西加奈子の世界 〜多様性を包摂する物語〜
僕が西加奈子の小説に出会ったのは、30代も半ばを過ぎてからだ。
西加奈子という存在を知ったのは、テレビのバラエティー番組で、読書好きな芸人たちがやたらとオススメしていたことが端緒だった。しかし、生来的にあまのじゃくな僕は、誰かにオススメされた本を読む、という行為が嫌いだ。自分で図書館に行って、気になる本があれば借りて読み、面白ければその作家の別の作品を借りて読んでみて、その作家が気に入ったら、古本屋で文庫本を安く買って読む、というのが僕のこれまでの読書ルーチンだった(読書