた昆布出汁を使う。

そうめんを茹でて、冷汁につけて食べる。おいしい。

ごはんを食べたら出かけようと思っていたけれど、眠くなってしまった。ソファに横たわる。娘に「行こうよ」と声を掛けられる。「水着着といて」などと夢うつつで返事する。いつの間にか娘は、水着を着て、プールバッグにタオルや着替えを入れるビニール袋などを入れていた。

14時半。起きて、出かける。友達が遊んでいる川へ。

川の近くに友達の自転車が停まっていて、娘が「こっちだ!」と走っていく。

いつもの遊び場には、友達たちだけではなく、小学生や別の友達もいてにぎやかだった。

娘と奥の深いところまで歩いていく。腰ぐらいまでありそうで、水着を着てこなかった私は進めずに、手前で立ち止まる。そばで小学生たちが泳いでいて、娘は「ママが濡れちゃう」と私が濡れてしまうことが心配なようだ。「ママが濡れるのがやだから」と私の手を引っ張って、川の外へ連れていこうとする。

「ママはちょっとぐらい濡れても大丈夫」「あっちのほうがお友達いっぱいいるから行きたいな」と言って、再びさっきの深い場所の手前に戻る。

水着の娘は、ゴーグルをつけて、もぐってみたりする。女の子の二人組がやってきて、声を揃えて「〇〇ちゃん、ゴーグル貸して?」と聞かれたけれど、娘は首を横に振る。いやなことを素直にいやと言えるの、とても大事。

娘はあまり奥の方まで進んでいこうとせずに、そのまま深いところの少し手前にいた。

たまに風が吹く。水を渡る風がとても気持ち良い。

そのままその場で1時間ほど。川の中に立っていただけなのに、疲れてしまった。そろそろあがろう、と娘に声を掛けてあがる。友達もあがってきて、一緒に着替えて、帰る支度をする。

友達と別れて、帰り道に、野菜を買おうと入った近くの店で、あんみつを見つける。あんみつと杏仁豆腐を買い、半分にすることにした。

家に帰っておやつ。もう17時近かったけど。「特別だよ〜」と娘に言う。そして自分に言い聞かせる。

夕飯。オムライスをつくる。娘が「一緒につくりたい!」と言うから、ソーセージを切るのをお願いする。その間に私が玉ねぎとにんじんをみじん切りにしていると「〇〇ちゃん野菜も切りたかったのに」と娘に言われた。

ケチャップライスを炒めるのをお願いする。

「ごはんは何か器に入れてポンっとお皿の上において、その上から焼いた卵乗せるんだよ」そういえば、娘はお泊り保育でオムライスを作ったのだった。

じゃあ卵焼いてみて、とお願いする。「卵は1個でいい?」と娘に聞くと「どういうこと?」と答えてくる。「だから卵は1個?」「どういうこと?」。だんだんイライラしてくる。

「もういい、自分でやる!」。こうやって振り返ると自分でもわからないけれど、手早く進めたい調理中に速やかに意思疎通できないと私はイライラしてしまうらしい。

「〇〇ちゃんやりたかったのに」と娘が泣き出す。すぐにやってしまった、と思い、カーテンの前で泣いている娘のところへ行って、「ごめんね、〇〇ちゃんやってくれる?」とお願いする。

ケチャップライスをスプーンで器に詰めて、皿の上にひっくり返す。ボールの中の卵をといて、フライパンに流し込む。焼き上がった頃に、私がフライパンから、ケチャップライスの上に卵を滑らせて乗せる。

オムライスの完成。「一緒につくると楽しいね」。ひとりでやったほうが早いけれど、一緒にやったほうがたしかに楽しい。

娘はケチャップで自分の顔を描いた。私は太陽のような、お花のような模様を描いた。

お風呂に入ってストレッチをする前に、娘が「お母さんに手紙書く」と書き始める。もらった手紙は「なおこちゃんだいすきだよ」で始まる。「いつもやさしくしてくれてありがとう たのしくねようね ほんすきなのいいね 〇〇ちゃんもほんすきだよ」などと書いてあった。愛を受け取ってばかりである。


