最強の集中力
勉強しなきゃいけないのに、なかなか集中できない
やらなきゃいけない仕事があるのに、全然進まない
集中してやってしまった方が良いと分かっていても、思うように集中できないなんて経験も皆さんお持ちでしょう。
しかしそんな中でも人並み外れた集中力で大きな結果を生み出すハイパフォーマーはいるものです。
事実、集中力が人生の成功を左右するといデータは近年増え続けています。
数万人もの被験者を数十年にもわたって追跡した調査でも
人生の成功に最も必要なのはIQのような地頭の良さではなく
誠実性であると結論づけています。
誠実性とは、欲望に打ち勝って目の前の事にコツコツ取り組む能力の事です。つまり集中力の事です。
皆さんも集中力の付け方を学び、同じ時間で人より結果を出す
ハイパフォーマーになりましょう。
①脳の中の天使と悪魔
そもそも人が集中できない理由は簡単です。
例えば勉強であれば「勉強しよう!」という頭の中の天使が、「他のことしよう!」という悪魔に負けてしまう事で集中できないのです。
わかりやすい古典的なモデルですよね。しかしこれがやっぱり分かりやすいと思います。
天使が「勉強しないといけない!」といくら囁いても
悪魔はひっきりなしに「スマホにLINE来てるかもよ」とか「久しぶりにあの動画見たくない?」といった誘惑をかけてくるのです。
これが人が集中できない簡単な仕組みでしょう。
しかし一つだけ抜けている重要な事実があります。それは・・
悪魔の方が圧倒的に強いという事です!
イラストのような可愛らしい悪魔を想像してはいけません!
言うなれば
こうです!天使に比べて悪魔は圧倒的に強いのです。
まずその事を肝に銘じましょう。
ここで天使と悪魔がどこにいるのかを少し科学的に解説していきましょう。
悪魔は脳における辺縁系にいると理解しておきましょう。
この辺縁系は進化においていわば原始的な器官で多くの生物に発達してみられます。
要するに生物の本能的な欲望である食欲や性欲を司る器官なのです。
つまり生物が生き延びて子孫を繁栄するために必要な欲求を悪魔は満たそうとしているだけなのです。
それは強い欲望になって然るべきですよね。
自然界では冷蔵庫を開ければいつでも食事にありつける訳ではありません。
だから自然界で食事や後尾のチャンスがあれば逃すわけにはいかないのです。
そのため悪魔は少し強引にでもその欲求を満たさせるために私たちを誘導するのです。
しかし現代社会では食欲や性欲をいち早く満たすことより重要な事はたくさんあります。
大学受験や大切な仕事を率先してやることが未来の役に立つことは簡単に想像できるでしょう。
しかし悪魔にとってそんなことは知った事ではありません。
文明の発展の速さに私たちの辺縁系の進化はとてもじゃないけどついて行けてないのです。
辺縁系にとっては未だ世界は危険がいっぱいのジャングルなのです。
これらの背景から脳の中の悪魔には3つの特徴があります。
①脳筋
とにかく難しい事は考えません。
腹へった→食う、良い女→SEXしたい
まさしく本能ですね、とにかく脳の悪魔は難しいことを考えないのです。
②アクティブ
悪魔は難しいことは考えないですが、アンテナだけは高いです。
ちょっとした刺激にもすぐ反応するのです。
それはそうでしょう、前述した通り自然界ではチャンスを逃すわけにはいかないのです。
だからちょっと食べ物を連想させる広告を見ただけで、今日の夕飯の事が気になって仕方なくなってしまったりするのです。
③パワープレイヤー
そしてここが重要です。
とにかくパワープレイヤーなのが悪魔です。
もう気になり始めたらその欲求を満たすために強い力で私たちを誘惑します。
それもそのはずです。
私たちは危険な自然界で食欲や性欲を満たすために悪魔に従ったおかげで生き残ることができた人類の子孫なのですから。
次に天使について説明していきたいと思います。
天使は脳の前頭前皮質に位置すると理解しておいてください。
