なおきち

どうもこんにちは。日々の思いを言葉にしたくて、noteを始めてみました。東京都在住、一…

なおきち

どうもこんにちは。日々の思いを言葉にしたくて、noteを始めてみました。東京都在住、一児の父です。よろしくお願いします。

最近の記事

サンキューの日に寄せて

 3月9日が何の日か、ご存じだろうか。  息子が保育園で聞いてきた話によれば、3月9日は3と9で、サンキューの日だそうだ。  「ありがとう」という言葉は、多分数ある日本語の中でも1位、2位を争うくらい良い言葉だと思う。今回はそんな「ありがとう」にまつわるエピソードを、サンキューの日に寄せて紹介したい。3月9日はもう終わっちゃったけど、まあ少しくらい良いでしょ。  数年前、足を痛めて松葉杖で生活していたことがある。  松葉杖を使ったことがある人ならお分かりいただけると思うが、

    • ニュースの功罪 〜日々起きる不愉快な事件への対処法〜

       世界には、たくさんのニュースがあふれている。  我々は、寝転がりながらスマホのニュースアプリで積極的に、あるいは通勤途中の電車のモニターで受動的に、日々ニュースに触れている。  ニュースのほとんどはネガティブなものだ。誰かが誰かを悪意を持って傷付けたり、国同士が政治的立場の相違によって非難の応酬をしたりしている。  何年経っても同じようなことが、キャストと舞台装置を替えて繰り返されていく。時には、人類はこの数十年、進歩なんてしていないんじゃないかとさえ思う。まあでも、それを

      • 男が大人になるということ 〜「国境の南、太陽の西」を読む〜

         村上春樹の中編小説の中では、僕は「国境の南、太陽の西」が一番好きだ。  初めて読んだのは、多分20代の終わり頃だったと思う。「切ない小説」だな、というのが、ファーストインプレッションだった。それ以上でも以下でもなく、当時の僕にそれほど訴えかけてくるものはなかった。  次に読んだのは、30代も半ばを過ぎてから、ちょうどこの小説の主人公である「ハジメくん」と同年代になってからだ。この時、僕はこの小説の魅力を再発見することになる。この物語には「切ない」以上の何かがあり、それが

        • 西加奈子の世界 〜多様性を包摂する物語〜

           僕が西加奈子の小説に出会ったのは、30代も半ばを過ぎてからだ。  西加奈子という存在を知ったのは、テレビのバラエティー番組で、読書好きな芸人たちがやたらとオススメしていたことが端緒だった。しかし、生来的にあまのじゃくな僕は、誰かにオススメされた本を読む、という行為が嫌いだ。自分で図書館に行って、気になる本があれば借りて読み、面白ければその作家の別の作品を借りて読んでみて、その作家が気に入ったら、古本屋で文庫本を安く買って読む、というのが僕のこれまでの読書ルーチンだった(読書

        サンキューの日に寄せて

          電車が好きな息子と、そうでもない僕

           僕の息子(5歳)は無類の電車好きである。  彼が最初に発した言葉らしい言葉は「パパ」でも「ママ」でもなく、「でんしゃ」だったし(その時僕は激しく電車に嫉妬した)、彼が最初に読めるようになったアルファベットは、「JR(じぇいあーる)」だった。  彼のお気に入りのテレビ番組は当然「シンカリオン」だが、それに加えて「鉄オタ選手権(NHK)」や「鉄道ひとり旅(tvk)」なんていう相当マニアックなものも、何度も繰り返し、セリフを暗記するくらい観ている。  そしてお気に入りのおもちゃは

          電車が好きな息子と、そうでもない僕

          ジョニー・シルヴァーハンドが教えてくれたこと 〜「信念」の在処〜

           ゲームで学んだことは数多ある。最近心にズシンと来たのは、『サイバーパンク2077』に登場する伝説のロッカーボーイにして永遠の反逆者、ジョニー・シルヴァーハンドの言葉だ。  詳細は省くが、彼は本作の主人公であるV(ヴィー)の「魂の同居人」だ。Vの行動に逐一口を出し、茶化し、文句を垂れる。そんな彼が、本作の世界において強力な支配体制を築いている巨大企業「アラサカ」に、生き延びるため魂を売ろうとするVに対し、こんな言葉を吐く。 「信念の問題だ。いつだってそうさ。(中略)そいつ

          ジョニー・シルヴァーハンドが教えてくれたこと 〜「信念」の在処〜

          テレビゲームの面白さ、その原点とは。

           最近、5歳になる息子がテレビゲームを始めた。お気に入りはニンテンドースイッチで復刻販売された「スーパーマリオ64」だ。  「スーパーマリオ64」では、マリオが冒険に行く前の、ステージ選択のための敵がほとんど出てこないフィールド(ピーチ姫のお城だ)があるのだけれど、彼は何が楽しいのか、そこをひたすら走り回ったり、飛び跳ねたり、壁にぶつかったり崖から落っこちたりを繰り返し、ケラケラと笑っている。  生粋のゲーマーである父としては、「いや、早くステージに行ってクリボー踏んづけたり

          テレビゲームの面白さ、その原点とは。

          『海辺のカフカ』再訪

           村上春樹の『海辺のカフカ』が出版されてから、もう19年も経つ。初めて読んだ時、僕はまだ大学生だった。あれから19年、何度か通して読む機会はあったけれど、今回が一番心に響いた。  村上春樹の作品は、読んだ時に自分が置かれている状況によって、印象に残るシーンやセリフが違っていて、何度読んでも飽きない。そして回を重ねるごとに、新しい気付きがある。  それはおそらく、僕自身が経験した様々な物事や、成長した(と思いたい)部分が、それまで何となく読み飛ばしていた文章に、新たな意味を見

          『海辺のカフカ』再訪