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夢の中でも走っているらしい[2024/6/12(水)〜6/18(火)]


2024/6/12(水) 原稿と引取訓練を終えた後のアイス

昨晩は20時半に娘と寝て、23時半に目が覚めた。

娘は暑いのか、布団の上をあっちへこっちへ動き回ったり、床に転がったりしながらいる。私が起き上がると「お母さんどこ行くの?」と言う。「お水飲みに行く」と言うと「〇〇ちゃんも」と言うから、私の部屋の水筒に入っている水をあげた。「お母さんお仕事するから先寝てて」と言うと、ひとりで寝室に戻った。原稿を書かなければ。

「お父さんすぐ行くね」と娘に声を掛けた夫が、0時過ぎに「おやすみ」と寝室に向かっていく。

そのまま朝まで原稿を書く。原稿を書いているときは時間がものすごい速さで進む。8時になってもあと少し、というところ。

起きて私の部屋へ来た娘は私のスマホを触って「XXXXXX」と数字を唱えている。「あれ?」「同じ番号じゃないよ」と教える。どうやら夫に暗証番号を教えてもらったらしい。ちなみに夫の暗証番号は昔から変わらないので私も知っている。セキュリティガバガバだ。

「お母さんのも教えて」「教えない」と言うと「なんでー?」と泣き始めた。「お母さんの番号はお父さんも知らないし、誰にも教えない」暗証番号は教えるものではない、と伝える。娘は寝たはずなのに、なぜか私が眠たいときは娘もごきげんがいまいちだ。

支度をして、お弁当を作り、ようちえんの集合場所へ送っていく。今日も海岸。眠たいけれど、海風が心地よい。

帰宅して原稿の続きを書く。なんとか納得の行くラインまで書けて提出。1時間の目覚ましをかけて、布団に横たわった。

目覚ましで目が覚める。余っていた米に、マヨ昆布と塩もみきゅうりを乗せてお昼ご飯。

町内一斉避難訓練の日で、放送を待つ。「地震です」の町内放送がやってきて、家を出る。夏みたいな日差しの日だ。日傘をさして歩く。家から子どもたちが避難している体育館までは10分ちょっとの距離だった。

娘を引き取って、来た道を帰る。「ファンファン ファンファン ファンファン、じしんです、じしんです、って言ってたんだよ」と娘が防災放送のマネをする。「本当じゃないってわかってるけど、ちょっとこわかったんだ」。帰ったらアイス食べようね、と話しながら、手をつないで帰る。

帰宅するとトイレに入った娘は「電池が切れました」と言う。暑い中、たくさん歩いて疲れたらしい。

手を洗い、「〇〇ちゃんが選ぶねー!」と言って冷凍庫からアイスを取り出し、2人分のスプーンを持ってきた。こんな暑い日に、原稿を提出し、引取訓練も無事に終え、ホッとして食べるアイスはおいしい。

「まだ何か食べたい」と娘が言うから、随分前に娘へお土産に、と買ってきたクッキーを一緒に食べる。娘へのお土産だから、と食べる数を遠慮したのに、娘はハート型やネコ型のクッキーを少しずつ割っては私にくれた。

眠たい私と電池の切れた娘は、昼寝することにした。布団に横たわる。目を瞑ってもなかなか寝付けない私をよそに、娘の寝息が聞こえてきた。隣を見てみると、両手足を投げ出して脱力し、とても気持ちよさそうに眠っている。少し開けた窓から風が入ってくると、カーテンがふわっと持ち上がって光が差し込んだ。

眠れないな、と思っているうちに、ピンポーンと郵便屋さんが来た。起き上がって、玄関で郵便物を受け取り、もう一度布団に横たわる。今度は眠ることができた。

3時前に寝て、起きたのは5時過ぎだ。とてもよく寝てすっきりした。「〇〇ちゃーん」と娘に声をかけるが起きない。

キッチンで夕飯の準備をしていたら「おかあさーん」と声がした。6時近かった。

7時前に帰ってきた夫と3人で夕飯にタコライスを食べる。早く帰ってきた夫がお風呂に入ろうと誘うが、娘は「ママと」と言ってなかなか入ろうとしない。夫と入れ違いで私が入ること、つまり二人とそれぞれ入ることができることを約束して、娘は夫とお風呂に入っていった。