2024/8/9(金) いつもの明日がきますように

午前中の予定をこなして、サンドイッチをつくり、自転車で友達の家へ。
引き戸をひくと、森へいるような香りがした。木をふんだんにつかった友達の家の香り。それから、バンドルダイをしている室内の植物を蒸す香り。

早速私と娘も、植物を乗せて蒸して染める、バンドルダイに加わらせてもらう。

持ってきたTシャツとサラシに、お花や葉っぱ、ミニトマトやブルーベリーなどものせる。私の隣で娘は迷いない手つきで植物をTシャツにのせていった。白いTシャツの上に、花や実がのっている様子はそれだけでかわいらしい。ぐるぐると巻いて、キッチンで湯気を出している蒸し籠の中へ。

しばらくして取り出すと、植物の色が布にうつっていたり、うつっていなかったり。ブルーベリーはよく色が出るけれど、ミニトマトはあまり出ないようだ。ドクダミの葉は色が出るかと思ってたくさんのせてみたけれど、全然出ていない。実験のようで楽しい。

ブルーベリーの紫をアクセントに、夏らしい涼しげな色合いのTシャツとさらしができた。たしか春に染めたときは、黄色がよく出た。桑の実はピンクになった。その季節らしい色を感じて楽しい。

帰宅。1時間の間に仕事の作業。娘も自分の机に向かっている。何か書き物をしているのだろうか。「うーんどうしよう、頭使うんだよなあ」と言っている。

バレエに出かける時間が近づく。「今やっている途中だから行きたくない」という娘を励まして、車へ。

車が到着すると「頭使って疲れちゃった」と言う。16時、ちょうど疲れが出る時間。「もう始まっちゃうから行こう」と促すと、車から降りた。レッスンには基本行きたいという気持ちがあるから、案外素直に外へ出てくれる。
レッスンへ。今日も近くのスーパーにでも涼みに行こうかと思っていたら、ドッと雨が降ってきた。外へ行くのは諦めて、久しぶりにレッスンを見学する。疲れた、と言っていた割りに、今日も楽しそうにしていた。

帰りにスーパーに買い物へ。丸ごとのチダイが安くなっていた。ブリや鮭の切り身よりずっと安い。向かい側にやってきたおばあちゃんが「どれも大きさ変わらないわね」と言いながら手に取っている。「どうやって食べますか?」と聞くと「煮付けにするつもり。うろこ取るのがちょっと大変だけどね」と教えてくれた。なるほど、煮付けか。私も買い物カゴへ。

それから夕飯用に刺身などを買った。

帰宅して夕飯。冷や汁と刺身を乗っけた丼。サーモンの刺身を食べながら娘が「鮭とサーモンって似てるねぇ」と言う。「おんなじだよ!」と教えると目を丸くしていた。

お風呂を沸かして湯船に入り、お湯を桶に組んだところで、ドンッ、グラグラと揺れた。大きな縦揺れ。地震だ。裸のまま一旦脱衣所へ出る。服を脱ごうとしていた娘が不安げにそばにやってくる。

スマホで調べると震度は4〜5。震源地も近かったらしい。怖い。大きな地震がくるかもしれないとは聞いていた。でもどこかで人ごとのような気がしていた。これがまだ余震で、もと大きな地震がこれから来るかもしれない。急に怖くなってくる。

娘に、もしも大きな地震が来て、家の中にいられなくなったら、近くの小学校に避難するつもりであること。そのときには防災リュックを背負っていくこと。他に持って行きたいものがあっても、あとで取りに来られるから持っていかない。命が一番大事、と話す。

家がぺしゃんこになる可能性がある、というところで不安になったのか娘は、「どうしよう どうしよう」とパニックになって、目に手を当てて泣いていた。

揺れは落ち着いたようだから、お風呂に入ることにする。娘には「また来たらどうしよう!入らないで」と止められたけれど、大丈夫だから、と諭す。

娘はいつにも増して、素早く体を洗った。

クローゼットの中から防災リュックを取り出して、寝室の足元に置いておく。それと着替えと。この準備で良いのかはわからないけれど、せめてもの準備。

「いつもの明日が来たらいいね」。娘とそう言い合いながら布団に横になる。なかなか寝付けない。娘の方に寝返ると、暗闇の中で、ぱっちり目を開けているのが見えた。目が合っていることに気づくと、口角があがって、唇がカーブする。「眠れないね」。2人で寝返りを何度か繰り返した。


