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支援学校の就労面談で、子どもがユーチューバーになりたいと言ったら①

高等支援学校での最初の就労支援面接で、僕の子どもが口にしたのは「卒業後は東京に行って芸能界に入ります」ということでした。

白状しますが、少しイラッとしてしまいました。

「そんなに現実は甘くない!」と切り捨てたい衝動に駆られるのは、僕だからではないはず。

芸能界入りという子ども夢は、その後も変わることはありませんでした。

そんな彼も学校を卒業したいま、就労支援事業所で有給の仕事につき、今後の一般就労や一人暮らしも考えられるようになっています。

ナチュラルにそうなった訳ではありません。

知的に遅れている子どもが、将来の生活を現実的に考えることができるよう、少しずつの工夫を積み重ねた結果でした。

憧れの職業になりたい理由


子どもがユーチューバーや芸能人になりたいと思うのには理由があります。

それは、それまでの人生経験と普段接しているテレビやスマホなど情報をベースに将来を考えるからです。

就職や生活のための金銭のやりくりなど「将来の現実的生活」に関わる経験や情報が少ないので、現実離れしているように見えるのです。


また、親の愛情の影響もあるのではないかと思います。

障がいがある我が子に、社会の厳しい現実を突きつけることは、残酷なことでもあるからです。

親であれば、子どもが落ち込むようなことは、本当は言いたくないはず。

しかし、高校生ともなると、そういうわけにはいきません。

多くの高等支援学校は、在学中から就労予定先への実習が始まるからです。

言い換えれば、高等支援学校に進学したタイミングが、現実と向き合わせるタイミングになるということです。

では、芸能界に入りたい、ユーチューバーになりたい、と言っている子どもが現実と向き合い考えていくためにはどのようなサポートが必要なのでしょうか。


「親はいつか亡くなる」から始める


将来を考える上で前提として「親はいつか亡くなってしまい、その後は自分の力で生きていかなければならない」ということがあります。

子どもでも、なんとなくわかっていることなのかもしれません。

それでも、親の口からはっきりと説明することは、親の保護が期間限定であるということを実感を持って理解するきっかけになります。

ひとりで生きていく力がつけば、何があってもそれなりに対応できるということを、しっかり伝える必要があります。


僕の場合は、就職先を相談するとき「親が亡くなっても、食べていける」という基準で考えることも大切だということを伝えるようにしました。

また、学校の三者面談のときも親の考えとして「親なきあとを想定している」ということを子どもの前で先生に話すようにしていました。

その上で、社会人になってしまえば親のできることはなくなってしまうので、今できるサポートをさせて欲しいと伝えるのです。

そうすることで僕も実際、「就職をどうするか」という課題について、相談しやすい雰囲気に持っていくことができました。

「親なきあと」という現実と向き合う不安に耐えられない子どもはいるかもしれません。

しかし、親のサポートが受けれるときに向きあうメリットの方が大きいのではないでしょうか。

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