サファリパークごっこをしているのが聞こえる。「お父さんはライオンにしようかな」「〇〇ちゃんはうさぎね」「こんこーん、うさぎさんのところに入れてください」「いいですよ〜」「ガブッ」。続いて楽しそうな歌声が聴こえる。「お父さんとお風呂に入るの楽しいからずっといたくなっちゃう」と言っている。入るまでは渋るのに、いつも2人は楽しそうなのだ。

夫と交替でお風呂に入る。娘は引き続き入ったままだ。「お湯が緑になるやつもってきて」と言われて、入浴剤を持っていく。葉っぱがそのまま入った、お茶パックのような入浴剤だ。「お茶屋さんでーす」と娘が風呂桶に入浴剤を入れて遊んでいる。「お茶ひとつください」と言うと「はーい」と取り出して入浴剤を絞る。と、袋が破けた。ハラハラと細かい葉っぱが湯船に沈んでいく。そこでお茶屋さんは店じまいとなった。

22時前に布団に入る。娘がしゃっくりをしていた。「ひくっ」と言った後に「わっ!」と驚かせてみる。また「ひくっ」とする。止まらないようだ。

ふと、この子はしゃっくりの止め方を知らないのだと思う。私が人生でもう何度も何度もトライしてきたことを、この子はまだ経験していない。

「大きく息を吸ってー、止めてー、1、2、3、4、5、はぁーっと吐くー」と娘を誘導する。
深呼吸を何度か繰り返す。「止まった?」「ちょっと待ってて......止まった!」。

こういうときに私は娘より先に生きているのだと感じる。そして娘の目を通して、人生がまた新しい。


2024/6/13(木) 夢の中でも走っているらしい

8時過ぎに娘を起こして、一緒に朝ご飯を食べる。夫はもう出かけた後だ。昨日のタコライスを食べる。ちなみにお弁当もタコライスだ。娘を友だちに預ける日で、おやつに、と人参の葉がたっぷりはいったチヂミを焼く。

家を出る時に、娘が「光る靴履いていきたい」と言う。洗っておいて、と言われていたのに、まだ洗えてなかった。「洗ってなくてごめんね」と言うと、「いいよ、ママは忙しいから」と言われた。今日はくもり空だから、今度晴れたら洗おう。

集合場所の果樹園跡地まで送る。娘はなかなか離れたがらずに、私にくっついていた。「行くね」と言うと、最後は覚悟を決めたのか、両手でハイタッチをして、離れていった。

家に戻る道で、ラジオからスピッツの「空も飛べるはず」が流れてきて、一緒に歌う。初夏の朝にぴったりな選曲だなと思う。

帰って仕事。パソコンに向かって資料を読んでいたら、ものすごい眠気がやってきた。なんとか目覚めて、12時過ぎに終わらせたかった仕事を終える。お昼ご飯を食べて、出かけた。

16時過ぎに家に戻ってくる。娘は友達と田んぼに行っていた。仕事のメールなど返したり、ノートに物を書き留めたりしていると、17時頃、友達が娘を家まで送り届けてくれた。

「帰ったらみんなアイス食べるって言ってた」と娘が言う。じゃあうちも食べようか、と言うと、喜んで冷凍庫からアイスを取り出した。二人で、交代交代すくいながら食べる。

夕飯に、余っているひき肉を食べようと考えていたら、麻婆豆腐というアイディアが浮かんできた。豆腐がないから、娘と駅前まで買い物に行く。娘はストライダーに乗っていた。「これはキングルマっていうんだ」と言うと、「発車します」とハンドルのあたりで何かを操作する動きをして、ストライダーをスタートさせた。

