見出し画像

感情がなくなったあなたは、理性で選択を実現できる?#52

心理学と行動経済学の記事 第52回


もし、感情がなくなったら、あなたは感情に左右されることなく、合理的に選択できる?

これはまさに、重要な問いになる。

こんな場面を想像してほしい。

AとBの2つのキウイがあった(キウイは私の大好物だ)。どちらも違いはあまりない、形や大きさ、味には少しの違いがあるかもしれないが、基本は同じキウイである。
一口食べたあと、どちらかしか選択できないが、どちらか一方を食べることができる。
当然、あなたは、どちらかを選択した。
「なぜ、そちらを選んだのですか?」
このように聞かれると、あなたは、多くの理由を探すだろう。ただ、その理由は正しいのか?感情論抜きで、合理的に選べたのか?

この問いにどう答えるかは人それぞれだと思います。合理的に選択したという人もいれば、「美味しそう」などと漠然とした感情で選択した人もいるはずです。

どちらが正しいということは全くありません。どちらも正しいと思います。

では、もし、私たちに感情がなかったらどうなるのだろう?

2012年にノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンさんは、私たちの判断には、システム1とシステム2が存在すると提唱してくれました。こちらの書籍で詳しく述べられています。

図解で簡単に説明しますと、こうなります。

画像1

システム1は、直感的判断が得意であり、システム2は、熟慮的思考で判断します。また、システム1はシステム2よりも早く判断基準として上がります。

もし、Aは見た目が美味しそうである。しかし、AとBのキウイの情報について調べることができます。そして、Bの方が栄養が高く、味も美味しいという情報を得られるとしましょう。

システム2でキウイを選択すれば、あなたにとってより効果的にかつ、合理的に選択できるはずです。

しかし、システム1は速く、かつ有効な判断だと思われ、システム1での選択を選ぶことが多いのが研究で分かっています。

私たちの判断はこのような2つのシステムで行われています。(2つが合わさって行われているということではない)


では、私たちに感情がなかったらどうなるのか?システム1はなくなり、システム2だけが働くため、常に合理的に選択できるのか?


結論から言うと、どうやらそのようにはいかないようです。



神経学者のアントニオ=ダマシオ博士は、脳の損傷によって、感情が欠陥した患者と向き合う中で、合理的な意思決定ができなくなっていることがわかりました。

観察する中で、感情のない意思決定をするとなると、その選択をする合理的な理由と選択しない合理的な理由が対立してしまい、意思決定が出来なくなりました。感情は、決定の一押しになるのです。



選択する時に、「感情が邪魔をする」と感じることがあるかと思います。しかし、どうやら感情は邪魔どころではなく、すごく重要なのであるのですね。


ここでサポートいただいたものは、全て私の母の病気への還元に使わせてただいています。