2024/8/10(土) きつねにつままれたみたいな花火の夜

「ね、〇〇ちゃんの言った通り大丈夫だったでしょう」と娘が起きてきた。夜中に地震を感じなかった。そのことを言っているに違いない。

昨日遅くに帰ってきたらしい夫はまだ寝ている。その傍らで娘は自分の防災リュックの中身を確認している。「ペンがない」「ヘッドライトがない」私のリュックとの違いを確認しては、中身を足している。

寝ている夫を置いて、二人で朝ご飯に昨日の残りのサンドイッチと冷汁を食べる。

食べ終わったらぱっと着替えて出かけないといけない。「着替えて」と取り出した水色のドレスを娘に渡すが、「着替えたくない」と布団でゴロゴロしている。

「じゃあパジャマのまま行ったら」「それもやだ」「じゃあ休む?」「休みたくない」

イライラする。「もう休むって連絡する!」「やすまないー!」

夫も私も階下へ行くと「着替えたから後ろのチャック上げて」と娘がやってきた。

さっきすぐに着替えれば間に合ったのに、もう遅刻確定だ。やになっちゃう。

車を運転しながらも、まだ怒りがおさまらなかった。今日は遅刻したくないと思っていたのだ。

もうすぐ到着する頃「〇〇ちゃんが着替えに時間かかるのを見込まなかったお母さんが悪かったのかも」と言う。実は最初の方から思っていたけれど、言えなかった。

「お母さんは悪くないよ。〇〇ちゃんがゴロゴロしてたからいけなかった」娘が言う。「ニコニコで迎えにきてね」。一緒にスタジオの中まで行くと、ワークショップが始まっている部屋の中へさっと入っていった。

車に戻る帰り道、私たちよりさらに遅れてきた友達親子とすれ違う。遅れても、こうやって仲良く来たらいいんだよなあと思う。でもイライラしちゃうときもあるんだもの。

車に戻って、やろうと思っていたインスタの投稿を作る。屋根のある場所で、窓を少し開けていたが、それでも暑くて、汗をかいた。

時間になってニコニコで娘を迎えにいく。娘はお姉ちゃんに手伝ってもらいながら、段ボールでつくったヒールのある靴を完成させているところだった。ヒールがどうしても取れてしまうらしく、お姉ちゃんが念入りに透明なガムテープでくっつけてくれている。

できあがったヒール靴は、手にもって写真を撮っていた。

畑に立ち寄り、草刈りをして家に帰る。久しぶりに訪れた畑は、見たことのない草で鬱蒼としていた。

帰宅して、お昼ご飯にパスタをつくる。ナスとオクラとミニトマトとソーセージのパスタ。
娘が食べながら人さし指を立て、「お母さんのご飯が好きな人この指とまれ はやくしないと切れちゃうぞ〜」と言う。娘の人さし指に、私と夫がつかまった。「〇〇ちゃんもお母さんのご飯が好きってことだからね」と付け足す。ありがとう。

お皿を片付けている間に、娘と夫が荷物を車に積み込む。今日は花火大会を見に出かける。もしも帰り道が混んだときには、キャンプ場に泊まることも視野にいれながら荷造り。

出発して、途中にスーパーで買い物をして、車で1時間弱のキャンプ場へ。到着する20分ほど前ぐらいから寝ていた娘は、車が停車すると起きた。それと入れ違いに、昨日遅くに帰ってきたらしい夫が寝始める。私にもたれかかっているのを見て娘が「〇〇ちゃんのお母さんなのに!お父さんどいて」と夫に言う。夫は聞こえていないようで、ほんの数分で深く寝ているようだった。

5分もしないうちに友達ファミリーがやってきた。一緒にキャンプサイトへ。炉端焼き用のカセットコンロを持ってきてくれた友達が、エビやホタテを焼いてくれる。おいしい。

娘はテントで泊まりたい!と言う。7割ぐらい帰る気持ちで来たが、泊まっていってもいい。どうしようかな、と迷う。キャンプサイトのウェブサイトにはテントの貸出があると書いてあった。「聞いてくる」という夫に娘が「一緒に行く!」と着いていく。