八百屋さんには絹しか売っていなくて、コンビニで木綿を買う。ついでに近くの雑貨屋のTさんへ米粉を買いに。チヂミなど作っていたらあっという間になくなってしまったのだ。ついでに靴下も買う。

家に帰って麻婆豆腐を作り、娘と食べる。

食後、娘はリビングで、円を描きながら「わっせわっせ」と走っていた。お風呂に入ろうと思ったら、夫が帰ってきた。娘をお風呂に誘うが、「まだ走る」と言うから、私は一人で入る。

お風呂をあがるとまだ走っていた。夫もごはんをおかわりする合間に走らされたらしい。「汗びっちょになった〜」と言う娘は、額に汗かき、赤い顔をしている。運動不足を解消しよう、と思うと、家の外に出なければ、と思いがちだが、なるほど、家の一角でもこんなに運動することができる。

ご飯を食べ終わった夫と、汗びっちょの娘がお風呂に入った。

お風呂上がりにストレッチをする。昨日から、なぜか数を数える代わりに、人の名前を繰り返している。娘は「さくらみちょうまえ えいしょうさん」(歌を歌う人らしい)、夫は「吉田ロミルカ」(ロミとルカの双子という設定があるらしい)、私は「ジェームズ・ボンド」(ご存知の通り)という名前を唱える。一番わかりやすいはずの「ジェームズ・ボンド」という名前を私がすぐ忘れるものだから、順番がくるたびに「次、ジェームズ・ボンドだよ」と娘が教えてくれた。

布団に入り絵本『おてんきのあじ』を読む。娘がバレエの発表会のときに、お友達からプレゼントしてもらった本だ。朝もやのエキスをしのばせたケーキ、くもり空を混ぜたスープ。どんな味がするんだろうと想像するだけでうっとりする一冊だ。

夜中、娘が寝言で「わっせわっせ」と言っていた。夢の中でも走っているらしい。


2024/6/14(金) ふりだしに戻る

ようちえんの集合場所まで娘を送って、家で仕事。
窓を開けたら風が心地よくて、とても眠たくなる。

今日は夜に実家に出かける。不在にする日の前は読みかけの本を読み終えたくなり、バレットジャーナルについて書かれた本と、古賀及子さんの日記本『ちょっと踊ったり すぐに駆け出す』を読み終える。

古賀さんの日記は面白くて、ちょっとずつ噛み締めながら読んでいたのだが、ここへ来て一気に読み進めた。事象の捉え方が独特でとても良いし、言葉選びのセンスが秀逸である。

読んでいたらハムが出てきて、ふと冷蔵庫に生ハムの残りがあるのを思い出し、生ハムの残りを食べながら本を読んだ。

娘のお迎え。お母さんたちと話したかったが「トイレ!」と言う娘に引っ張られてすぐに退散する。

帰ってきて、夕飯づくりに取りかかる。娘は荷造りをする。洋服などを自分でタンスから取り出し、袋に入れて詰めていく。

荷造りが終わると、「お昼寝する」と階段を登っていった。夕方のバレエまで時間があるから、昼寝をしようと約束していた。「ひとりで眠れる?」と聞くと「うん」と言う。「困ったら呼んでね」と声を掛ける。

2階は暑いだろうから窓を開けよう、と思いついて寝室に行くと。娘は、なぜか私の枕の上で、横向きに丸くなって寝ていた。

豚の角煮を煮込みながら、仕事の続き。

いつもより1時間遅いバレエの時間が近づいてきて、娘を起こす。とても良く眠っていて、まだまだ眠たそうだった。

バレエに駆けつける。今日は二人お姉ちゃんが一緒で、やっぱり見本になるお姉ちゃんがいるといいなぁと思う。

バレエから家に帰り、夕飯を食べる。夫が帰ってきていて、一緒に夕飯を食べる。荷造りがまだだった私が荷物を準備して、娘と二人で実家に出かける。

グリーン車のチケットを買って、電車が来るのを待つ。駅に滑り込んできた上り列車の客席はスカスカで、グリーン車じゃなくても良かったな、と気付かされる。案の定グリーン車には誰も座っていなかった。

