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20代が風を吹き込んだ『ワイドナショー』|てれびめも

今日(5/17)の『ワイドナショー』は、見終わった後になんとなく「腑に落ちる」というか、自分の「体温に近い」放送だったなと不思議な満足感がありました。

今週のゲストは泉谷しげるさん、指原莉乃さん、EXITの兼近大樹さん。

みなさんバラエティ番組ではおなじみの人気者ばかりでしたが、意外にも番組初登場の兼近さんが、いい風を吹き込んでいたのでここに記録したいとおもいます。


こどものころから大のテレビっ子であるわたしにとって、芸能のオシゴトの方が、ご自身の言葉でご自身の考えを話す番組がとても好きなのであります。(ゆるふわなコンセプトで、どことなく普段着に近い感覚でタレントさんが出演していた「笑っていいとも!」ロスには、まだ癒えていません…)

自分の考えを話すこと自体がリスクのような雰囲気も出てきている昨今、なかなかそういった番組も少なくなりました。『ワイドナショー』の真裏でやっている『サンジャポ』と合わせ、難しい番組であるにもかかわらず何年も続けている体力にはまず、大きな拍手を送りたいです。

古臭いテレビとは

さて、今回の『ワイドナショー』が普段と何が違ったというのか。

まず、今日のゲストは二人が20代であったこと。そして兼近さんが、上に忖度することなく発言できる人材だったことが強く関係していました。

「長いことお笑いのスターが世代交代しなかったことで、トークや扱う内容が僕らの世代にはわからない出来事や、知らない有名人で構成されている。だから若い人はどんどんテレビを見なくなっているんだ!!(意訳)」

こんなような内容のことを、もっとチャラ語を駆使して訴えていました。

自分のキャラクターも交えながら、まじめなコメントができる彼。かっこいい!

兼近さん、本当にその通りなのです。

ちなみにわたしの経験を話すと、そのテレビの中のかっこいい芸人さんが楽しそうに話していることが知りたくて、上の世代のカルチャーを懸命に調べたクチです。

おかげで、日本のテレビ芸能史に関しては一通り話ができる30代カルチャー女が出来上がってしまったわけですが、そんなふうに探究するのは一握り。

キングコングの西野さんが、テレビバラエティーは古典芸能の道に進んでいると話していましたが、まさにその通りだなと、昨今感じています。

きらびやかなセットの中で、たくさんのタレントさんが集まってみんなでVTRを見て、当たり障りのない冗談を言う。

こういった番組が悪いこととは全く思っていません。あっていいのですが、本来トレンドを生み出す若者の肌感覚を置いてきぼりにして、古典の道に突き進んでいるだけのように感じることがあります。


この『ワイドナショー』によく登場するタレントさんを挙げると、ヒロミさん、西川貴教さん、中居正広さん、バカリズムさん、長嶋一茂さん、石原良純さんなど男性は一様に40・50代が多く、今日のゲストの泉谷さんや武田鉄矢さんは70代。

この番組に限らず、どのトークバラエティでも引っ張りだこのメンバーですね。

みなさん、舌鋒鋭くて、お茶目で間違いなくおもしろくて個人的には大好きなタレントさんばかりですが、これだけ20代男性が少ないとやっぱりどこか偏っている感じを受けざるを得ないこともないとは言い切れない……。

この番組の大ファンであるわたしでも、ここ数年「その考え方は今の社会の流れに逆行している気がする」と感じることが増えました。

それぞれの意見を言う番組ですから、それぞれが経験の中で得た考え方は大事ですしどんな意見でも自由に述べるべきと思うのですが、出そろった意見がどうしても古臭いな、ツッコミが足りないなと感じることが多くなってきています。

いま、この社会は世界的に見ても、これまでの生活の「常識」そのものが根底からじわじわ覆っている時代です。

例えば、これまで男性が家庭のことは何もしなかった時代から、「男性が家事を協力する」どころか、「協力」という言葉が非常識だと叫ばれる時代です。

これまで美しいと思っていたものが、じつは醜いものだったのだと裏返る時代。

新しい常識を持ち始めている世代の空気も必要なのではないでしょうか。

指原莉乃という人材

もちろん20代のタレントさんがこれまで全く出ていないわけではなく、女性の出演者は20代の方もまま出てきていました。

指原莉乃さんは特によく出演されるひとり。

彼女は少し前から、タレントとして空気を読んで、いわゆる前時代的な「女性いじり(ブスいじり、モテないいじりetc)」に簡単に乗っからない空気感で対応し始め、新しい女性タレントの在り方だな~ととても感心し尊敬を持っていました。

その指原さんが、今日の番組エンディングで改めて「最近番組で最年少キャラで、おじさんにツッコミを入れてる立場だったけど、兼近さんがいて立場が変わって戸惑った」という意味合いの感想を話されました。

やはり、あえて役割として担ってきた部分が大きかったのだな~とその言葉で再認識しました。

20代のスポークスマン

ただ、業界の大物でカリスマ的スターの松本人志さんがいる中で、反対の意見を表明して、なおかつテレビプログラムを成立させられる20代の人材を、というとなかなか難しいかもしれません。

でもそこは番組が育ててほしい。

若い人が自分の頭で考えることが、これからのこの国にとってとても大事なことと同時に、未来を担う若者がどんなことを考えているのかどんな空気で社会を見ているのかを上の世代が感じることもとても必要だと思います。

兼近さんはとても緊張した面持ちでしたが、しっかり自分の言葉で話し、年上に忖度せずに話していました。

兼近さんが冒頭のセリフを訴えたときに、指原さんが

「わたしも愛想笑いしちゃった!」

と、すこしハッとしていたのが印象的でした。

おじさんのおじさんによる冗談に対して、あの指原莉乃が愛想笑いしてしまった。

ということは、やはりこのさっしーを以てしても、ひとりではこの予定調和のバラエティーに立ち向かいきれないんだなと感じました。(いや、おじさんの冗談、全然いいんですよ!それはそれで!)

そんなこんなで、今日の兼近さんの出演、そして指原さんを含めて20代が二人いるということはとても意義がある回だったなと強く感じた本日の『ワイドナショー』でした。


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