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読まないと損をする最強の睡眠法

記憶力が向上し、クリエイティブにもなり、見た目も良くなり、ダイエットにも効果的で、感染症や生活習慣病の予防にもなり、幸福感も感じやすくなる上、寿命すら延ばしてしまうのが睡眠です。

いやむしろこう言った方が良いかもしれませんね。

あなたは午前中に眠気を感じることがありますか?

もし答えがYESなら、あなたは睡眠不足です。

つまり今のあなたは頭は悪く、見た目も悪く、病気になりやすく、幸福は感じにくく、さらには寿命を縮める事になっているという事です。

世界保健機関(WHO)は睡眠不足は先進国の流行病だと宣言しています。

しかも独立系シンクタンクのランド研究所の調査では睡眠不足による日本の経済的損失は1380億ドル(GDPの2.9%)とも言われているのです。

「いやいや、確かに午前中は眠いこともあるけど大袈裟だよ!普通に仕事もできているし」なんて思っている方もいらっしゃるんではないでしょうか?

しかしそれさえも睡眠不足の典型的な症状なのです。

現代では日本人の5人に2人は6時間以下の睡眠しかとれていないと言われています。

そして5時間以下の睡眠で脳の機能が全く落ちない人は1%以下と言われており、なおかつ睡眠不足により認知機能が低下している被験者は自身の能力低下のレベルを過小評価する傾向にある事もわかっているのです。

つまり・・睡眠不足で馬鹿になっていることに気づかないのも睡眠不足の症状なのです。

多少乱暴な言い方で申し訳ありません。

しかしそれほどに、睡眠不足はやばいという事をわかって欲しいのです。

「そうは言っても思うような睡眠時間なんか確保できない」と思う方も多々おられるでしょう。

そんな方の睡眠の悩みを完全解決!!!

は難しいでしょう。

しかし、睡眠の重要性や必要性を知り、よく眠るための方法が学べる記事にしていきたいと思っていますので最後まで読んで頂けると幸いです。

1 生物はなぜ眠るのか?睡眠の基礎知識

そもそも危険な自然界で、生物は睡眠中無防備になります。

それでもなぜ危険を冒してまでほぼ全ての生物は眠るのでしょうか?

よく休息のためとは言われますが本当でしょうか?

きっとそれは間違っています。

なぜなら睡眠で節約できるカロリーは120kCal程度です。

半ライスと同じカロリーを節約するために1日の3分の1も使うのは流石に非効率に思えませんか?

では、なぜ眠るのでしょうか?

これが正解と断言するのは難しいですが一応
記憶の定着脳のゴミ掃除のために睡眠が必要だと考えられています。

その2つの役割について説明する前に睡眠の基礎知識とも言える
レム睡眠ノンレム睡眠について学んでいきましょう。

簡単に言えばレム睡眠は浅い睡眠、ノンレム睡眠は深い睡眠と言えるのですがここではもう少し詳しく説明しましょう。

レム睡眠・・浅い睡眠(逆説睡眠ともいう)脳は起きている状態に近く、身体は麻痺状態になる。ニューロンのつながりを強化、つまり情報の統合が主な役割。他にEQや創造性の向上、トラウマの解消に必要だとされている

ノンレム睡眠・・深い睡眠。脳も身体も眠っている状態。
見ている夢は脈絡のないものとなり、外界の刺激が入ってこなくなり、リラックスしたデフォルトモードに入る。ニューロンのつながりを削除、つまり情報の整理が主な役割で、記憶の定着に必要

そしてそのレム睡眠とノンレム睡眠は睡眠中は交互に訪れます。いわゆる睡眠サイクルと言われるものですね。

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特に睡眠前半に2〜3回しか訪れない深いノンレム睡眠は徐波睡眠といいます。

次に1つ目の睡眠の役割である学ぶための睡眠、ノンレム睡眠による記憶の定着メカニズムについて解説しましょう。
そんなに難しいメカニズムではありません。

通常、起きている時に得た情報は脳の海馬に短期記憶として保存されます。
しかし海馬は一時的な記憶の保存場所、つまり短期記憶貯蔵庫にすぎません。そのため海馬の容量は少なく、新しい情報が入ってくると古い情報は押し出されてしまい忘れてしまいます。

