医師起業日記_vol.9_「完璧主義はやめよう」という的ハズれな助言
脱・完璧主義の人たち
「完璧主義は今すぐやめよう!」
「完璧主義より完了主義が重要!」
「完璧じゃなくていい!不完全なまま進もう」
自己啓発業界では、完璧主義撲滅運動とでもいわんばかりに、こんな風な声が聞かれがちだ。
かくいう自分も完璧主義の傾向はある。しかし、そもそもこれは必ずしも困ったり、解消しようとすべきものでもないことを理解しているので、特段困ってもいない。
とはいえ、完璧主義にぼんやり悩む人も多いんではないだろうか。
不完全なまま完成物を誰かに見せること、知識不十分なまま新しいことを始めることに抵抗を感じるなど、たしかに致命的ではないが、じんわりと悩ましい。
最近は「自分の気持ちを大切にしてあげよう」とか「成長・成果を出して市場価値をあげよう」とか、そういう完璧主義への逆風は一段と強い。
しかし「完璧主義をやめよう」と言われ続ける、言い聞かせ続けられるだけで辞められる人は相当に少ない。というか、いないのではないだろうか。
強迫性障害のような少し強めのカタチで完璧主義が出てきてしまうと、認知行動療法のようにガッツリ科学的アプローチまでされたりする。
ところが、そうして少しずつ解消しようとしても、長期戦になる上、思ったより治らない。
「完璧主義とは一体なんなのか」「本当に直すべきなのか」という疑問も出てくる。今回は「完璧主義をやめよう」と一口に言い切るのが適切でない理由について書いてみた。
完璧主義は「幼少期に自分を守るために生まれたもの」
完璧主義は、生まれたその瞬間から身についているものではない。まずこの認識が結構ズレがちだ。
完璧主義をテーマとして語る人は、それを「自己変容をジャマする生まれ持った性格」のように扱う場合が多い。しかし、これは誤りだ。
完璧主義とは『幼少期に自分がキズつかないために身につけた大きな鎧』なのである。
「完璧主義につながるような経験なんてなかったぞ」
「虐待されたこともないし、いじめられたこともない」
そういう声もありそうだが、もっともっと些細で普通なら見過ごしてしまうような原体験が必ずある。
「あなたは勉強ができて偉い」と親に褒められることが多かった
「なんでこんなこともできないの」と親に言われるのを少し怖がっていた
こういう些細な原体験はどうだろう。「そんなの当時何とも思ってなかったわ」と言いたい気持ちはわかるが、それもそのはず。
このような原体験で、子供のあなたは「優れている自分は偉い」「不完全な自分はダメ」と感じると同時に、
「優れてないと親に受け入れてもらえないのでは」という心の底に走るわずかな不安・恐怖にフタをする。フタをしないとやっていけないからだ。
このような記憶にあるかないかの小さな原体験で、「優れてあろう」「完全であろう」と無自覚に決心し、完璧主義というカタチで自分の中にキズが残る。
つまり、完璧主義は「子供の自分を"親に見放される不安"から守ってくれていた鎧」なのである。ここの認識がないと「生まれ持った自分の性質が悪い」と勘違いする人まで出てきてしまう。
「完璧主義、直さないとなぁ」
あなたや身近な人がそんな風に感じていたら、まずここの認識を持つことで自分に矢印を向けすぎないようにしてあげてほしい。
完璧主義は「こだわりと紙一重」
パワーポイント資料を綺麗に整えていたら、気づかないうちに1時間すぎてしまっていた。そんな経験はないだろうか。
実は完璧主義と混同されやすいコンセプトとして"こだわり"がある。こだわりを完璧主義と誤認してしまうと、本人としてはつらい。
こだわりとは何なのか、ここで確認しておく。
こだわりというのは、いつでもどこでも出てくるものではなく、自分の強みである動作行動で出やすい。
これを完璧主義の一言で丸め込んでしまうと、本人の強みまで殺すことになってしまう。
このようなケースは、柔軟性の低い会社組織ではよく見受けられるらしい。本人の強み・適性を押し殺すような勤務体系になってしまっている。
また、こだわりを「完璧主義だから直そう」と本人まで誤解するようになると、本来好きな動作行動までストレスに感じてしまう。
で、完璧主義はどうすればいいのか
直すことの意義が大きい場合としては、下記のようなものが挙げられる。
挑戦したいこと(ここが重要)に対する一歩目が、完璧主義によって遅れてしまっている
仕事そのものは好きだが(ここが重要)、完璧主義により成長が阻害されてしまっている
ここまで踏まえた上で、それでも直したいかどうかを考えてみてほしい。直す方法は、基本的に2つしかない。
完璧主義の原体験に立ち返り、当時の自分のキズをしっかりと癒す
完璧主義による不利益が発生した時に、都度都度訂正する(要は無理やり直す)
多くの人は2. をとりがちだが、実際には1. の方が根本的・不可逆的に治るのでおすすめだ。
「ああすべきだ」「こうすべきだ」とややこしい現代だが、どんな性質も活かし方次第なところがあることを忘れてはいけない。
走り書きだが、少しでも参考になっていれば幸いだ。
メッセージ
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
記事を読んで少しでも興味をお持ちいただいた際は「スキ」「フォロー」をいただけますと嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?