節約脳の作り方
「起業して金持ちになりたい」
「副業で成功したい」
多くの人がもっと儲ければ人生が豊かになるとを信じています。
確かに収入が増えればもっといい服を着て、エステなんかにも行き放題、タワマンに住んで、招待した友人に「家賃?意外とそんなだよ」なんてドヤ顔を披露することも可能になるかもしれません。
しかしお金を増やす手段は収入を増やすだけではありません。
そう節約です。
いやいや、「お金は使えば使うほど増える」とか「有り金は全部使え」とか成功している実業家はそんなケチくさいこと言ってないよ!
そう思われた方もおられるんではないでしょうか?
確かにお金は使うもので貯めるものではありません。
しかし適当に使えば良いというものでもありません。
お金を使わずに生きていくことは現代の日本では難しいでしょう。
でもどうせ使うなら合理的に無駄使いせずに使った方が良いと思いませか?
この記事ではそんなお金が貯まる節約方法について解説・・・
するわけではありません!!
「固定費を見直す」とか「消費と浪費に分ける」とかそんな 節約方法は皆さんも一度くらいは聞いたことがあるでしょう。
しかし今もそれを実践できていますか?
問題はそこです。知っているから実践できるわけではないのです。
あなたにとっての問題は節約の仕方を知らない事ではありません。
固定費を見直した方がいい事は知っているけどめんどくさい。
浪費は避けたほうがいいと思っているのに、Amazonで月に一回しか使わないようなものを買ってしまう。
こういった心理を理解し節約法を実践していく事の方が遥かに大切なのです。
この記事ではそんな節約脳とも言える節約できるマインドを育んでいく方法を学べる記事となっております。
では具体的に何を学ぶと節約脳になれるのか?
無駄使いのほとんどは合理的に判断できていない事から起こります。
もちろん人間は機械ではないので全てを合理的に考えることは不可能です。
大抵不合理なのが人間というものです。
しかしそんな不合理にもパターンがあることが分かっています。
つまり多くの人が不合理に考えやすくなってしまう共通のトラップのようなものがあるのです。
逆に言えば、そんなトラップの事を少しでも知っておけばトラップを回避し合理的に考えやすくなるでしょう。
どんなトラップがあるかを行動経済学から学ぶことで節約脳になる!
それがこの記事のテーマです。
さてここでこの記事のテーマとも言える行動経済学がどういう学問について説明しましょう。
行動経済学とは?
行動経済学とは経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れた学問のことを言います。
これだと難しい言い方ですね。
もう少し丁寧に説明しましょう。
単なる経済学の登場人物は超合理的です。
例えば値段が上がったら買う人が減る、これが経済学的な考えと言えます。
経済学の世界の消費者は合理的なので明確な「いくらまでなら買ってもいい」という基準があり、値段が上がる事でその基準を超えてしまったら買わなくなるよ
うになっています。
経済学を考えるときに仮定するこんな超合理的な人間をホモ・エコノミクスなんて言ったりします。
ホモ・エコノミクスには経済的に
①超合理的(利益を最大化する選択を常に取る)
②超自制的(誘惑に負けない)
③超利己的(自身の利益最優先)といった3つの特徴があります。
しかし現実の人間はホモエコノミクスではありません。
時に不合理で、誘惑にも負け、自己犠牲を払うこともあります。
そして現実の経済を作っているのはホモエコノミクスではない人間です。
行動経済は現実の人間を対象とした心理学的な実験結果から、人間の感情的な部分が経済的な選択にどう影響を及ぼすのかを明らかにしてくれます。
そんな学問が行動経済学です。
ではここで2つの質問に答えてもらいたいと思います。
唐突ですが行動経済学ではこのように質問を交えることがお約束です。
質問はあなたの不合理を明るみに出すのに最適なのです。
質問1
あなたは今2000円の本を買おうとA店にいるとします。
しかし15分歩いた先のB店で同じ本を1000円で売っているとSNSで知りました。
あなたは15分歩いてB店に行きますか?
どうでしょうか?結構多くの人が歩くと考えるのではないでしょうか?
だって半額ですからね。次に質問2に答えてみてください。
質問2
あなたは今10万円のスマホを買おうとA店にいるとします。
しかし15分歩いた先のB店で同じスマホを9万9000円で売っているとSNSで知りました。
あなたは15分歩いてB店に行きますか?
どうでしょうか?今度はちょっとめんどくさくないですか?