これを干渉忘却といいます。

しかしそれではいつまで経っても何かを覚える事はできません。

そこで長期記憶貯蔵庫である大脳皮質に短期記憶を移動させ長期記憶として記憶する必要があるのです。

そうする事で記憶は定着し海馬の容量も空ける事ができます。

その移動をノンレム睡眠が行なってくれていると言われています。

つまり何かの学習にはノンレム睡眠は不可欠なのです。

しかもノンレム睡眠は手当たり次第に記憶を移動させるのではなく重要な記憶を優先的に長期記憶にする、記憶の選別も行なっているとされています。

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次に2つ目の睡眠の役割である脳のゴミ掃除、グリファティック・システムにつ
いて説明しましょう。

生物の脳では脳内のニューロンの活動によってアミロイドβ(アルツハイマー病の原因の一つと言われる毒性のタンパク質)といった老廃物がどんどん脳に溜まっていってしまいます。

その老廃物の排出システムをグリファティック・システムと言います。

この掃除システムは起きている時も働くのですが、特にノンレム睡眠中は脳内のグリア細胞と言われる細胞の大きさが60%ほどに縮小し、ニューロン間の隙間が広くなる事で脳の老廃物を洗い流す脳脊髄液が流れやすくなり、昼間の10~20倍の老廃物を排出すると言われています。

そのため睡眠後は頭がスッキリする感覚を持つのです。

逆に寝ないと毒性の老廃物をそのままになりやすいので、睡眠不足は軽度の脳損傷といも言えるのです。

ここまで睡眠の役割の2つである記憶の定着と脳のゴミ掃除について説明してきましたが、どちらに対しても重要だったのはノンレム睡眠(深い睡眠)でした。じゃあレム睡眠はさほど重要でないのか?と言われると全くそんな事はありません。

むしろレム睡眠こそ現代人が大切にしなければならない睡眠だと言えます。
そんなレム睡眠の重要性については後述の 3 夢と創造性 で詳しく説明しますので、ぜひ見ていってください。

レム睡眠の重要性を知れば、今まで自分がどれだけもったいない睡眠をとっていたのかにも気が付けるでしょう。

2 睡眠不足の怖すぎるデメリット

あなたは「少しくらい寝なくても私は大丈夫!」とか「6時間も寝られらば全く問題ない!」なんて思っていませんか?

そうであるなら、あなたは平均的で尚且つ睡眠に改善が必要かも知れません。

なぜなら被験者が自分の能力の低下を過小評価する事は、睡眠不足に関する多くの研究に共通する事だからです。

睡眠不足、特に慢性的な睡眠不足は自分で自覚しづらいとう事を肝に銘じてここからの記事は読んで頂けると幸いです。

まず真っ先に睡眠不足は集中力を落とします。

ここではペンシルベニア大学のデーヴィッド・ディンゲス先生による研究をご紹介しましょう。

概要は
眠らないで連続で起きていたら、集中力はどのくらい低下するか?
というシンプルなものです。

この実験では、刺激に対して対応するボタンを素早く押すというテストを集中力のテストに用いています。

結果としては睡眠不足のグループは全体的に反応速度は落ちた事が確認されました。
こんな事は言わずもがなですね、ここで興味深い事は全く反応しなくなることが短時間あったことです。

いわゆるマイクロスリープといわれる現象です。

マイクロスリープの頻度は覚醒時間が長くなるにつれ、頭打ちになる様子もなく
増え続ける事が実験により観察されています。

さらには24時間連続で起きていた被験者のミスは8時間睡眠の被験者の4倍にも増え、6時間睡眠を10日続けた被験者も同程度のミスの増加が見られた事がわかっています。

皆さんも一度くらいは徹夜をしたことはあるでしょう。

徹夜明けの頭がぼ〜っとする感じ、実は6時間睡眠を10日続けるとそれと同じ状態まで集中力は下がるのです。

さらにはオーストラリアでその後行われた研究では、19時間連続覚醒は法廷上の酔っ払いとされる血中アルコール濃度(0.08%)と同程度の集中力の低下を起こすこともわかっています。