この前頭前皮質は進化において比較的新しい器官で論理的思考を司る(問題解決)場所と言われています。
現代社会で求められるスキルの多くはここで発生すると言えるでしょう。
この前頭前皮質の発達が地球で唯一とも言える文明の発展に起因していることは言うまでもないでしょう。
この天使にも3つの特徴があります。
①論理的
とにかくじっくり考え、論理的に正しい答えを出すのが天使は得意です。
確かに論理的に考えられれば今勉強を中断してスマホを見る必要のないことくらいはわかるのでしょう。
この思考を司るのが天使なのです。
②サボり魔
しかし天使はとにかく怠けものです。
論理的にじっくり考えるという事は疲れるのです。
だから普段天使はとにかくサボっています。
論理的思考というのはたくさんの選択肢の中から合理的な答えを見つけ出す手間のかかる作業です。
例えば勉強中にスマホを見たくなったとします。
そんな時に論理的思考をするとしたら「今すぐ確認する必要はあるのか?」や「見始めたら止まらなくなるかも?」といった多くの情報を同時に処理しなければなりません。
要は面倒くさいのです。
そんな事を普段からしていたら疲れてしまいます。
だったら天使は普段は脳筋な悪魔の思考に任せておいて、ここぞという論理的な思考力が必要な時だけ考える方が脳全体もエネルギーを節約できるというわけです。要はある戦略的にサボっているのです。
③貧弱
天使はとにかく貧弱です。
前述した通り私たちの脳は未だに危険がいっぱいの自然界を生き抜く事が前提のプログラムなのです。
そんなジャングルでエネルギーを使う面倒くさい論理的思考が必要だったと思いますか?天使は悪魔に比べて圧倒的に押しが弱いのです。
この天使と悪魔の圧倒的戦力差。
そりゃ集中なんてできなくて然るべきですよね。そうです!前提として人は集中できない生き物なのです。
だってそもそも自然界で周りが見えなくなるほど集中するのは危険な事なのです。
どこで自分の捕食者が狙っているのか分かったものじゃないのですから。だから人間も含め生物は、集中できないようにできているのです。
しかし現代社会ではそうも言ってられません。
前述したように集中力は成功の必須条件と言っても過言ではありません。
でも集中するのは基本的には難しい、、でも手が無いわけではありません!
確かに天使と悪魔が戦ったら悪魔が勝ちます。
それなら戦わないで勝つ!天使に不戦勝させれば良いのです。
このシリーズで私が紹介する集中方法は2つの軸に基づいています。
悪魔を近づけない戦略
天使をサポート戦略
この2つです。
そもそも悪魔に登場させない→辺縁系が反応する刺激を遠ざけておく
これが言わば悪魔を近づけない戦略です。
そして天使に楽をさせる→前頭前皮質が楽に思考できるようなシステムを作ってあげる
これが天使をサポート戦略です。
②悪魔を近づけない戦略
ここでは集中するための戦略の1つである
悪魔を近づけない戦略について説明していきたいと思います。
そもそも集中できない一番の理由は誘惑に負けるからです。
つまり集中「できない」というより、もっと魅力的な何かに集中を「奪われている」のが原因なのです。脳の中の悪魔(辺縁系)はそんな魅力的な刺激を見つけるのが得意で、強引に集中力を奪ってしまいます。
悪魔(辺縁系)が反応する欲求は食欲や性欲といった種の繁栄に欠かせない強い物です。それだけ強い反応に抗い続ける事は不可能に近いと理解しましょう。
ではどうすれば良いいのいか?
そもそも悪魔を近づけさせなければ良いのです。
つまり悪魔に登場すらさせない、環境作りに注力することが重要なのです。
集中する準備段階から悪魔との勝負は決まっているというわけですね。
ありきたりな意見かもしれませんが悪魔に勝ちたいのであれば本当にこの環境づくりは徹底して下さい。
この環境づくりが集中の全てと言っても過言ではありません。
その環境づくりの話に行く前に前に、まず悪魔の動力源とも言える
ドーパミンについて学びましょう!
