【NOVEL】ある男の人生 第10話(最終話)
男は、自社の軌道を操るまでの役職に成り得た存在だったが、自ら拒否した。他薦において男の名が最も挙がっていたが、現場では、彼が行う活動に恩恵を授かろうとする者が拡大しつつあった。彼は、大病をきっかけに仕事を自ら抑制している上、そうしたハイエナを追い払う体力は残っていなかった。
周囲の期待は、彼の器からこぼれてしまっており、彼の身代が知らぬうちに巨額になっていた。男は躊躇してしまったのだ。
長女である娘は、やや晩婚であったが、無事に嫁入りした。娘の彼氏が、結婚の挨拶に来た際