つまり、朝6時に起床した日の深夜1時での車の運転は飲酒運転と同じなのです。

ただ法に抵触するかどうかが違うだけで、危険性には差がないというのが科学の見解です。

車の運転に関しましては他にもあります。

ドライブシュミレーターでの実験では8時間睡眠にくらべ4時間睡眠は運転ミスが6倍に増え、飲酒運転とほぼ変わらなかった事が確認されています。さらに4時間睡眠でかつ飲酒をした場合ミスは30倍に増えた事もわかっています。

もう睡眠不足な上に酒まで飲んだら何か一つは必ずミスすると言っても過言でないくらい注意力が落ちるのです。

ここでマイクロスリープについても詳しく説明しておきましょう。

マイクロスリープとは睡眠不足によって脳が数秒寝てしまうことです。

ボーッとしてたなどと曖昧な表現で片付けられ自覚されにくいですが、その間確かに脳は眠っているのです。

本当に数秒間脳は寝ている事を強く自覚して、特に車を運転する時は眠いなら運転しないのが賢明です。

極端に聞こえるかも知れませんが、マイクロスリープは気をつければどうこうできる問題でもありません。

今のところ最も合理的な解決策は眠いなら運転しないという他ないでしょう。

次に睡眠不足と感情のコントロールについて説明していきたいと思います。

睡眠不足の被験者とそうでない被験者に100枚の写真を見せる実験では
その写真のうちネガティヴな感情を引き起こすもの(燃える家、威嚇する蛇など)に対して睡眠不足の被験者の扁桃体はそうでない被験者より60%も強く反応していた事が確認されています。

扁桃体は脳の中でも原始的な部位で、恐怖といったネガティブな感情にいち早く反応します。

しかし一々ちょとしたことに恐怖をもったり怒ったりしたのではキリがありません。

そこである程度のネガティブ感情には脳の前頭前皮質という論理性を司る部位で理性的なブレーキがかかる事で扁桃体も落ち着くようになっているのです。

しかし睡眠不足はこの扁桃体と前頭前皮質の繋がりを弱くしてしまいます。

そのため睡眠不足の状態では扁桃体にブレーキがかかりにくく感情のコントロールが下手になると言われています。

睡眠不足でイライラしやすいのにはこういった背景もあるのです。

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次に睡眠不足と心血管疾患リスクについて説明しましょう。

日本の4000人の男性労働者が対象の調査では、睡眠が6時間以下の人はそうでない人より4~5倍程度1回以上の心停止を経験するリスクが高まる事がわかっています。
しかもこの調査では喫煙等の他のリスク要因を調整しても睡眠と心停止リスクに明確な関係がみられたのです。

その原因として、睡眠時間が1~2時間少なくなるだけで心臓の収縮率が大きくなり、最高血圧が上昇する事があげられます。

しかも血圧が上がる事でコルチゾールというストレスホルモンも増加し、コルチゾールの影響で血管が収縮しさらに血圧が上昇するのです。

もう血圧上昇の無限ループですね。

本当ににそれくらい睡眠不足はやばいのです。

まだまだいきます!睡眠不足と肥満・糖尿病についてです。

睡眠不足によりレプチン(満腹を感じるホルモン)が減少し、グレリンエンドカナビノイド(食欲を感じるホルモン)が増加する事が分かっています。

さらに睡眠不足の被験者はよりジャンクフードを好むようになる事もわかっていて、睡眠不足により1日200kcal程度、摂取量が増えるというデータさえ出ています。

さらに血糖値を正常に戻すインスリンの働きも睡眠不足で弱まるため、Ⅱ型糖尿病リスクさえも高まります。

もう踏んだり蹴ったりですね、
睡眠不足でお腹はいっぱいにならないのに食欲は増すのですからそりゃ太ります。
しかもジャンクフードが多くなり当たり前のようにカロリーは増え糖尿病リスクは高まる一方となるのです。

さあ!まだいきましょう。次は睡眠不足を免疫機能についてです。

ここではカルフォルニア大学サンフランシスコ校のアリク・プラウザー博士の衝撃的な実験をご紹介しましょう。

実験では150人の健康な男女に大量のライノウイルス(鼻風邪の原因)を注入します。(すごいですねwよく許可がおりたな、、、)そして経過を調べるシンプルな実験です。1週間後の結果は睡眠時間が5時間以下のグループの感染率は50%、睡眠時間が7時間以上のグループの感染率は18%となりました。睡眠不足で3倍程度も風邪をひきやすくなる事がわかる非常に意義深い実験だと思います。

