【NOVEL】体躯の日 第9話
あれこれを踏まえて欲しいと、俺は奴に言い開くのである。奴は、うんうんと聞いているのだったが、肘掛に腕をだらしなく乗せると、右手の人差し指を意味も無くとんとんとさせ調子を取り始めた。腕時計のガラスと裏蓋をさすり始める。手元の落ち着きが無くなるのは、飽き飽きしている証拠である。日頃、物事が思うようにならないでいると、このように目に映ってしまう不快な仕草は、俺が客観とも呼べる目を徐々に持ち始めているからであろう。そうだ、こいつは俺なのだ。自己中心性の高い人間なのだ。自分のタイムス