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ゴールと施策の紐づけを見える化~健康経営の実践方法をWikipedia的に更新してガイドブック化する~

ガイドブック化に向けたこれまでの振り返り

これまで、健康経営を実践するのに、担当者に気軽に見て頂けるガイドブックを作ることを宣言し、さくっと「健康経営に取り組む理由」を決めてみることや「健康経営の数値目標の設定」の仕方について触れた。

次にトップのコミットメントを得る方法としてまず「3つの目線合わせ」についてお伝えした。認知バイアスを取り除き、「理想」「現実」そして「解釈」をすり合わせることで自ずとトップコミットメントを得られる土台ができる。

そして、実行と継続を見据え「ライフスタイル」や「ワークスタイル」への配慮ができる現場を巻き込んだ組織体制の組成をおすすめした。

今回は、これまでのStepを重ねたのちに、実際にどのような施策をしていくのか、施策立案はどう進めたらいいのかについてお伝えしたい。

未経験でもできる健康経営の施策検討方法

これから記載するのは健康関連の知識を保有していない方向けの内容ですので、専門家の方からすると「そんなの分かってるわ!」という内容かもしれませんが予めご容赦頂ければと思います。

健康経営の実践内容については、ゴールから逆算して何をするか。またどこをターゲットにするのかで大きく変わってくる。

その為、まずは健康経営に取り組む理由に戻り、その背景を探っていくことが重要だ。例えば、「突然死の防止」であれば、自社の突然死で多い死因が何かを確認する。

恐らく、がんや心筋梗塞、脳梗塞などがあがるだろう。心筋梗塞や脳梗塞は動脈硬化を原因とする疾患だ。そして動脈硬化は喫煙・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足・ストレスなどの危険因子が重なることによって発症しやすくなるため、これらへ対策を打っていく必要性だということがわかる。

参考までに「わが国におけるリスク要因別の関連死亡者数」が以下のようにまとめられている。

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これらはすでにリスクが高い方に対してのアプローチだ。同時にリスクがまだ低い人に対しても予防を促していく必要がある。リスクの低い人は特に若年者が多いが、習慣を変えやすい年代であることから早々にアプローチを始めていくことが有効である。

note_第一階層

先に記載した動脈硬化の危険因子への対策は、次のように考えていく。例えば、高血圧については、厚生労働省が運営しているe-ヘルスネットで検索をすると次のような内容が確認できる。

高血圧_note

高血圧がどういうものなのか、高血圧の予防法まで丁寧に記載があり、知識を深めて頂くのにとても有効である。

高血圧_note②

こういった探索を続けていくとまた新たなインプットに出会ったりする。例えば「高血圧治療ガイドライン2014」だ。ここでは魚の摂取が降圧効果があることや心筋梗塞発症が少ないことが報告されている。

高血圧_note③

このように調査・確認したことをツリー上にまとめていくと「健康経営に取り組む理由」から具体的に何をしていくべきか、またどんな数値をKPIとして追っておくべきか、明確になる。

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もちろん、これらを作成した上で、社内の産業医や看護師、保健師にも意見を仰ぎ適切なプロセスで合意を得てください。

検討にはたくさんのインプットが必要なのでまとめてみた

こういったことを考える上でもインプットを増やす必要がある。また社内の合意形成や上申の際に、他社事例を用意することが望ましいと思うので企業サイトより事例をまとめてみた。

労働時間適正化
・長時間労働の事業場に対しての原因・再発防止策の確認 ※ニチレイ社
・労働時間の適正把握に向けたパソコンのログ管理 ※ニチレイ社
・労働時間ガイドラインの改定 ※ニチレイ社
・計画年休制度の導入 ※ニチレイ社
・月中で超過時間が30時間以上、従業員とその上長に「超過勤務抑制指導メール」を配信 ※コニカミノルタ社

運動習慣
・春と秋に1日1万歩以上、2か月で60万歩以上を目標に歩くウォーキングキャンペーンを実施 ※ニチレイ社
・健康に関する各自の年度目標を宣言して活動する「健康経営サポーター」を募集 ※日本国土開発社
・肩こり・腰痛の改善や運動の習慣化を目的に、就業前に実施する「オリジナル体操」 ※ワコールホールディングス社
・毎週水曜日を「ヘルスケアデー」とし、就業後に健康維持・増進のための様々なイベントを実施 ※島津製作所社
※ランニングステーション利用サポート※アビームコンサルティング社
食習慣
・ハラハチ(腹八分目プログラム) ※大和証券グループ本社
・社員が健康レシピを提案 ※島津製作所社
・朝食フォトコンテスト ※大東建託社
・時間栄養学に基づく食事法※アビームコンサルティング社
メンタルヘルス
・職場別のストレス度を4段階に層別、Level4の職場は改善策を立案・実行 ※コニカミノルタ社
・最大3ヵ月のリハビリ勤務期間中に産業医・職場上長・人事との面談を最低3回設ける復職準備勤務制度 ※コニカミノルタ社
・対面・オンラインによるカウンセリング窓口を全国に設置(全額会社負担) ※日本国土開発社
・役員・管理職・リーダー層向け「傾聴スキルアップ研修」を開催。 ※SCSK社
禁煙支援
・スマホアプリによる卒煙 ※ニチレイ社
・ニコチンパッチの使用 ※ニチレイ社
・構内・所定就業時間内全面禁煙化 ※コニカミノルタ社
・禁煙チャレンジ時間を設定 ※日本国土開発社
・禁煙達成者に対する表彰制度の導入 ※日本国土開発社
・2年間の禁煙サポートプログラムを無償で提供 ※ワコールホールディングス社

健康状態の見える化とポピュレーションアプローチ
・健康診断結果から発症倍率のシュミレーション提示 ※コニカミノルタ社
・全社員との個別面談※三井不動産社
・健康わくわくマイレージ※SCSK社
ヘルスリテラシー向上
・ニチレイ健康塾(管理栄養士の食事指導、運動指導、アルコール適応チェック) ※ニチレイ社
・日本健康マスター検定取得費用の補助 ※日本国土開発社
・塩分控えめレシピ集の配布 ※日本国土開発社

参考資料:
ニチレイグループ 健康経営ガイドブック
コニカミノルタ社 従業員の健康管理
・日本国土開発社 健康経営健康経営戦略マップ
・ワコールホールディングス社 プレスリリース「「健康経営銘柄」に6年連続で選定」
島津製作所社 ミル・ミル・Genki
大東建託社 健康経営健康経営戦略マップ
三井不動産社 健康経営への取り組み
SCSK社 健康経営
アビームコンサルティング社 健康経営

これらの情報は各社の取り組みを見ながら随時更新していきたい。

次回は、先般あるお客様とお話し、盛り上がった「いつまで経っても減らない高ストレス者の割合」について言及したい。

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