さらには免疫機能が低下することで癌にもなりやすくなることが分かっています。
免疫機能には癌細胞を殺すナチュラルキラー細胞も含まれていて睡眠時間を半分にするとナチュラルキラー細胞は70%も減少することがわかっています。

現にヨーロッパで行われた2万5000人が対象の研究では睡眠時間が6時間以下の人は、7時間以上の人に比べて癌リスクが40%も高いことも分かっています。

最後に睡眠不足でブサイクになることも分かっていますw

5時間睡眠後に撮った写真と8時間睡眠後に撮った写真では有意に8時間睡眠後の写真のほうがポジティブな印象をもたせるという実験結果が出ているのです。
大切なデートの前によく寝ないのはNGというわけですね。

どうだったでしょうか?睡眠不足のヤバさが分かって頂けたでしょうか?

前述したように午前中に眠気がある人は睡眠不足である可能性が高いです。

睡眠不足を甘くみないでこのノートを見て改善に努めて貰えたら幸いです。

3 夢と創造性

人間の睡眠時間は平均して8時間と他の霊長類に比べて極端に短いと言われています。(他の霊長類の睡眠時間は10~15時間)しかし、レム睡眠の割合は全睡眠の20~25%と他の霊長類よりかなり大きいです。(他の霊長類のレム睡眠は全睡眠の9%ほど)そしてその人類だけが地球で唯一ともいえる高度な文明を築いてこれたのです。

つまりレム睡眠は人類が文明を築く原動力になったと考察できるほど重要なものなのです。

少し暴論に聞こえるかも知れませんが、あながち的外れでもありません。

なぜならレム睡眠は問題解決と創造性に大きく関わる睡眠だということが分かっているからです。

まず最初に夢について説明しましょう。

夢はノンレム睡眠中にも見るとされていますが。

その夢は脈絡のないものになると言われています。

ここで夢といったらレム睡眠中に見るものだと理解して頂けたら幸いです。

基本的に夢はその日の感情を35~55%反映していると言われていて、レム睡眠中に脳の視覚、運動、感情、経験を司る部位は活発になる事もわかっています。
さらには感情を司る部位に関しては起きておるときよりも30%も活動量が増えるとも言われています。

つまりレム睡眠中に脳は結構活発に動いているのです。

そしてこの夢には2つの効果があるとされています。

セラピーと問題解決です。

まずは夢のセラピー効果について解説しましょう。

ラッシュ大学のロザリンド・カートライトの追跡調査では離婚などの大きな精神的苦痛を負った人の夢の内容とその後の感情を1年間にわたり追跡調査をした結果、トラウマ体験をした直後にその体験の夢を見た人は、その後の心の問題を克服している傾向にあった事が分かっています。

意外かもそれませんがショックな事があった時は逆にその夢を見た方が良いのです。

さらには1日のうちでレム睡眠の間だけ、ノルアドレナリンといった不安を誘発するホルモンが脳内から一掃される事も分かっています。

つまりレム睡眠中だけがストレスフリーなのです。

逆にPTSDの患者のレム睡眠は乱れている事が多い事も分かっています。

これらがレム睡眠について分かっているセラピー効果です。

レム睡眠は心の健康には不可欠と言えるのです。

次にレム睡眠と問題解決について説明していきたいと思います。

ここではリューベック大学のウルリヒ・ワグナー博士の実験を紹介しましょう。
この実験は被験者に何百もの数字の問題に答えるテストをしてもらうものです。実はこのテストには被験者には知らされていない法則性が存在し、それに気がつくことができれば簡単に答えが出せるようになっています。

被験者には2回このテストを受けてもらい2回目のテスト終了時に法則性に気が付いたかを尋ねます。

2つのテストのインターバルは12時間でその間起きているグループと8時間睡眠をとってもらうグループに分けた結果、起きていたグループで法則性に気づいたのは20%だけだったのに対し、睡眠をとったグループは60%、睡眠をとってないグループの3倍も法則性に気がつきやすくなった事が分かったのです。