ドーパミンとは報酬の期待で放出されるホルモンの事を言います。あくまで報酬ではなく報酬の期待という事が大切です。
例えば食べ物を見たとき「あれを食べたら美味しいだろうな」といった美味しいという報酬の「期待」によってドーパミンは放出され、生物が報酬を求める強いトリガーとなるのです。
多くの生物はドーパミンによってまだ得ていない報酬に向かって行動することができるおかげで餓死する前に食事し、まだ得ていない快楽のために生殖行動をしようと思うのです。
逆に、餓死寸前でもドーパミンを出す報酬系(側坐核)が機能しなければ食事しなくなるなんてデータもあるくらいです。
大体わかったでしょうか?ドーパミンは決して敵ではありません。
言わばあるゆることにやる気を起こさせてくれるやる気のカンフル剤がドーパミンなのです。事実、人間はドーパミンによって何に集中するかをコントロールしています。
ただそのコントロールを意識的に行えない事が問題なのです。例えば生命維持や生殖に関わってくる刺激となる、ハイカロリーな食事やポルノはドーパミンを大量分泌させてしまいます。
その結果勉強に集中していたとしても脳の意識、集中力は一気にカロリーやポルノに奪われてしまうのです。
このドーパミンが出やすい刺激の優先順位は。長い進化の過程で私たちに埋め込まれたプログラムなのでどうする事もできません。
したがって私たちはこのドーパミンによる強い欲求に前頭前皮質の理性で戦い続けるのではなく、集中したい事以外のドーパミンが出にくくなるような環境作りに努める方が賢明なのです。
ではここからやっと本番ですね。集中する環境づくりについて説明していきましょう。
まずは悪魔の大好物を知るべきです。
いわゆる超常刺激と言われるものです。
超常刺激とはドーパミンを大量に出させて、中毒になりやすい刺激の事を言います。
具体的には
インターネット・ポルノ・ゲーム・動画・ブルーライト・ジャンクフードなどです。
気がつきましたかね?ジャンクフード以外は全てスマホでできる事なのです。
そりゃスマホ中毒になんてなって然るべきですよね。
このような悪魔の大好物をまず知っておきましょう。
その上で悪魔の入れない集中ルーム、
言わば集中するための聖域を作る事が大切になってきます。
この聖域作りは3つのルールにしたがって作って欲しいと思います。
①集中に必要な事以外は徹底的に排除する
②聖域では集中したい作業以外やらない
③20秒ルール
この3つです。最初から一つずつ説明していきましょう。
①集中に必要な事以外は徹底的に排除する
言葉の通りドーパミンを分泌させるような刺激を徹底的に排除してください!基本的には目に入るだけでNGです。
漫画やテレビにもちろんスマホ、これら全てを目に入らなくしましょう。
できれば引き出しに入れるなどではなく歩かなければ取りに行けないような場所に置くと良いでしょう。
私自身もスマホは玄関で充電しています。
また着信音などももちろんNGです。とにかくスマホは電源を切って遠くに置くのが良いのです。
②聖域では集中したい作業以外やらない
①は多くの人がやろうとしますが意外とできないのが②です。
要は休憩中でも聖域でスマホをいじったりしてはいけないのです。
なぜならそこは集中するためだけの聖域という概念が揺らいでしまうからです。これをアフォーダンスの最適化と言います。
ここでアフォーダンスの最適化について説明しましょう。
アフォーダンスとは「環境が行動を既定している事」を言います。
寝室では眠る、職場では仕事するなど人間の脳は場所と情報をセットで保存するという性質があります。そのため集中したい事だけのための聖域を作るだけでスムーズに集中できるようになるのです。
このテクニックは非常に強力なもので例えば不眠治療の認知行動療法にも「ベッドで睡眠以外の事をしない」という指示があるくらいです。
③20秒ルール
これは心理学者のショーン・エイカーが提唱したもので
集中したい事は20秒以内に取り掛かれるように、集中の邪魔になる物は取り掛かるまでに20秒以上掛かるようにするというものです。
①で説明したスマホの電源を切って玄関に置いておくのも20秒ルールを適用したものです。
要はスマホを見るまで20秒もかかる手間があると「まあ見なくて良いか」となりやすくなるわけです。
これは逆にも同じ事が言え、勉強するまで20秒以上の手間がかかるとやるのを先延ばしやすくなったりするのです。
だから私は本を読むときなどは読んだページを開いたまま逆さにして机に置くようにしています。
そしたら次に本を読むまでの手間はほぼ0です。この20秒ルールに基づいて聖域は作ると良いでしょう。
③天使をサポート戦略
これで集中力のつけ方シリーズも最後となります。
最後は、天使をサポート戦略について解説していきたいと思います。
おさらいとなりますが脳の中の天使、前頭前皮質は理性的に物事を考える事ができるけどエネルギー消費が多く燃費が悪いという特徴があります。
だからすぐサボろうとするのです。
天使がサボり魔というイメージはあまり無いかもしれませんが。私たちの脳内の天使(前頭前皮質)と悪魔(辺縁系)の戦いでは悪魔の方が圧倒的に有利な立場にあるという事をもう一度確認しておきましょう。
それゆえ集中の基本は悪魔を近づけない戦略が基本となります。
しかしやはり天使にも頑張ってもらう必要があるのです。
いやむしろ逆かもしれません。天使(前頭前皮質)に頑張ってもらおうとしてはダメなのです。
前頭前皮質がサボるのを無理に気合いで押さえ込もうとするのはただの根性論になってしまいます。
悪魔を近づけない戦略同様、天使(前頭前皮質)を自然にサポートできるような習慣を作る事が大切なのです。
悪魔は環境で避け、天使は習慣で助ける!