受付まで歩いていった二人は、すぐに戻ってきた。コロナ以降テントの貸出は行っていないことがわかった。じゃあ仕方ない、帰る方向が決まる。

良い時間になって、一旦お皿などを片付けて、花火大会へ向かうことに。途中地点まで車で向かい、そこから坂道を20分ほど歩いて登る。

なかなか急で長い階段で息があがる。私がゼーハーしてるなか、娘は、「階段まだあるのか、一段飛ばしで行こう」と駆け上っていく。元気元気。

途中の長い坂道はキャリーワゴンを引っ張って歩く。

てっぺんに到着。山の影、ピンクと白のふわふわの雲、空気が霞んでいて、夢の中にいるようだった。向こうの広場には屋台の明かりが見える。

キャリーワゴンで沿道に場所取りをして、屋台を覗きに。たこ焼きや広島焼きの屋台は並んでいたが、マンゴーミルクかき氷の屋台が比較的空いていたから、娘と並んで買う。

戻ると、友達家族もかき氷を買ってきていた。山道を登ってきた後の冷たいかき氷。最高においしい。

10分ほどしたところで、花火が始まった。「ドン!」とお腹に響く音。目の前に打ち上がった花火は思った以上の大きさだ。

それから「わ〜」とか「おぉー」とか言いながら、夢中で花火を楽しんだ。火が余韻を残しながらしだれてくるもの、しゅわしゅわと泡を描きながら消えていくもの。カラフルな粒が円形を描くものがあがると、キャリーワゴンの中から「〇〇ちゃんこれ好き」と娘がこちらを見て言った。

ノンストップの1万発。40回目にして今年最後という花火大会は、最後に向けて「ありがとう、さようなら」のメッセージを感じて、ぐっとくるものがあった。

長い長いダラダラ坂を、ワゴンをひいて下って帰る。友達の家の下の子は、キャリーワゴンの中で寝ていた。娘は元気いっぱいにワゴンをひいて歩く。

さっきまでたくさんの人がいたはずなのに、坂を下る道へ入った途端に全然人が見えず、静かになった。本当に花火大会はあったのかな、と狐につままれたような気持ちになる。夫が「花火大会は一年前ですよ」とどこかの誰かの声をつくりながら言って、冗談とわかっていながらも、ゾワッと鳥肌がたった。

近くの道の渋滞が解消されるまでのひととき、キャンプサイトで団らん。マシュマロを焼いてオレオに挟んで食べる。大きなマシュマロが甘くて甘くて。ひとつでお腹いっぱいになった。

22時になったところで、帰ることに。「テントがないなら車で泊まっていきたい」と最後まで粘っていた娘は、車が動き出すとすぐに寝た。

1時間も経たずに家に到着。車から下ろすとき、夫がお姫様抱っこをして運ぼうとすると、娘は「やめてー!」と怒る。人さらいじゃないんだから、と夫が焦る。抵抗していた娘も布団にごろんと横たわると、すぐに寝返りを打って、眠りに戻っていった。


2024/8/11(日) 上手にうめたね

久しぶりに何の予定もない週末。目が覚めると8時だった。最近は大体5〜6時には起きるから、こんなにゆっくり起きたのは久しぶりだ。

娘は10時近くまで寝ていた。

11時過ぎ、夫がブランチと言って、ツナと卵のオムレツを作ってくれた。ごはんに乗せていただく。

今日は一日家でのんびりすることに。

娘は夫に絵本を読んでもらったり、折り紙をしたり。

私はいつも後回しにしがちな掃除に精を出す。床を水拭きする。きれいになって気持ちが良い。

最近リビングにアリがいる。窓のサッシのところにたくさんいて、どうやらそのあたりからやってきているらしい。サッシをじっと観察していた夫がみつけた、床とサッシの隙間にテープを貼った。