しかしこれだけでは前述した通り、睡眠をとっていない方の認知機能が下がっていただけという見解もできます。もちろんそれもあるでしょう。

しかし迷路を用いた同じような実験ではインターバルの昼寝で迷路に関係のある夢を見た被験者は、昼寝はしたが迷路に関係する夢は見なかった人より約10倍もパフォーマンスが向上した事も確認されています。

つまり夢を見るレム睡眠が問題解決能力の向上に起因していることは明らかなのです。

さらにはレム睡眠は創造性についても関係があるとも言われています。

ビートルズのポール・マッカートニーは「イエスタデイ」と「レット・イット・ビー」を夢の中で作曲したと言ったことは有名です。他にもメンデレーエフの元素の周期表は夢の中で作り上げたものに、たった一箇所だけ修正を加えたものだと言われて、エジソンは夢見る睡眠を「天才の空白」と呼び、夢を見ている時に無理やり起きるための装置を使っていたともされています。

レム睡眠中は手当たり次第に記憶を繋げているとされ、そのレム睡眠の常識外れな記憶同士の衝突が創造性につながると考えられています。

こんな風にレム睡眠は
心の健康、問題解決能力、創造性と現代人にとって不可欠な要素と密接に関わっています。

そこで私が1つ提言したい事があります。

早起きはするな!

です。

なぜならこんな大切なレム睡眠の割合は起床前に増えるのです。

しかし無理矢理早く起きることでこのレム睡眠の時間が失われてしまいます。

もしかしたらその早起き、あなたの可能性を大きく奪っているかも知れませんよ?

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しかし、やはりどうしても早く起きないといけない人の方が多いしょう。

そんな時は就寝時間を早めれば良いと考えるのが普通でしょう。

しかしそんなに簡単な話ではないのです。それはまた次の章で解説しましょう。

4 睡眠の個人差ー自分にあった睡眠とは?

ここでは自分の持っているポテンシャルを最大限にまで引き出すために理解しておきたい自分に合った睡眠とその調べ方について説明していきましょう。

まずは概日リズム(サーカディアンリズム)について説明しましょう。

人間を含めた多くの生物は太陽光に影響を受けない体内時計を持っています。

その体内時計を概日リズムというのです。この周期は24時間より少し長く毎日の太陽光によってリセットされることで正確な24時間のリズムになるという特徴を持っています。
この概日リズムは遺伝子でほぼ決まってしまいます。

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ではここであなたが「朝型」「夜型」どちらに分類されるかの簡単なテストをしてみましょう。以下の問いの①〜⑤でどれに当てはまるか直感的に答えてみて下さい。

(1)夜の時間が空いていて、翌日もとくに予定がない時、何時くらいに寝ますか?
①~21:00 
 ②21:00~22:30
 ③22:30~00:00
 ④ 00:00~1:30
 ⑤ 1:30~

(2) 夜の時間が空いていて、翌日もとくに予定がない時、翌朝何時に起きる?
①~6:30
 ②6:30~8:00
 ③8:00~9:30
 ④9:30~11:00
 ⑤11:00~

(3)いつものあなたの寝起きは?
①とても良い  
②良い  
③ときによる   
④悪い   
⑤とても悪い

(4)肉体労働を2時間するとしたら、何時に予定したい?
①8:00~11:00
 ②11:00~13:00
 ③13:00~15:00
 ④15:00~17:00
 ⑤17:00~19:00

そして選んだ答えの番号を全て足し合わせてみて下さい。(4〜20点)

4〜6点 強度の朝型
7〜10点 中程度の朝型
11〜13点 朝型でも夜型でもない
14〜17点 中程度の夜型
18〜20点 強度の夜型

どうでしたか?朝型・夜型の分類はクロノタイプと呼ばれており、遺伝なので変えることは難しいです。

ですので自分のクロノタイプに生活習慣を合わせる事が大切なのです。

さらに詳しく説明していくと、概日リズムは脳の視交叉上核という器官で主にコントロールされており、概日リズムにより中核温の変化なども周期的に変化する事が分かっています。

中でもメラトニンは重要な役割をもつのです。皆さんもメラトニンは聞いたことがあるのではないでしょうか?