質問1で歩くと答えたのに質問2では歩かないと答えたのならば、それは合理的とは言えません。
だって15分の労力と1000円、どちらを取るかという点では質問1も2も同じなのですから。
ではなぜそのような不合理が起こるのでしょうか?簡単なことです。
1000円は常に1000円とは限らないからです。
?この説明だけでは流石に不親切ですね。
もう少し詳しく説明しましょう。
今回の場合であれば質問1の1000円は2000円と比べての1000円です。
割合で言えば50%です。
対して質問2の1000円は10万円と比べての1000円、割合で言えば1%です。
この比べる相手によってあなたのお金の価値は相対的に変化するものなのです。
お金の価値の相対性、この事を学ことが節約脳を作る第一歩です。
なぜならあなたの頭の中のお金の価値は条件によって変動してしまうものだとしても、通帳内のお金の価値は常に同じです。
当たり前の事ですがどんな使い方だろうが1000円を使ったら、通帳内から1000円が引かれることには変わりはないのです。
この事は、大きな買い物をするときにこそケチになるべきという教訓をあなたに教えてくれます。
スーパーで食費をケチるよりも、車を購入するときについてくるオプションをケチった方がよっぽど預金通帳にお金は残るという訳です。
偉そうなことを言っていますが、私もスマートフォンを購入する際に店員さんの言われるがまま、謎に高いカバーや私にとって必要のなかった高額なイヤホンも一緒に購入してしまった失敗がありますw
ぜひ高額な買い物の際の「せっかくだし・・・」に気をつけましょう。
さて、ここまでの話でわかるうに私たちの頭の中にはお金の価値を決める帳簿のようなものがあります。そんな頭の中の会計
心理会計(メンタルアカウンティング)について次は説明しましょう。
この心理会計、めちゃくちゃ為になるし面白いです!
心理会計(メンタルアカウンティング)
またまたここで質問です!
次の(A)(B)の質問に答えてみて下さい。
(A)あなたは大好きなミュージシャンのライブに行くために2万円のチケットを前日に買っておきました。しかしなんと当日にチケットを入川に落としてしまいました。幸いにもクレジットカードは無事です。
あなたは会場でチケット(2万円)をカードで買い直しますか?
どうでしょうか?散々な状況ですね。
しかし起こってしまった事は嘆いても仕方ありません。
今大切なのはチケットを買い直すかどうかです。
あなたならどうしますか?本当に楽しみにしてたライブという事を踏まえてどうするか考えてみて下さい。
次に(B)の質問に答えてみて下さい。
(B)あなたは大好きなミュージシャンのライブに行くため、当日にチケットを買おうと2万円を封筒に入れて準備しておきました。しかしなんと当日に封筒を川に落としてしまいました。幸いにもクレジットカードは無事です。
会場でチケット(2万円)をカードで買い直しまか?
(A)も(B)ライブのために4万円払うかどうかという問題に変わりはありません。しかしなぜか(B)の方がチケットを買い直すことに抵抗はなくないですか?それはなぜでしょう?
そこには心理会計が大きく関わっているのです。
会計とはお金の勘定を仕分ける事です。家計簿なら食費、娯楽費といったような感じです。
心理会計とはその会計を頭の中で無意識に行なっている事を言います。
厄介なのはこの頭の中の会計は合理的な会計と必ずしも一致しないという事なのです。
例えば今回の例でいえば(A)(B)合わせて3種類の支出が存在します。
(A)の失ったチケット代2万円
(B)の失った現金2万円
(A)(B)共通の買い直したチケット代2万円です。
いずれも2万円の支出に変わりはありません。
では仕分けはどうなるでしょう。
全て娯楽費が合理的な仕分けと言えます。
しかし(B)で失った現金だけは娯楽費に仕分けるのは少し抵抗がありませんか?
そこが今回の質問のキモなのです。
実は心理会計上では(B)の失った現金は娯楽費に仕分けられていない場合が多い
のです。だってまだチケットにしてなかったから。
しかしチケットにするためのお金には変わりないので2万円分のチケットと同じように娯楽費に仕分けることが合理的です。
それができていないと(A)ではチケットを買い直さず(B)ではチケットを買い直すといった不合理につながるのです。
つまり(A)でチケットを買い直してしまうと、心理会計上の仕分けは娯楽費4万円になります。娯楽費に4万円は少し高いように感じますね。
しかし(B)ではチケットを買い直しても、心理会計上では娯楽費は2万円なのです。
だって失った現金はまだ娯楽費になってないのですから。
娯楽費2万円ならまあ出せると錯覚してしまっているのです。
支出は4万円に変わりはないのに、、
何か支出が出たとき心理会計を思い出して厳しく仕分けるように心がけるといいでしょう。
ヒューリスティックスとバイアス
次に行動経済学の基本的な考え方とも言えるヒューリスティックスとバイアスについて説明してきましょう。
ここでまたまた問題です。10秒以内に答えて下さい!