途中で夫と娘はケンカしていた。というか、娘が夫に何かをしたのに謝らないでいた。二人はテーブルで向かい合って、それぞれ黙って折り紙をしている。

「さあ、仲直りしたらアイス食べよう」と声をかける。掃除の続き。戻って「まだかな?まだなら自転車こいでこようかな」と言うと、娘が「今お父さんにごめんねって言うところ」と折り紙を片付けて立ち上がる。「お父さんごめんね」「いいよ」。

それから3人でアイスを回し食べした。一番最初に食べた娘が「一口はこれぐらいね」とスプーンの先にアイスを乗せて見せる。夫が2倍ぐらいの量をとると「あー!」と娘に注意される。私がちょっと多めにとると、今度は夫が「あ!今たくさん取ってた」とチクってきた。

食べ終わってエアロバイクを漕ぐ。相変わらず2階はサウナのようで汗だくになる。

さっぱりしてから、今度は穴が開いてしまったワンピースを補修する。後ろに色と素材が近い布を貼って、ダーニング。「見て!穴埋まった」と娘と夫に見せる。「上手にうめたねぇ〜」と孫に話しかけるおばあちゃんかのごとく、娘が目を細めてほめてくれる。

「上手にうめたねぇ〜〇〇ちゃんのことも」。

娘を埋めるとはどういうことだろう?と頭にクエスチョンマークを浮かべていると、「上手に産んだってことだよ」と娘に言われる。「埋める」と「産める」がかかっている。なるほど、一本とられた。

あっという間に夕方になって、ダーニングを中断。夕飯をつくる。

「お風呂に入ろう」と夫が娘を肩車して、パジャマをとりにいく。「肩車してもらったらお風呂に入る」。そういう約束だったのに、娘はなかなかお風呂に入ろうとしない。冷蔵庫から取り出したミニトマトを「これは飴」とずっとなめている。

夫は先に入った。「〇〇ちゃんも入ってきて!お約束したんでしょ」。夕飯をつくりながらイライラする。最終的に夫があがってくる頃に、娘はひとりでお風呂に入った。

夕飯は、冷蔵庫にあった玉ねぎ、ナス、ピーマン、じゃがいも、トマト缶などを入れた夏野菜カレー。それからにんじんラペと冷奴。

できあがる頃、娘がお風呂からあがってきた。

ビールでも飲みながら食べようと思っていたことを、食べ終わってから思い出す。まあいいや、ビールはまた今度。代わりに炭酸水を飲んでシュワシュワを補充した。

一日家から出ない。こんな夏の日もまたよき。


2024/8/12(月) 毎日新しくかわいい

のんびりな週末。6時頃目覚める。

9時近くに部屋でパソコンに向かっていると、娘がイスの後ろにやってきた。右を向いても左を向いても、真後ろに隠れている。「あれー誰もいないな」と言う。バッと両手を後ろにまわして捕まえる。「きゃー!」となる。「知ってたでしょ、後ろにいたの?」と言いながら膝の上にやってくる。朝見る娘は、毎日新しくかわいい。

夫は10時頃まで寝ている。毎晩遅くまで仕事していて睡眠が足りてなさそうだから、眠れてそうなときはなるべくそっとしておく。

起きてきた夫と3人で、遅めの朝ご飯に昨日のカレーの残りを食べる。

今日こそヘチマを植え替える。ヘチマをグリーンカーテンにしたくて、ネットを買っておいたのに、設置をもう何週間も先延ばしにしていた。ヘチマはつかまる先がなくて弱ってきている。あと、ひとつの鉢に対して生えている量が多すぎるから間引いたほうがよいと言われたのも、後回しにしていた。

今日こそやる!意を決して、ヘチマを植え替える。暑くて、ちょっと外で作業しただけでしんどい。部屋に入ると涼しい。しばらくぼーっとする。

夫と娘は今日も折り紙をしていた。大人向けの折り紙の本で、少し難しいインコだとか、白鳥だとかを折っている。

一息ついて、今度は夫に手伝ってもらいながら、2階のバルコニーから1階の庭先までグリーンカーテンを貼る。やあ、できたできた。「時間ができたら」なんて思っていると永遠に時間はできないんだから、えいやっとやってみるしかない。