メラトニンとは吸血鬼ホルモンと呼ばれる視交叉上核の命令で脳の松果体から分泌されるホルモンの事です。

メラトニンは太陽光(光)に反応し分泌が止まり、暗くなると分泌されるという性質があります。つまりあたりが暗くなると分泌が始まり、そうすると生物は寝る準備が始まるのです。

具体的には血中のメラトニンは夕方から上昇し始め、数時間後に急上昇し、午前4時ごろにピークを迎え明け方にかけて急降下するとされています。

次に睡眠の年齢差についても説明しましょう。
概日リズムには個体差だけでなく年齢差も存在するのです。

例えば睡眠時間は以下のようになります。
             
生後6ヶ月 14時間       
5歳 11時間       
10代後半 8時間       
中年期から老年期 8時間  

以上のように睡眠の有り様は人生を通して変化していくのです。

特にメラトニンの分泌量の変化から老年期にかけて概日リズムは早まる事も分かっています。

つまりおじいちゃん、おばあちゃんの早寝、早起きはそれが原因なのです。

逆に思春期は概日リズムが遅くなる事が分かっています。

つまり10代後半の夜更かし、朝寝坊は正常と言えるのです。

次に生活リズムのリセット方法について説明したいと思います。

基本的にはその人にあった概日リズム通りに生活するのが理想なのですが、そもそも概日リズムは24時間よりすこし長いので、不規則な生活をしているといつの間にか大きくずれていたりします、昼夜逆転というやつですね。その戻し方を説明しましょう。

やり方は簡単です。

起きたい時間に無理矢理起きて朝に日光を浴び、朝食を食べる、それだけです。

特に朝食は体内時計を動かすインスリンの分泌を促す炭水化物やその効果を高めるタンパク質がベストです。

また生活リズムは1日1時間程度しか変わらないことも考慮しておきましょう。

また睡眠時間も人それぞれ違います。

自分にあった睡眠時間を見つける方法も2つご紹介しましょう。

1つ目は起きる時間を固定するやり方です。

・毎朝同じ時間に無理やりでも起きる
・また寝るときは無理やり寝ようとせず眠くなったら布団に入る

2週間後自然に眠くなる時間から睡眠時間を求める。

次に自由継続と言われる方法を紹介します。

1週間仕事などのないオフを選び好きな時に寝て、好きな時に起きて(眠気が取れるまで)を1週間継続し睡眠時間を調べる

どちらが良いということはありませんが、前者の方が多くの人にとってはやりやすいと思います。
しかし最初の方は日中に強い眠気を感じる事になると思いますのでその点だけご注意を。

5 睡眠圧と睡眠の邪魔者

次に概日リズムともう一つの眠気の原因である睡眠圧について解説します。

私たちの脳では起床してから覚醒している間ずっとアデノシンという化学物質が増え続けています。

このアデノシンは脳内のレセプター(受容体)にどんどん溜まっていきます。これがたくさん溜まってくると眠くなっていくのです。

大体12〜16時間起きているとアデノシンの量はピークとなり激しい睡魔に襲われます。この仕組みを睡眠圧と言います。

そしてアデノシンは睡眠によりレセプターから取り除かれます。

それによって起床後はレセプターはリセットされた状態になり、アデノシンはまた16時間程かけて溜まっていくという同じリズムを刻んでいくのです。

人の眠気にはこの睡眠圧と概日リズムの両方の軸があります。

概日リズムの覚醒度が低下して尚且つ睡眠圧が高まった時に人は睡魔に襲われ、自然と入眠するようになっているのです。

しかし概日リズムは起きてようが寝てようが波のように周期的に変化するのに対し睡眠圧は覚醒している限りは徐々に上がっていき、眠ったら一気に低下するような仕組みとなっています。