問題
バットとボールを購入し合わせて11000円でした。バットはボールより10000円_高いです。ボールはいくらでしょう?
どうでしたか?答えは出たでしょうか?
答えはもちろん1000円!・・・・ではないですよね。
正しい答えは500円となります。
いかがだったでしょう?間違えてしまった方も多くいらっしゃると思います。
正しい答えを出せた人も直感的に1000円と最初は考えたのではないでしょうか?
このまず先に思いつくような間違っている直感の事をヒューリスティックスと言
います。
行動経済学のバイブルとも言えるダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」ではシステム1なんて表現もされています。
このヒューリスティックスは人間が考える力を節約する為に備わっている機能だと言われています。
ありとあらゆるものに集中して考えていたら脳は疲れてしまいますもんね。毎日歩く通勤路は道順を意識しなくても自宅に着くことができるのは、いわば脳が道順をオートパイロットで案内してくれているからです。
脳は基本的にはオートパイロット状態で深く考える事を常にサボろうとするものなのです。
その結果正しくない直感であるヒューリスティックスが生まれるのです。
そしてそのヒューリスティックスから生じる「考えの偏り」をバイアスと言います。
このバイアスを学ことこそ行動経済学を学ぶ醍醐味とも言えます。
いわばバイアスは皆さんが合理的な判断をするのを邪魔する罠なのです。
バイアスは脳のバグのようなものなので完全に取り除く事は難しいでしょう。
しかしバイアスの種類を学ぶことで罠を回避しやすくなる事も事実です。
バイアスはたくさんの種類を知っていることにも高貴な意味があるのです。
バイアスには色々なものがあるのですが、バイアスの三大要因というものがあります。まずそこから説明しましょう。
バイアスの三大要因とは①代表性②利用可能性③固着性です。
①代表性・・ステレオタイプを判断基準に転用すること
②利用可能性・・思い出しやすい情報、考えの転用
③固着性・・最初に示された数値などに判断が縛られること
まずは代表性について説明しましょう。
代表性と利用可能性
バイアスの代表性とはステレオタイプを判断基準に転用することです。ここで少しクイズを考えてみましょう。
ある父子が自動車事故に遭い別々の病院に搬送されることになりました。
特に息子には緊急手術が必要です。
しかし搬送先の病院で息子を見た外科医が「息子だから手術できない」と言いました。どういうことでしょうか?
どうだったでしょう?答えは出ましたか?
ひと昔前なら多分もっと答えを出すのは難しかったでしょう。
答えは簡単、外科医が母親だった。
ただそれでけです。しかし外科医は義理の父親だったからといった答えを出した人も少なくはないでしょう。
これは外科医は男性というステレオタイプが合理的な判断を鈍らせたからです。
このようにステレオタイプは非常に強力で代表性のバイアスを強く誘引します。
是非ここで代表性のバイアスついての理解を深めステレオタイプの罠を回避できるようになりましょう。
ここでまず代表性のバイアスの一つ妥当性の錯覚について説明しましょう。
またしても質問です。
年間100冊以上本を読む男性がいます。彼の職業は?
①公務員 ②図書館司書
もちろん、この質問に絶対的な正解はありません。
しかしどちらの方が可能性が高いかを合理的に判断してみて下さい。
私なら公務員と答えるでしょう。
理由は簡単、年間100冊本を読む図書館司書より年間100冊本を読む公務員の方が多そうだからです。
日本には公務員340万人程度います。
そして図書館司書は2約万人程度です。
年間100冊以上本を読む人は4%程度なので公務員の4%、図書館司書の100%が年間100冊本を読むとしても、本を100冊以上読む公務員→13万6000人は図書館司書の2万人より多いと予想できるのです。
確かにパッとここまで具体的な数字は私も思いつきません。
普通に調べて書きましたw しかし多分図書館司書より公務員の方が100倍以上は多いだろうと予想できればある程度論理的に答えることは可能です。
でもパッと見で図書館司書と答える気持ちもわかります。
このように明らかに妥当である論理の適用を怠ってしまうことを妥当性の錯覚と言います。
また本を100冊読んでいる人を図書館司書と予想してしまうのは
「それっぽい」し「もっともらしい」からです。これらに騙されてしまう事を連語錯誤とも言います。
この連語錯誤も強力なバイアスです。簡単な例で言うと
ある男性は①本好きな図書館司書 ②図書館司書 どちらでしょう?
という質問があったとして
論理的に明らかに②が妥当です。
なぜなら本嫌いの図書館司書もいるからです。しかし①の本好きの図書館司書の方が「それっぽく」ないですか?
