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会計に表れてこないブランドアセット

今の会計で起こっていること

今回はビジネスパーソン、特に経営者にとっては必須のスキルである財務諸表(今回は特にBS)におけるブランドについて書いていきたいと思います。
現代の会計の仕組みは非常によくできていて、 BS/PL およびCFのそれぞれは連動しつつ、経営をいくつかの視点で表してる仕組みとしては秀逸なものです。また、財務諸表を理解し、経営の状態を把握するのはビジネスパーソンとしては必須のスキルですので、この時点でよく分からないという方はまずは勉強が必要です。個人的には会計を理解するのに、すごく分かりやすい書籍があるので、ご紹介しておきたいと思います。


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閑話休題、会計の仕組みは非常によくできているのですが、ブランドの観点からすると少し足りない点があります。それは、

ブランドアセットが表現されていない

ということなのです。例えば、ブランドアセットがあることで、高い価格で販売できたり、強い集客力・販売力を持ったりと利益の源泉であることは間違いありません。しかし、現行の会計ではその力を表現できていないのです。これはおそらく産業革命以降に主にヒトモノカネを投資し、それを使ってビジネスをしていた時代に発明・開発されたからだと思っていますが、現代のようなコミュニティで稼ぐことであったり、様々なデータで稼ぐといった状況は考慮されていないのです。一部、M&Aなどを実施した際に計上する「暖簾代」はブランドの要素も入っているとは思いますが、その多くは営業権の売買を表現するためです。
つまり、現行の財務諸表には、ブランド価値やデータの重要性などは含まれておらず、いくらコミュニティに属する人数や様々な行動を示すデータを持っていても会計上は価値はゼロなのです。

従来のデューデリジェンスでは破格となる買収劇

このような状況のため、特にテクノロジー企業の買収をめぐっては、従来のデューデリジェンスの定石では考えられないような高い買収金額が提示されることが多くなっています。例としてよく挙げられるのは、フェイスブックによるインスタグラム買収です。2012年にインスタグラムはフェイスブックに約10億ドルという破格で買収されました。創業後わずか2年しか経過していないインスタグラムは当時従業員13名、売り上げはほぼゼロでした。従来のデューデリジェンスでは弾き出せない買収金額です。これは、インスタグラムの持つ画像に特化した(簡単に加工できる点などが特徴)機能とコンセプト、そして何よりそのシンプルな機能性を評価されてのことですが、実際にユーザー数はすごい勢いで伸びていましたので、逆に会計の仕組みが正しく企業の価値を表現できていなかったと言ってもいいかもしれません。
この事例から分かるように「無形のモノコト」をビジネスを生み出す源泉として資産として捉えて経済活動に反映させていくと「破格の」金額提示となります。これは、無形の資産が財務諸表に現れていいないために起こっていることなのです。

ブランドアセットは利益を生むだす源泉として把握すべし

少し分かりやすい例としてインスタグラムを取り上げましたが、これはブランドを持つ企業でも同じことが起こり得るし、何よりも経営者としては現在の会計基準では捉えきれていないブランドアセットというものをより重要視をしながら取り扱っていく必要があることを理解すべきです。
ブランドアセットを会計上の資産として表現する方法はもしかしたら開発されるかもしれませんが、それまでには多くの時間がかかりそうです。そのため、経営者としては、ブランドアセットを正解に把握する仕組みを自社に導入しておく必要があります。(この辺りの仕組みは、allcompassとしてお手伝いしている部分ですのでお気軽にお問い合わせください。)

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