皆さんも徹夜をしていて眠気の山を越えたらあんまり眠くないという経験をしたことはあるでしょう。

あれは起きている限り睡眠圧は増加していくのですが、概日リズムは低下した後は徐々に増加していくので少し眠気がおさまるのです。

よろしければ下の画像を参照して下さい。そっちの方がわかりやすいと思います。

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次にカフェインについて説明していきたいと思います。

カフェインで眠気がおさまる原因はシンプルなものです。

カフェインがアデノシンのレセプターを塞いでしまうからです。

アデノシンとカフェインは形がよく似ているのです。

そのためカフェインを摂取するとアデノシンのレセプターにカフェインが蓋をしてしまいアデノシンがレセプターに入らなく睡眠圧が溜まらなくなってしまいます。

それでカフェインで眠れなくなってしまうのです。カフェイン摂取から約30分後に体内のカフェイン量はピークを迎え、5~7時間かけて半分は体外に排出されます。またカフェインがアデノシンレセプターに蓋をしていてもアデノシンの量は増えていくので、カフェインが分解されたとき一気にアデノシンがレセプターを
占領し強烈な眠気に襲われる事があります。

これをカフェイン・クラッシュと言います。

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次に昼寝について説明しましょう。

皆さんも昼過ぎくらいに眠くなってはきませんか?それはもの凄く普通なことなのです。

人間は本来、二相睡眠(1日に2回眠る)とも言われ、昼寝は結構良いことばかりです。ここではそんな昼寝の適切なタイミングとやり方についてご紹介しましょう。

そもそも昼寝は溜まってきたアデノシンを適度にレセプターから放出してやることで集中力を回復させるというシンプルなものです。
あまり夕方以降に昼寝をしてしまうと睡眠圧が失われ夜の入眠に差し支えてしまうのでおすすめはしません。

しかし16時より前の短時間の昼寝なら大きな問題はないでしょう。もし夜の寝付きが悪くなったらその時は昼寝をやめれば良いだけの話で1度くらい試してみても損はないでしょう。

ここではまず昼寝の時間から紹介しましょう

10~20分(パワーナップ)認知機能の向上に役立つ
30分 疲労回復
40~60分 落ちた脳機能の回復、まだデータ不足かも?

基本的にはパワーナップ(20分)の昼寝を私はお勧めします。

さらに効率を高めたい方はコーヒーを一気に飲んでからパワーナップをするコーヒーナップがおすすめです。

コーヒーナップはまず昼寝でアデノシンをレセプターから外しそこにカフェインで蓋をしてしまう事で大きく集中力が回復するという仕組みです。

ただコーヒーは人によっては刺激が強く不安症に近い状態になってしまう人もいるので量は「2B-Alert」といったカフェインスケジュールのwebサイトを利用して調整しても良いでしょう。

また起床後90分以内のカフェイン摂取はやめましょう。

起床後のコルチゾールとカフェインのダブルパンチで刺激が強すぎてしまうのです。

最後に適切な昼寝時間の目安としてサラ・メドニックの90分昼寝のタイミングとして紹介されているものを書いておきます。

起床時間 昼寝の開始時間
 6:00         13:30
 6:30         13:45
 7:00         14:00
 7:30         14:15
 8:00        14:30
 8:30        14:45
 9:00        15:00

次に睡眠を邪魔するアルコールといびきについて説明しましょう。

アルコールに関しては摂取により覚醒の度合いは減少するのですが、アルコール摂取後の睡眠は断片的なものとなりやすく、アルコールの分解で発生するアセトアルデヒドはレム睡眠の障害となってしまうので快眠のためには飲むべきでありません。

次にいびきも典型的な睡眠の邪魔者です。ここであなたのいびきの種類をチェックするテストをしましょう。


1 口を閉じて、指で片方の鼻を塞いで深呼吸したとき息がしにくいと感じますか?

2 口を閉じていびきのような音を出せますか?

3 舌を少し噛んだ状態で、いびきのような音を出せますか?