「誰もいなくてさみしい」と娘が言うのを、「自分たちだけの方がのびのびできていいよ」などと答えながらいる。30分ほど電車に乗った。えっと明日は...と考え始めたところで、はっ!とする。明日の公演のチケットと、実家で行こうと思っている歯医者で使う保険証などをすっかり置いてきてしまった。

「〇〇ちゃんごめん、次の駅で降りよう」。

次の駅で降り、階段を上って隣のホームへ移動する。ここまで進んできたのにふりだしに戻る時の気持ちのむなしさや。チケットと保険証という、替えが効かないものを忘れてきたのが悔やしい。

ここから自宅の最寄駅に戻ったところで21時。私も娘もすでにとても眠たくて、今日の移動は無理そうだ。夫と母、それぞれに、今から帰ります、やっぱり明日行くことにします、と連絡する。戻りの下り電車は混んでいて、リュックを抱えてきゅきゅっと小さくなりながらいた。

最寄駅に着く。「お母さんうっかりで本当にごめんね」と娘に謝る。早々と準備して、おじいちゃんおばあちゃんの家に行くことを楽しみに出てきたのに、眠たい中歩かせることになって申し訳ない。「いいよー」と言ってくれる娘。ちょうど半分のお月さまが照らす道をまっすぐ歩いて帰った。


2024/6/15(土) 畑とランドセルとスムージー

7時半に娘を起こそうと声を掛ける。少しも起きる気配がない。あきらめて、8時過ぎにもう一度揺り起こす。すぐに出かけなければならない。

ホットケーキを焼いて、切って、お弁当の空き容器に詰める。昨日準備済みの荷物を背負って、娘と出かけた。

昨日うっかりグリーン車に乗ってしまったから、今日は普通車両で向かう。持参したホットケーキはしばらく食べられないことに気づく。娘が「いいのいいの、おばあちゃんちで食べよう」と言ってくれた。

移動中は本を読む。娘は何をしていたのだろう。昼寝もせず、ひとりで暇をやり過ごしながら、静かに座っていた。

実家の最寄り駅に到着。改札の向こうに母の姿が見えた。子どもの頃、山形へ行くと改札まで迎えに来てくれていたおばあちゃんの姿と重なる。おばあちゃんもいつも、満面の笑みで手を振っていた。

そのまま父と母がやっている畑へ向かうことになった。ホットケーキは車の中で食べる。父はここ数年畑にドハマリしている。私の知っている父は電化製品が大好きでパソコンなど自作する人だが、今はすっかり趣味=畑だ。元々のオタク気質が功を奏して、畑の本やテレビ番組やYouTubeを熱心に見ては、3日と空けず畑に通っているらしい。

以前訪れたときより広がった、とはいえ小さな部屋ぐらいのサイズの農地に、元気に野菜が育っていた。スイカ、枝豆、ミニトマト、かぼちゃ、レタス、にんじんなどを娘は収穫させてもらう。

「ランドセルをみにいこう」と母が言う。畑からランドセルのお店が近く、すでに下見を済ませていたらしい。ランドセルなんて、春が近づいて値下がりした頃に購入すればいいかな、ぐらいに考えていたが、張り切っている祖父母と、目を輝かせている娘の勢いで、新品のランドセルはいつの間にか車のトランクに積まれていた。

帰り際、今度は「セブンイレブンでスムージー飲んでこう」と母が提案する。すでにスムージー体験をしたことがあるらしい母の案内で、おのおのお店の冷凍庫からスムージーのパックを選び、会計して、機械に入れてスムージーを完成させた。手軽にちょっと高級な気持ちを味わえるスムージー。わが町にもあるのだろうか。

