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「ノルウェイの森」再読記録

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ノルウェイの森(上)
https://books.rakuten.co.jp/rb/1709070/

ノルウェイの森(下)
https://books.rakuten.co.jp/rb/1709071/

村上春樹氏の代表作「ノルウェイの森」

初めて読んだのは大学生の時。
20か21の頃。

その文庫本は、装丁が単行本と同じものに変わった時に買い直していたんだけど、再読する機会を逃してきた。
ふと思い立って、今回20年ぶり以上に再読。

そもそも、村上春樹の著作を読むようになったきっかけは、大学での現代文演習(国文学生だったの)。
その時の課題本は「風の歌を聴け」で、その一作でハマってしまい、“羊”にまつわる連作を読破して読んだ時には、「ノルウェイの森」すでに社会現象となるほどのベストセラーとなっていた。

(以下、若干のネタバレを含みますので、これから初読の方はご注意ください)

村上春樹の作品といえば、主人公が要所要所で女性と交わる印象が強い。
セックスがそれほど書かれないのは「色彩を持たない多崎つくるとその巡礼の旅」くらいじゃないかと思っていた。
そのせいで村上春樹を敬遠する読書家も少なくない。

本作でも、主人公ワタナベが関係する女性と交わりまくってる印象だった。

いかんね。あの時は若かった。

再読してわかったけど、ワタナベくんは、むしろ性に対して非常に抑制的だ。
永沢さんと女漁りをするのは、むしろ永沢さんのクズっぷりの問題であり、セックスをしてはいるものの、深い懊悩も読み取れる。

他の作品に照らせば、ハツミさんと交わるだろうし、直子を亡くして旅をする中で行きずりの交わりがあるだろうし、ミドリともすぐ交わるだろう。
でも、ワタナベくんは抑制的だ。

なぜそう見えないかと言ったら、最終場面でレイコさんと情熱的に交わるあのシーンの印象なんじゃないかと思う。
「それはしわよ」のセリフも印象深い。
「しちゃうんかよ!」と若かりし私は思った。

あまりにも若かった。

今読めば、あの交わりは必然だった。

あの交わりは、ワタナベくんとレイコさんが直子との日々を胸に抱きながら直子のいない世界を生き直すために必要な通過儀礼なのだ。

にもかかわらず、そこを通り抜けたワタナベくんは自分の居場所を見失って終わる。

そこにリアリティを感じるには、様々な関わりと交わりを通して大人になることが必要なのだ。

だから、高校生(まさか中学生?)で読んでピンとこないままで大人になった人にこそ、改めて読んでほしい。
村上春樹の作品群では数少ない?現実世界の上で繰り広げられる純愛小説として。

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