わたなべなおこ

翻訳者/ことばの森ソルレム/国分寺ソルレム韓国語多読の会(絵本・児童書)/わたなべなお…

わたなべなおこ

翻訳者/ことばの森ソルレム/国分寺ソルレム韓国語多読の会(絵本・児童書)/わたなべなおこのクリムチェクイヤギ/翻訳『村上春樹のせいで』『ダンボール』『インフルエンサーのママを告発します』『世宗大王をさがせ』『おかあさん観察図鑑』など/韓国語多読と翻訳と子育ての日々を記録します

最近の記事

『해치지 않아』(傷つけない)

ずっと気になっていた『해치지 않아』という本をようやく韓国から取り寄せて読みました。『이야기 요정』(おはなしの妖精)と同じ、atnoonbooksという出版社から2016年に発行された本です。 今ごろ気づいたのですが、著者の정미진(チョン・ミジン)さんは『이야기 요정』や、ずっと前に読んで強い印象を残した『있잖아, 누구씨』を書いた方でした。それぞれ別のイラストレーターさんが絵を描いているので、認識できていなかった…。毎回、絵もとてもいいですね。 『해치지 않아』 「

    • 『생각에 생각을』(思考に思考を) 정진호 

      정진호(チョン・ジンホ)さんの『생각에 생각을』という絵本を読みました。このタイトル、直訳すると「考えに考えを」という意味ですが、なんと訳したらいいのか생각중(考え中)です。 チョン・ジンホさんは大学で建築を学んだのちに絵本作家になったという経歴をお持ちの方で、線や図形の表現がおもしろく、代表作の『벽』(壁)などでも「どこから見るかによって見え方が変わる」、「立場によって見える世界が違う」ということを表現しているように思います。 『위를 봐요!』(上を見て!)と『벽』(壁)

      • 『이야기 요정』(おはなしの妖精)

        『이야기 요정』(おはなしの妖精)というとても可愛い本が韓国から届きました。こだわりの詰まった本づくりをしている個性派の出版社 atnoonbooks(엣눈북스)から6月20日に発行されたばかりの大人の絵本です。 atnoonbooksのInstagramなどで書影は何度も目にしていましたが、手に取って驚いたのは本の小ささ! なんと横15㎝×縦13㎝で、わたしの両手の手のひらにすっぽりおさまってしまうサイズです。これはかなり特別な例ですが、韓国の本って判型がわりと自由ですよ

        • 「설렘 책 읽는 방(ソルレム 本を読む部屋)」 はじめます。

          韓国の本、そして翻訳に興味がある人のための 「설렘 책 읽는 방(ソルレム 本を読む部屋)」 はじめます。 みんなで韓国の本や翻訳書を持ち寄って、ひとまずその場で読みたい本を読みましょう。 ソルレムの本棚から好きな本を選んで、みじかめの絵本一冊、長い本の冒頭やあとがき、詩の一編など、そのときに読める分だけを読んでみるのもいいと思います。 これまで多読の会で多くの人たちと韓国の絵本を読む時間を共有してきました。その経験から、本を読むことは個人的な活動ですが、みんなでいっし

        『해치지 않아』(傷つけない)

          『당신을 측정해 드립니다』 권정민

          권정민(クォン・ジョンミン)さんの注目の新作『당신을 측정해 드립니다』(あなたを測定してさしあげます)が韓国から届きました。 (クォン・ジョンミンさんは『おかあさん観察図鑑』の作者) 生まれた瞬間からつねに何かを「測定」してはその結果を人と比べ、数値の良し悪しや順位に一喜一憂して生きる現代人のストレスフルな姿を描いた作品で、いかにもクォン・ジョンミンさんらしい鋭い風刺とウィットが効いています。「測定」という切り口自体が秀逸ですね。 第一段階では身長・体重・視力・しっぽの

          『당신을 측정해 드립니다』 권정민

          「unharvested」

          神保町のチェッコリで店長をしていた時代に買った『나를 흔든 시 한 줄』(わたしが心を揺さぶられた詩の一節、という意味)という本を久しぶりにソルレムの本棚から家に持ち帰ってきて読みはじめた。韓国の著名人たちが自分が好きな詩の一節を紹介している本で、当時もところどころ読んだはずだけれどほとんど記憶がない。 今日の東京は雨でしっとりしていて詩の気分だったので、この本のいちばんはじめに紹介されている「안 거둬들인」というロバート・フロストの詩の一部を声に出して読んだりノートに書き

          わたなべなおこです

          はじめまして、韓国語翻訳者の渡辺奈緒子です。 1983年生まれ。15歳までソウルに住んでいました。ソウル日本人学校が江南区開浦洞にあった時代の卒業生です。 日本に帰ってICU高校→ICUに通い、数年会社勤務をしたあと日本語教師になりました。そして、仕事では日本語を教え、プライベートでは韓国語学習を継続する中で「多読」に出会い、日本語多読と韓国語多読の実践をはじめました。 多読について知りたいこと、考えたいことがふくらみ、30歳から一橋大学大学院言語社会研究科にて第二言語におけ

          わたなべなおこです