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年功賃金と行動経済学#27

心理学や行動経済学の記事 第27回

今回は、年功賃金という年齢が上がれば上がるほど、多くの賃金がいただける制度と経済学の関係性について、紹介します。


年功賃金

冒頭で書いたように、年功賃金は、年齢が上がるほど、賃金が上がるという制度です。

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かなり簡易に図で表してみると、このようになります。最初は賃金は低くスタートしますが、年齢(成果と言ったほうがわかりやすいかも!)が一定のところにくると、働きぶりは賃金以上になります。

日本も随分と働き方は変化していますが、まだまだ、このような状況は多いと思います。

では、この年功賃金を経済学の観点で説明してみます!


昔ながらの経済学では?

昔からある経済学(伝統的経済学)では、年功賃金の成立を3つの理由から説明しています!

1.労働者は、企業に入ってから経験を積むこと、研修や先輩からのアドバイスなので、生産性が上がっていくため、賃金も上がっていくという考え方(人的資本論)。
2.若い頃は、生産性より低い賃金を支払い、年齢が上がるにつれて、生産性よりも高い賃金を支払うというインセンティブ仮説というもの。この仮説さ、サボっていると解雇されてしまう仕組みが背景にある。
若い頃は生産性よりも低い賃金しかもらっていないので、定年まで働かないと元が取れないということである。
3.勤続年数が上がっていくと、生産性の高い人しか残らないので、賃金も高いという考え方。これはセレクション仮説といわれる。

以上!3つが考えられるものです。

このような観点が正しいかどうかではなく、伝統的経済学では、このように考えてます というものです!


行動経済学では?

では、行動経済学では、年功賃金がどのように説明されるでしょうか?

行動経済学では、現在の賃金を基準にすると、賃金の上昇を利得、賃金の下落を損失と考えます。

つまり、賃金が下がる可能性があるよりも、賃金が上がり続けるほうが満足度が大きいのです!これは、リスク回避の考え方も含まれています!

このことを表した研究がありますが、参考程度で構いません。よかったら見てください!飛ばしていただいても構いません!

シカゴの科学産業博物館で80人の成人に対して、6年間の賃金総額は同じであるが、毎年均等、毎年減少、毎年増加など7種類の賃金プロファイルで、好みを順位付けしてもらった。
結果は、現在賃金が最も多く減少していく場合はあまり好まれず、現在賃金が低いにもかかわらず、将来上昇していく賃金プロファイルが好まれた。
伝統的経済学では、賃金総額が同じであるため、どの賃金プロファイルを選択しても結果は一緒なので、順位に優劣が出ないはずである。


生産性や技能、職能などで、年功賃金が説明されてきたが、行動経済学では、現在賃金と将来賃金の利得/損失で、判断するのである。


私の考え

たしかに、社会経験が豊富である年齢層の高い方たちは、賃金を多くもらっても、それだけの生産性を出しているはずである。かつては……


今は、スピードと変化が問われる時代に来ています。

かつて身につけた能力は、今生かせるかはわかりません。

大事なのは、今も勉強していること。自分の能力に過信せずにいることだと思います。

経験を積んだから、賃金も高いよね ではなく、時代についていける人、先をいっている人、常に学び活用できる人。

結果を出す人」が大事だと思います。

果たして、年功賃金はこれに合っているのでしょうか?

ここでサポートいただいたものは、全て私の母の病気への還元に使わせてただいています。