帰宅して、畑で取ってきたいろいろでお昼ご飯を食べた。食後しばらくぼーっとしていたが、眠たくて眠たくて、部屋で昼寝をする。

起きたときには、3時を過ぎていた。そろそろ出かける時間だ!と飛び起きる

電車に乗って、習っているバレエスタジオのお姉さんたちが出る公演へ。とても良くて、涙が出てきた。娘は同年代の子どもたちが出ている場面は食い入るように見ていたが、高校生以上のお姉さんお兄さんが出てくるようなしっとりしたダンスになると、退屈しだした。

休憩時間になる手前に会場を出る。追いかけてきてくれた出演者の母の友達からクッキーをもらって、ほっこりする。

ホールの最寄駅前に、おこわのお店の看板が見えた。小学校の同級生のお父さんの会社らしい。おうちにお邪魔させてもらって、お母さんのコレクションという、くらもちふさこのマンガを読ませてもらった。あの子は元気にしてるだろうか。しばし思いを馳せながら、おこわ弁当を購入する。4人分のおこわ弁当と眠くてたぷたぷの頭を抱え、実家まで帰った。


2024/6/16(日) 魔法が使えるのは本物のエルサ

久しぶりに目覚ましをかけずにたっぷり寝た。起きたのは7時頃だった。私が起きて部屋の外にいると、すぐに娘の起きてくる声。実家にいると、私の起きたことに気づいて娘が起きてくることが多い。

起きてきた娘と母と3人で朝ご飯を食べる。父は朝早くから仕事に行ったらしい。

今日は昼過ぎからミュージカルを観に行く。その前に近所の古着屋にひとりで行くことにした。母と娘とは駅前で待ち合わせることにした。

家と駅の途中にある古着屋には、掘り出し物がある。ほしいけれど高くて購入を見送っていたブラウスをここで見つけて、安く手に入れたこともあった。

あれもこれもとカゴに入れて、試着してみる。たくさん試着してみたけれど、着てみるとなんだか違う、と思うものも多くて、結局白い半袖のブラウス1枚だけ良いなと思った。襟にパールがたくさん付いていて、それがかわいいのだが、どうやって洗濯するのだろう。ふと現実的な気持ちになって、返却の棚に戻す。駅で母と娘と待ち合わせの時間になっていることに気づいて、急いでお店を出る。

母と娘も遅れていて、ちょうど同じ頃に駅に着いた。電車に乗りながらブラウスの話を母にすると「そんなの洗濯ネットに入れればいいじゃない」と言われて、ああそうか、それでいいのか、と思う。帰り際にまた見に行ってみよう。

観に行ったミュージカル、劇団四季の『アナと雪の女王』は予想以上に素晴らしかった。光の演出や最新の舞台技術によって魔法が現れて驚く場面ばかりだった。衣装が歌っている途中でパッと変わるのなど、どうやってしているのだろう。

そんなことを思っていた1幕の終わり、娘が私の耳元を手で囲い、口を寄せて「魔法使ってたから、本物のエルサだね」と言った。そうだ、本物なのだ。大人は現実と舞台の上を完全に切り離してみているけれど、子どもはまだファンタジーの世界を生きている。「本物のアナとエルサに会えた!」と喜んでいる。

終演後に「オラフは人形を後ろのお兄さんが動かしてたね」というような話を母がするのを「オラフは目パチパチしてたよ」と娘が首をかしげながらいるので、「オラフは生きてたね」と言うと娘は頷いた。大人は自分のものの見方で子どもの世界を壊さないように気をつけないといけない。

大変感動したまま、実家の最寄駅に帰宅。帰り道に、行きに訪れた古着屋さんを再び覗く。私が目をつけていたブラウスはもうどこを探しても見当たらなかった。残念だが、一期一会である。代わりに見つけたワンピースやブラウスをかごに入れる。娘も数少ない子ども服の中から見つけてきた赤いチェックのトップスを「これちょうどいいの!試着する」と持ってきて、気に入って購入した。

帰宅するとすぐに、父も帰ってきた。みんなでお寿司屋さんに出かける。なんとなく解禁が延ばし延ばしになっていたが、娘も5歳をすぎて当たり前に生魚が食べられるようになった。回るお寿司を食べに行きたいと思ったのだ。

