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10.アイドルブームのその先に


 2005年、“AKB48”という女性アイドルグループが活動を開始した。
 AKB48は徐々にその頭角を現し、国民的アイドルグループと言われるほどにまで流行する。

 さらに握手会を活かした商法を確立したことで、後追いする女性アイドルグループが続出。
 大手企業はもちろん、地下アイドルと呼ばれる世間的には無名のアイドルも無数に生まれた。
 そんな状況が「アイドル戦国時代」と言われ出したのはもう、10年くらい前のことになるだろう……。


 現在そのブームはすっかり落ち着いように思えるが、今だにアイドルは一大人気ジャンルとして君臨していると言って間違いないだろう。
 今なお、多くのアイドルたちがファンを魅了し夢をえがいている。

 そんな今、当時ブームの渦中にいたアイドルたちの多くが、アイドルを卒業して別の道を歩んでいる。
 中には当時を振り返り、あの頃は言えなかった裏話をしている人も見受けられる。
 そしてそれは、明るい話ばかりではない。


 華々しい世界に、人々は魅せられる。
 綺麗なものを、夢を、人々は熱望する。

 しかし同時に、清濁併せ持つ人間は、汚さを知る人間は、華々しい世界の裏側にある闇にもまた魅せられてしまう。
 潔白を信じるため、単純な好奇心を満たすため、自身の汚さを正当化するため、やるせない世の中に納得するため、様々な理由でそこにひきつけられるのだろう。

 綺麗なだけではないからこそ、「裏側」を恐れながらも、そこに人はひかれるのだと思う。


 そしてだ。
 アイドルブームの火付け役であるAKB48の活動から15年の時を経て、今、『【推しの子】』というマンガが誕生し話題になっている。

 アイドルブームのその先に、『【推しの子】』というマンガがあるのなら。
 VTuberブームのその先に、「VTuber転生もの」がある未来もまた、ありえるのかもしれない――。