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24歳でお菓子作りに目覚め、29歳でクッキー屋を始めた話

わたしがお菓子作りの面白さに目覚めたのは、24歳の頃。社会人になってからの事。
それまでは、ごくごく普通のレベルのお菓子を作っていました。むしろ、カッチカチのパンとか、モソモソのクッキーなどを作っていたので、普通以下です。
でも手作りお菓子って、どこかでそういうものだと思っていました。

そんな私が、製菓学校も行かずお菓子教室にも通わず、どのお店にも修行に行かず、29歳でクッキー屋を始めることになるなんて、しかも夢だったレシピ本を出版させてもらえるなんて、誰が想像しただろう?

お菓子を作ろう、と思ったきっかけは全く覚えていません。はじめたばかりの社会人生活は、ただただストレスで楽しくなかった。だからきっと、「何でもいいから達成感」が欲しかったんだと思います。

レシピ本コーナーに平置きされている、その時大ヒットしていた焼き菓子の本を手に取り、なんだか簡単そうだし、と買って帰りました。
本を見ながら作ったクッキーが
「スノーボール」というホロホロっとした食感の、粉糖がまぶされたクッキー。
(これが現在の店の看板クッキーになっている!)

出来上がったクッキーを食べて、衝撃だった。
家でこんなに美味しいクッキーが作れるなんて…!!これが…アタシ…?!
あまりに美味しくて出来上がったものを会社に持っていったら、
「美味しい!また作ってきて!」とチヤホヤされる。

「何でもいいから達成感」が「達成感×1000000000」になりました。
これが、わたしのお菓子作り人生の幕開けです。

会社勤めをしながら、暇さえあれば本屋に行ってレシピ本を買い漁り、通勤電車に5〜6冊のレシピ本を抱えて読み込む。その週末に焼くお菓子を決めて、食材を揃える。
焼いたお菓子の写真を撮り、その時始めたブログにアップする。

そんなことを続けていくと、だんだん自分の好みの味にしたくなる。
それから、自分でレシピを書き、試作する。食べてみて、またレシピを修正し、試作。「卵の味が邪魔だなあ〜」とか考えるようになり、素材の特性を知る必要が出てきて、科学的な食材の本も読むようになる。
粉を変えたらどうなるだろう?と同じ素材の違いも知りたくなり、製菓材料店に通いまくる。貯金が貯まらない。(言い訳)

だんだん寝ている時間が惜しくなってくる。でも、ロングスリーパーなので、睡眠は削りたくない…(そこは頑張らない)
考えた末、レシピを抱いて寝ることにしました。
夢の中で作れるかもしれない!ナイスアイディア!

どこかに学びに行った方が絶対早いのに、なぜ頑なに独学を貫いたのか?!
夢で見ようとするより、もっと前にやる事があるのではないか?!との疑問が聞こえてきます。

もうほんとうに、おっしゃる通りでして。

ぶっちゃけて言うと、教えてもらうときにどうも、先生のキャラが気になってしまう所がありまして…笑
あと、生徒同士で「あ、混ぜますか?」と泡立て器の譲り合いしたり、とか、お菓子で人と関わるのめんどくせえ。
どこかに修行に行って、厳しくされたら泣いちゃう。
というしょーもないこじらせた理由で、
私は独学というイバラの道を選びました。

あとは自分のペースで、自分から湧き上がる「なぜ?」にじっくり向き合いたい、というのが最大の理由です。(カッコよくまとめさせて)

ありがたいことに、作ったお菓子を食べてくれた人や、ブログの読者さんに「お金を出すから作って欲しい!」とよく言われるようになり、
「お菓子屋さんになりたいな・・・」とぼんやり夢を見るようになりました。

でも、私はどうしてもやりたくなかった。それは、「家で作ったものでお金をいただく」ということ。
「趣味の延長のもの」でお金をいただくことから、どうしても抜け出したかった。それは、自分がどんなにすばらしく美味しいものを作ったとしても、「どうせ趣味なんだよね」と自分に思ってしまう。

そこから抜け出すためにはもう、お店を構えるしか方法がなかったのです。

そんなこんなで、お店を持って今年で10年になります。

はっきり言って、お菓子を仕事にするなら独学は激しくおすすめしません。
いまだにレパートリーが少なくて、技術力は全くなくて、新作を生み出すのが本当大変。いつになっても自信が持てなくて。

なので自分が好きな味を作る、ということと、お客様からの「また食べたい!」が唯一の自信のタネで、支え。これは、ずーっとおうちで作ってたときと何ら変わらない。

本当に言葉通り、素人に毛が生えた状態のわたしに懲りずに付き合ってくれたお客様やスタッフに育ててもらいました。
これは、わたしの「なぜ?」に付き合ってくれた結果だと今では思います。
これからもこのスタイルは変わらないと思います。

みなさーん!

独学には気をつけてー!!修行行ってー!


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