お昼ご飯は焼きそばをつくった。麺だけの焼きそばを買ってあって、味付けは醤油とオイスターソースでする。友達に教えてもらった味付けで気に入っている。そこに今日は玉ねぎこうじも足してみた。おいしい。

玉ねぎこうじを使ったところで、にんにくこうじを作ろうとしていたことを思い出す。にんにくを収穫した数ヶ月前に、畑が隣の友達に教えてもらって、やろうと思ったままだった。予定のないこんな日は、後回しにしようと思っていたことをやってみよう。

食後ににんにくこうじづくりに取り掛かる。にんにくの皮を剥くのになかなか時間がかかる。右手の親指を使いすぎて、だんだん爪の根元がじんじんしてきた。

フードプロセッサーで細かくして、麹と塩と水と混ぜたらあっという間に完成した。

にんにくの香りでいっぱいの台所で大変満足する。

さて、午後も良い時間。これからどこに行こう。プールに行こうか、という方向に話がまとまりかけたが、娘は眠たいらしい。そういえば、お昼ご飯前に機嫌が悪かった。

お昼寝して、温泉に行くことにする。娘は毎日ストレッチをするたびに1枚シールを自作の表に貼っているのだけれど、それがいっぱいになると、ご褒美に温泉に行くことになっている。ちょうど先週末、いっぱいになったところだった。

ソファに横たわった娘はすぐに寝た。1時間半ぐらいして起こす。車に乗って出発。

車の中で娘に「ティッシュほしい」と言われて、ティッシュを一枚取り出して渡す。「はい」と今度は鼻をかんで丸めたティッシュを渡される。ゴミは必ず私に渡すもの、と思っているらしい。

「あのね、お母さんはゴミもらう人じゃないんだ。ゴミは自分のバッグの中に入れておいて、帰ったらゴミ箱に捨てたらいいの」「へぇーそうなんだ」。いつか自分でゴミを持ち帰るようになったときが、親離れのときなのかもしれない、と思ったりする。

到着した温泉は「入場規制中」と看板が出ていて、いつもよりたくさんの警備員さんがいた。お盆だ。これは混んでいるかもしれない。

駐車場にはすっと入れて、たまたまひとつ空いていたところへ駐車できたが、車はいっぱいだった。

娘と一緒にお風呂へ。やっぱり混んでいて、洗い場も空くのを待った。娘がシャワーのボタンを押すと、勢いよく隣のお姉さんにかかるから、ひやひやした。もっとこっちに来なさい、と椅子をお姉さんとは反対側の人がいない方に寄せる。

お風呂に浸かる。そういえば前回来たときは、娘は夫と入って、私はひとりで入ったのだ。藤棚に咲いていた薄紫色の花と、そこにやってくる蜂を、ひとりでぼーっと眺めていた気がする。

「この前お母さんひとりで入ってて、そこのお花見てたんだ」「それでどうしたの?」「つまらないなと思って。今〇〇ちゃんと一緒に入ってて楽しいな」娘がにっこりした。

娘といると自分のペースで入れない、と思っていた。でも娘と「次どのお風呂入る?」など話しながら入るのは楽しい。ひとりになったらどのタイミングであがったらいいのかわからなくて、私は娘にペースをつくってもらっていたのかもしれないと思った。

いくつかのお湯をめぐって、良い具合に体が温まった。休憩スペースに座っていると娘が「あがろう」と言うから、「最後にあのお湯に少し入ってからあがろう」と目の前の湯船を指差す。

湯船の中は外国から来ただろう人も多かった。お盆。そして夏休み。

お風呂をあがって、待合スペースに行くと、すでに夫はあがっていた。3人でいつものストレッチメニューをこなす。それからレストランへ。お風呂の混み具合に比べたら混んでいなくて、すぐに席へ案内してもらう。

私と夫は豚しゃぶ。娘はそうめんと天ぷらとかやくご飯のセット。きっとそうめんだけでお腹いっぱいになって、あとのものはこちらに回ってくるだろう、と期待していたら、海老天を味見させてくれただけで、全然回ってこなかった。大人でも食べきれない人もいるだろうセットを食べきる5歳。末恐ろしい。

