マガジンのカバー画像

【NOVEL】

35
短編小説を掲載しています。主にミステリー小説になります。
運営しているクリエイター

記事一覧

【NOVEL】アートマン 第4話

三者による会談が平行線を辿っていると、障子が勢い良く開いた。蝋燭の火は大きく揺らぐと、三…

Naohiko
5日前
40

【NOVEL】アートマン 第3話

短気「待ってくれ、その仮定は一体誰が決めた」 中道「…誰が決めたというより、全人的な、あ…

Naohiko
2週間前
65

【NOVEL】アートマン 第2話

枯山水に架かる太鼓橋を渡り、縁側へ向かう。内でもなければ外でもないあの板敷を越えて、その…

Naohiko
3週間前
72

【NOVEL】アートマン 第1話

今からちょうど五年前、私は後輩たちに背中を押され研究室を出た。ざんばら髪の私は、頭をかき…

Naohiko
4週間前
91

【NOVEL】ある男の人生 第1話

 それは、大国に独善的な男が大統領になった頃の話である。人種差別的観念は、主張するに分か…

Naohiko
4か月前
61

【NOVEL】ある男の人生 第2話

 男は善良な気質だったが、役職が変わり、部下を従えるようになってくると、徐々に態度も変化…

Naohiko
4か月前
21

【NOVEL】ある男の人生 第3話

 後日、男は友人のもとへ車をとばした。道中、彼は友人の言った台詞を思い出しながら、自分らしくある友人のその後に期待が高揚するのだった。  陽が沈みかけた頃、彼は適当な道の駅に車を停め一休みをした。硝子張りの喫煙所で一服をしていると、一人の男に出くわした。胡麻塩頭で顔の小じわが目立つ中年男だった。ジッポーに燃料が無いからか、ホイールをいくら回しても着火出来ずにいた。 「貸しますか」男はライターを差し出すと、その中年男はにっこり笑ってこう言った。 「ありがとう、君は好青年だね」

【NOVEL】ある男の人生 第4話

 男は生活を一変すべく、郊外に新居を構え、身の丈に合った生き方を目指した。会社での高圧的…

Naohiko
4か月前
12

【NOVEL】ある男の人生 第5話

 フランスのある劇作家は「理屈をこねると理性を追放する」と言った。男が、こんなにも誇って…

Naohiko
4か月前
14

【NOVEL】ある男の人生 第6話

 ある日のことである。男の家に例の旧友から結婚式の招待状が届いた。男は彼を懐かしく思い、…

Naohiko
4か月前
15

【NOVEL】ある男の人生 第7話

 男が抱える問題は、人間が幸福になるような生活様式に意味があった。このような生活に終始し…

Naohiko
4か月前
13

【NOVEL】ある男の人生 第8話

 男を困惑させるものは、それだけではなかった。仕事に復帰すると、会社の雰囲気が一変してい…

Naohiko
4か月前
9

【NOVEL】ある男の人生 第9話

 男が駅で待ち合わせしていると、小さな子供が駆け込んできて「おじさん」と言って身を寄せた…

Naohiko
4か月前
10

【NOVEL】ある男の人生 第10話(最終話)

 男は、自社の軌道を操るまでの役職に成り得た存在だったが、自ら拒否した。他薦において男の名が最も挙がっていたが、現場では、彼が行う活動に恩恵を授かろうとする者が拡大しつつあった。彼は、大病をきっかけに仕事を自ら抑制している上、そうしたハイエナを追い払う体力は残っていなかった。  周囲の期待は、彼の器からこぼれてしまっており、彼の身代が知らぬうちに巨額になっていた。男は躊躇してしまったのだ。  長女である娘は、やや晩婚であったが、無事に嫁入りした。娘の彼氏が、結婚の挨拶に来た際