車で訪れた地元のお寿司屋さんは、ものすごい行列ができていた。日曜の夜、そして父の日である。到着したときに呼ばれていたのは120番台。私たちが手に取った番号は146番。これはしばらく待つことになりそうだ。

店内の椅子に腰掛けることができて、順番を待つ。本を持ってきておいてよかった。昨日から読み始めた、植本一子さんと滝口悠生さんの往復書簡『さびしさについて』を読み終える。誰かについて書くことや子育てのことなど私にとって身近な話題も多く、二人の親密なやりとりに私も参加するような気持ちで読んだ。

椅子にとろとろに溶けてしまいそうになった頃、やっと順番がやってきて、席に案内された。入店して1時間半近く経っていた。

お腹がぺこぺこで、急いでタッチパネルで食べたいお寿司を注文する。お寿司はすっと運ばれてくる。電車のように運ばれてくるさまに、娘が喜ぶ。

昔はタッチパネルと同時に、回っているお寿司もあったはずだが、このお店には回っているお寿司はなかった。注文していなかったけど、食べてみようか、と思うネタなどに手を伸ばすのも楽しかったのだが、効率や食品ロスのことを考えたら、たしかに注文する分だけ届く方がいいのだろう。回転寿司はもはや回転していない。

席に着いたときには勢いよくあれもこれもと注文するのに、2巡目、3巡目になる頃にはすっかりお腹も落ち着いて、勢いも衰えていく。これぐらいかなぁと思ったところでお愛想をする。皿を重ねていたが、そうか、タッチパネルだと色別に皿を重ねておく、というようなことをしなくていいのか。身についた“回転寿司仕草”が不要なことに気づいた。

今日もたくさん動いたから泥のように眠くて。どろどろどろんと布団になだれ込んだ。


2024/6/17(月) 一日に二回同じドラマを観る

寝室で寝ている娘に「ママー」と呼ばれる。「おはよう」と声を掛けると「ドラマは?」と言う。「まだ始まってないよ」。実家にいるときは、朝ドラを見るのを楽しみにしている。

ちょうど前回実家に滞在したときは、今季の朝ドラ『虎に翼』の1週目が放送されていた。それ以来となる視聴で、学生だったはずの主人公はだいぶ大人になり、主人公と何か確執があったらしい友達との再会が描かれていた。断片的すぎてわからないながらも、推察しながら観る。

朝ご飯を食べたら仕事のミーティングがあった。途中で娘が部屋に入ってきて画面に映り込もうとする。娘はこういういたずらを、私にも夫にも仕掛ける。ちゃんと真面目なミーティングだったから、「本当にやめて」と言って出ていってもらう。私の仏頂面が画面にもばっちり映っていたに違いない。

ミーティングの後は、歯医者さんを予約していた。ずっとお世話になっている歯医者さんで、実家に帰ってきたタイミングで通っている。娘も歯を見てもらって、とてもきれいにクリーニングしてもらった。40分間、施術に耐えていた娘は「〇〇ちゃんは大人より強いよってお姉さんが言ってた」と得意げだ。二人で歯を見せあって「キラーン」と言いながら実家に戻った。

実家に戻ると、2回目の朝ドラの放送時間で、もう一度観る。1日に二回も同じ話を観るなんて不思議なことだ。たぶんどちらか一回しか見ない人が大半だろうけど。今度は主人公と友達の確執とは何なのか、母から解説を受けながら観た。

昼食は母が冷やし中華を作ってくれた。この夏初めての冷やし中華。ゆず塩味がさっぱりしていておいしい。デザートに母の手作りの水ようかんをいただいた。

鎌倉へ行くらしい母と一緒に、バスに乗り、グリーン車に乗り込む。

少しだけパソコンを開いて、後は本を読みながら帰る。木下龍也さんの『天才による凡人のための短歌教室』を読み終える。短歌を詠むためのノウハウが詰まっていて、一句作ってみたくなる。