1つ目の質問がYESならアレルギーをまず疑って下さい。

部屋の掃除で大きく改善するかもしれません。

鼻詰まり用パッチなども有効です。

2つ目の質問がNOならあなたのいびきの原因は口が開いてる事かもしれません。

顎紐などの補正器具が有効かもしれません。

3つ目の質問がYESなら噛み合わせが原因かもしれません。

マウスピースなどが有効かもしれないので歯科で作ってもらっても良いでしょう。

6 よく眠るために

最後にここが皆さんも最も気になるところですよね。

睡眠を良くするにはどうすれば良いかを解説します。

最初に言っておく特別な事は大して言いません。

例えば睡眠の質を上げて睡眠時間を少なくするとか、私は大嫌いなんです。

なぜなら今の科学の見解では睡眠時間を削ったらどうしても睡眠不足になるからです。

ですのでここでは基本的なことしか言いません。

でも以上に大切な事などないのです。

まず入眠をしやすくするためにできることを解説しましょう。

睡眠前に控える事はやっぱり電子機器です。

スマホやタブレットはブルーライトも問題です。
それにスマホで見れるSNSやインターネットは超常刺激なので脳を興奮させすぎてしまう事も問題なのです。

やはり寝る前は紙の本などがおすすめです。

あとブルーライトカットにはアンバーグラスが個人的にかなりおすすめです。

私が使っているもののリンクも載せておきますので気になる方はぜひ使ってみて下さい。

次に環境ですがやはり真っ暗がベストと言えます。

遮光カーテンなどを上手に用いて出来るだけ暗くしましょう。

室温は平均的な寝具では18.3度がベストです。

少し寒いくらいでOKだということを覚えておきましょう。

また入浴もやはり効果的です。

特に入眠90分前のお風呂は身体の中核温を高めることで中核温が反動で下がりやすくなり寝付きがよくなるとされています。

放熱しやすいように手足、足先には何も身につけず枕は通気性の良いものを選びましょう。

またすぐ寝たい場合はシャワーが良いかもしれません。

ガッツリ身体を温めてしまうと体温が下がるまでどうしても90分くらいは必要になるからです。

また寝る2時間前におにぎり2個分の糖質をとると睡眠の質が上がるなんて研究もあります。

あとメラトニンサプリや睡眠薬も否定はしませんが、まずその他のノーコストで試せる改善策を試してもらいたいです。

そこで睡眠のために最も大切な事をここから話したいと思います。入眠に悩みをお持ちの方はまずはこれを試してみて下さい!

それはCBTーI と呼ばれる不眠症の認知行動療法です。

このCBTーI 医学専門誌 Annals of internal Medicine では
「慢性的な不眠を訴える全ての患者の一次治療はCBT-Iを使用するべきだ」と、太鼓判を押されているほど基本的で強力な方法です。

やり方は簡単6つのルールを守るだけです。

(1)起床・就寝時間を決めて毎日それを守る
(2)眠くなったら布団に入る、他の場所でうたた寝しない
(3)眠れなかったら布団から出て、何かリラックスできる活動をしながら眠気を待つ
(4)夜眠れないなら、昼寝を控える
(5)心配事や不安を布団の中に持ち込まない
(6)寝室で時計を見えなくする

(5)にはエクスプレッシブ・ライティング(筆記開示)が有効です。

これは悩みを紙に書きなぐる方法です。

あとは手帳に悩む予定を組んじゃうのも良いでしょう。

私はよく明日のこの時間にこの悩み事を考えると言った事を紙に書いて机に置くようにしておきます。

これが思いのほか悩みには有効なのです。

あとはピッツバーグ大学のもっと簡単な睡眠のルールもおすすめです。

・ 毎日同じ時間に起きる
・眠くなるまでベッドに入らない
・眠れないなら無理に寝ない
・ベッドで過ごす時間を減らす→ベッドでだらだら他のことしない

どちらも基本的には同じようなルールですがものすごく強力です。

特にベッドは寝るだけの場所にすることを徹底するのは本当にオススメです。

あと寝る前に考えることとしては米軍式快眠エクササイズもオススメなので紹介しておきます。

①顔リリース→額、眉間、こめかみ、目、頬、口、顎の順に力を入れてから緩める
②同様に肩、腕、脚の順に力を抜いていく
③思考リリース→10秒何も考えない   
眠れなくても気にせず①に戻る

どうだったでしょうか?これでこの記事は終わりとなります。
睡眠は人生の三分の一を占める大切な活動です。
皆さんのそんな睡眠を良くすることにこの記事が少しでもお役に立てば幸いです。

さあ。そしたらさっさと寝ましょうw

おやすみなさいZZZ

最後に参考文献だけ載せておきます。





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