これが最強の集中力をつける戦略の基本です。
ではここで集中のコアとも言える習慣化について説明しましょう。
人は「タスクに取り掛かるか?」といった小さな選択の決定でも「決定疲れ」を起こして誘惑に負けやすくなってしまいます。
いちいち選択しなくても行う事のできる「習慣」は脳がエネルギーを節約するための一番効率が良い方法で「習慣化」してしまうことは楽に集中するための最も簡単な方法といえるのです。
みなさんも、寝る前の歯磨きは当たり前のようにできると思います。
それは歯磨きが習慣化されてしまっているからです。
「人生の半分の行動は習慣的なものである」と言われているくらい習慣は大切なものです。要は習慣化とは脳がサボるための一番の方法なのです。
サボり魔の天使とサボるための習慣化、相性が良いとは思いませんか?
では具体的にどうすれば習慣化できるのかを説明していきます。
週4回、8週間
この頻度と期間を目安に習慣をつづけるようにして下さい。
トレーニングジムの継続が続くかどうかを調べた実験でも週4回以上の頻度でジムに通っていた人は、週3回以下の頻度でしか通わなかった人より大きく継続できていた事がわかっています。
そして習慣に完全にするまでの期間は8週間、2ヶ月を目安にするといいでしょう。
しかしこれだけで。ただ習慣化しろ!というのではあまりにもお粗末でしょう。
ここで習慣化のための最強のテクニックを2つ紹介したいと思います。
1つ目から最強のテクニックです。これが習慣化の全てと言っても過言では無いかもしれません。それが If then プランニング です。
If then プランニングとは「帰宅したら」手だけ洗ってすぐ「勉強する」といったタスクに取り掛かるトリガーを決めておく事です。
If Aしたらthen Bするという文脈で行動を規定してしまうのです。
この場合Aは普段必ず行うこと(帰宅したら〜とか)でBを習慣化したいことに決めておくというわけです。
また20秒ルールなどを用いてなるべく簡単にトリガーの後早くタスクに移れるようにするといいでしょう。例えばモーニングルーティーンなんかはこのトリガーを連鎖的に繋げて一連のルーティーンとして毎日無理なく行えるようにしているというわけです。
何かを新しく始めたいのなら自分の今の習慣のどこにそのタスクを埋め込むべきかをよく考えて習慣づけるといいでしょう。
2つ目はゲーミフィケーションです。
これはタスクをゲーム化して報酬をデザインする事を言います。
要するにゲームで味わえるような定期的な達成感(報酬)をあらかじめデザインしておく戦略です。
このゲーミフィケーションには3つルールがあります。
まずは最も大切な難易度設定。
①難易度は簡単過ぎず、難し過ぎずに設定にする。
ゲームでもいきなりラスボスは現れないでしょう。
頑張ればギリ勝てるくらいが一番モチベーションが上がるのです。
②スタンプラリー型の目標設定とご褒美
スタンプラリー型の目標とは単調増加していく目標の事です。
例えば目標を毎日2時間勉強と設定してしまうと、日によっと達成できたりできなかったりとムラができてしまうでしょう。
ここでスタンプラリー型の目標です。
勉強時間を毎日記録して合計100時間達成でこのご褒美、200時間でこのご褒美といったようにしていくと合計勉強時間は決して下がらず常にも目標に近づくだけになりますよね。
この下がらないも目標を設定する事が重要です。
少しでもやれば必ず少し進歩する。
この進歩を必ず実感できる目標設定に努めてください。いわばゲームのレベルに近い目標を設定するというわけです。
③障害の特定と対策を決めておく
3つ目は予想できる障害の対策を決めておくという事です。
例えば「今日はなんかやる気が起きないなぁ」って日がいつか来ることくらいは簡単に予想できますよね、こういった習慣化を途切れさす障害が現れたときにどう対処するかをあらかじめ決めておくというわけです。
基本的には代替案を決定しておくをいいでしょう。
私のおすすめする代替案はどんなにダラダラでもいいから5分だけやってみるというものです。コツは5分やってダメなら絶対5分でやめるということです。
もし5分やってやる気が出てきたらそのままやろうくらいの気持ちで、まず5分はやってみるのです。
「残業が長引いたら」など人によって想定される障害は違うと思うので。あらかじめ起こりそうな障害とその対策を考えておきましょう。
以上で最強の集中力シリーズは終わりとなります。
現代社会での集中力は成功への必須スキルと言っても過言ではありません。
環境で悪魔を遠ざけ、習慣で天使を助ける!これがポイントなのでぜひ意識して実践してみてください。
この記事があなたの人生のお役に少しでも立てば幸いです。
最後に参考文献を載せておきます。
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