帰宅したのは16時半頃だった。とても眠い。ソファに座ったら、そのまま沈んでいってしまいそうだ。娘はすぐにリュックの中の荷物を片付け始めた。いつも帰ってきたらすぐに荷物を片付けるからちゃんとしていて驚く。私もそれを見て、自分のリュックの中身を片付ける。

夕飯を作るのも眠たくて、何度もキッチンにある椅子...ではなく夫が娘のために作った台に腰掛けては立ち上がるを繰り返した。冷凍庫から餃子を取り出す。ありがとう、今夜君がいてくれて良かった、と思いながら焼く。

「〇〇ちゃん、にんじんラペ食べたい」と娘が言うから、にんじんを細く刻む。餃子とにんじんラペと塩もみきゅうりで晩ごはんにした。

夜は眠気に押し流されるように過ぎていく。お風呂に入って寝る準備を済ませて、夫が帰ってくるより前に2人で寝た。


2024/6/18(火) 大雨の日、ちょっと大変でも食べたいハンバーグ

パタパタと水滴の落ちる音がする。予報通り、朝から雨が降っている。町内の学校は大雨のために休校になったようだ。

7時過ぎに連絡がきて、ようちえんは12時半までの保育になった。

雨の中、車で娘を町民センターまで送っていく。帰り道は、一番速くワイパーを動かしても、前が見えなくなりそうなぐらいの雨になっていた。

家で仕事。今日は娘を夕方まで友達に預かってもらえる予定の日で、原稿の締め切りや修正原稿の戻し日などに設定していた。間に合うのだろうか。

お迎えは夫が行ってくれた。切羽詰まった様子の私を見かねたのかもしれない。帰って来る頃に、お昼ご飯のラーメンを作って、夫と食べる。お弁当を食べてきていた娘も「食べたい」と言うから、お椀に少し分けてやった。

仕事をする。娘には、今日は帰ってきた後も仕事する、と話していた。家で預かってもいいよ、と言ってくれている友達もいたが、娘は「雷が鳴ったらこわいから家にいたい」らしい。

私の部屋からカリンバを持ってきた娘が、とても気持ちよさそうにつま弾きながら歌う。「今のは、“私は飛行機で飛んでいく、空に”って歌なんだ」と言う。「でも作ったらすぐに忘れちゃうんだ」「そこがいいよね、忘れるから新しいのが生まれるんだよね」。自分で言いながら本当にそうだなと思う。

それでもやっぱり、遊びたい娘と仕事したい父と母のいる空間はうまくいかないことも多くて、イライラしたり、注意したり、娘が泣いたり、ごめんね、と謝ったりした。

バタバタしながら、いつもより時間をかけて原稿を完成させて提出する。間に合ってよかった。

夕飯を何にしようかと娘に相談すると「ちょっと大変かもしれないんだけど、ハンバーグがいいな」と言う。お友達のお弁当にハンバーグが入っていて、食べたくなったらしい。

娘と夫が歌ったりしながらずいぶんな長湯をしている間に、ハンバーグを作る。うちのハンバーグのレシピは近所の食堂で教えてもらったもので、娘も夫も大好物だ。

ハンバーグと一緒に、農家の友達が育てたカブをオイル蒸しにして出したら、おいしいおいしいと娘がほとんど食べた。

寝支度を済ませた娘には夫が寝室までついて行って、私はお風呂に入る。パジャマをとりに寝室に行ったら娘が「〇〇ちゃんまだ起きてるよーお父さんは寝てる」と言った。夫も「起きてますよー」と寝ぼけた声で言った。

お風呂からあがって寝室に行くと、今度は二人とも寝ていた。まだ仕事をするつもりだろう夫を起こす。

私は今日中に終わらせる必要がある原稿の修正に取り掛かる。なんとか「今日中」という期限に間に合わせることができて、ホッとして布団に入った。雨の道をザザザーと車が駆け抜けていく音がした。



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