温泉ではいつも歯磨きまで済ませる。そして車の中で眠ってしまってもいいようにする。
でも今日の娘は寝付けずに家まで帰った。お昼寝が長過ぎただろうか。

布団で待っている、という娘。私は着替えて歯磨きをして追いかける。ヘチマの植え替えをしてぐったりした私のほうが、きっと娘より先に寝付いたに違いない。


2024/8/13(火) 踊らにゃソンソン

朝7時半。おやつづくりに取り掛かる。本当は水ようかんでもつくろうと思っていたのだけれど、冷蔵庫に入れておいたあんこがことごとくダメになっていた。梅シロップと寒天でゼリーをつくる。

寒天ゼリーを冷蔵庫で冷やし、お弁当をつくる。

娘は8時頃には起きてきた。夫によると、昨日私と一緒に布団に入ったものの寝付けず、22時頃起きてきたとか。結局23時頃寝たらしい。どおりで朝からとても眠たそうだ。

「寒天ゼリー作ったよ」と言うと喜んで何度も何度も冷蔵庫を覗きに行った。

今日は友達に娘を預かってもらえる日。固まったゼリーとお弁当と眠そうな娘を車に乗せて、集合場所へ連れていく。

娘を友達にお願いして、帰宅して原稿を書く。最近自室は暑いから1階のリビングで仕事している。

25分作業して5分休憩するポモドーロタイマーを導入したら、劇的に捗った。目の前のことが行き詰まるとスマホを見たくなってしまい、スマホを見始めるとダラダラする、という無駄な時間があったけれど、スマホを見たくても「次の5分休憩で見よう」と区切りをつけられるのがとても良い。

16時半、娘のお迎えをして帰宅。お風呂を沸かして、先日買ったチダイを冷蔵庫から取り出す。なるほど、スーパーで出会ったおばあちゃんが言っていた通り、鱗を取るのがなかなか手間だ。さばいて内臓も取り出さなければならない。なんとか下処理して、煮付けを始めた頃には17時半。

そろそろ出かける時間だ。煮付けになったチダイは夫に食べてもらうことにして、沸かしたお風呂には入れないまま、娘と出かける。歩いて近所の公園へ。

今夜はカラオケ大会。徒歩5分ちょっとの公園に手作りの屋台が並んでいた。

盆踊りよろしく櫓が建てられ、その前には椅子が並べられている。盆踊りと異なるのは、櫓の舞台とお客さん側とそれぞれにモニターが置いてあるところだ。

なんとこの町内会のカラオケ大会、今年で37回というから、意外と長い歴史に驚く。

焼きそばや焼き鳥を買って席へ着くと、ちょうど18時になり、カラオケが始まった。知っている友達の子らや、友達のパートナーが歌う。うまい!かわいい!と言ったり、名前をコールしながら応援する。

前の方の席が空いて、友達の近くへ移動。エントリーの10組ほどが終わり、続いて当日の飛び入りコーナーへ。友達が本気で歌っていて、ライブ会場かのごとく、盛り上がる。楽しい。

一緒に歌ったり、上手な人の歌に聴き入ったり。老いも若きもそれぞれ楽しんでいる。様々な人が共にある社会、をテーマに取材をしたり記事を書いたりすることがある。ここでは音楽を通して、なんにも気負わずにそれができている。すごいな。いいな。

子どもたちがYOASOBIの「アイドル」を歌って、以前練習したことのあるオタ芸もやった。久しぶりにやったけれど、案外覚えていた。跳ねて、こぶしをあげて、今度は膝立ちで両手を広げて...とにかく全力でやりすぎて息があがる。

「踊る阿呆に、見る阿呆」友達が言っていた。踊らにゃソンソン、である。

気がついたら21時頃になっていて、友達たちに別れを告げて、娘と歩いて帰る。

帰ったら娘はグダグダだった。なかなかお風呂にも入ろうとしない。そもそも睡眠不足な上に、一日外で遊んで、カラオケ大会である。疲れていても無理もない。

そんな娘にイライラしつつ、「疲れちゃったよね」と共感したり、遅くなってしまったことを謝ったり。私と娘のそれぞれの気持ちをなんとかして、日中田んぼでドロドロになったらしい娘をお風呂に入れて、一緒に布団に横たわった。


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