このようにステレオタイプとも言える「それっぽい」はあなたの合理性を奪っているかもしれません。
あくまで数学的に論理を用いて考える癖をつけるようにしましょう。
オススメとしては今からでも高校数学レベルの確率で良いので学び直してみることです。
広告などの数字のトリックに騙されなくなるための訓練には丁度良いですよ。
さて他にも代表性のバイアス、特に妥当性のバイアスといえる例はあるので紹介していきましょう。
少し数学が求められる場面もありますが苦手意識を持たずに読んで頂ければ幸いです。
まず最初はギャンブラーの誤謬について説明しましょう。
ギャンブラーの誤謬とはランダムな事象に規則性を見つける錯誤のことです。
例えばジャンケンで10連敗したら流石に次は勝てそうな気がしませんか?
しかし、これまでの戦績が次のジャンケンの勝率を左右することはありません。でもなんとなく連敗が続くなど、ランダム事象にわかりやすい規則性が見つけられるとそこに何か意味を見出したくなりませんか?
これがギャンブラー誤謬なのです。
負けが続いたギャンブラーが、次は特別勝ちやすくなるという事はないのです
次にジンクスについて説明しましょう。
ジンクスというと例えばプロ野球の新人賞を取った選手が2年目には戦績が振るわなくなるジンクスやサッカーの年間最優秀選手に贈られるバロンドールを取った選手は次の年に調子を崩すといったジンクスが有名です。
これらのジンクスに共通している事は活躍した後調子を崩すという事です。
しかし多くの場合は調子を崩しているわけではないのです。
1年目が賞を取れるくらい調子が良かった、ただそれだけの話なのです。平均に回帰しただけそうとも言えますね。
他にも検査陽性のパラドックスなどが有名ですが、少し数学的要素が強くなってしまうので参考画像だけ添付させて貰いますので、是非ご確認ください。
次に利用可能性について説明しましょう。
しかし利用可能性は代表性と重なる部分が多いので手短な説明となります。
利用可能性とは思いつきやすい事象の過大評価のことを言います。
つまりイメージしやすいことを起こりやすいように考えてしまうといった具合です。
例えば飛行機事故が起こる確率は0.001%です。
これは10万回に1回という超低確率なのですが、メディアなどの大々的な報道などから飛行機事故はイメージがしやすく、そのため飛行機に乗るのは少し怖く感じるといった具合です。
実際には散歩する方がよっぽど危険なのに、、、
固着性
次に固着性について説明していきたいと思います。
さてここでお約束の質問といきましょう。
ガンジーは100歳まで生きたでしょうか?
インド独立の父とも言われているマハトマ・ガンジー、確かに教科書の写真なんかだとある程度高齢のイメージはあるかもしれませんが、流石に医療水準が今より低い50年以上前に100歳までは生きてないと予想できるでしょう。
その通りガンジーは100歳まで生きていません。
では、ガンジーは何歳まで生きたでしょう?
ここで大切なのはあなたが正解を出せたかどうかではありません。
先にガンジーは100歳まで生きたかどうか?という質問を出されたことで100歳が基準となってしまい、次の質問に少し高めの年齢で答えやすくなってしまっていたことが問題なのです。
実際にあなた自身がそうなっていたかはもう反証の仕様がありません。
多数を対象とした実験では有意に答えの平均が上がってしまうことが示されています。
このように最初に示された数字等が後の判断に影響を与えることがバイアスの3つ目の要因固着性です。ちなみにガンジーは没年78歳です。
またこのように先行刺激(先に示される情報)が後の判断に影響を与える効果をプライミング効果(アンカリング効果)と言い、先行刺激を
プライム(アンカー)と言います。
このプライミング効果は多くのところに使われています。
それこそAmazonの商品なんかでよく見かける値下げ前の値段の表示は典型的なプライミング効果です。
値下げ前の値段がアンカー(プライムだとややこしいのでアンカーをここでは使いますw)となり現価格をお得に見せやすくなるのです。
アマゾンプライムではプライムに気をつけろ!というわけですね。
プライミング効果は思わぬ所にも影響を及ぼします。
老人に関するアンカーを被験者に与えることで被験者の歩行速度が落ちるなんて実験もあるくらいです。
アンカリング効果の代表的なものとしてハロー効果があげられます。
ハロー効果とは1つの要因が他の要因の評価に影響することを言います。
例えばルックスがいいと面接に通りやすいなんていうのは典型的なハロー効果と言えます。
ここで、このハロー効果がどのようなメカニズムで起こるのかを詳しく解説していきましょう。
ハロー効果の起こる原因は確証バイアスにあります。確証バイアスとは一言で言えば都合の良い解釈のことです。
人は一度、評価をしたらその評価を確信づけるような都合の良い解釈をしやすくなるのです。
第一印象が大切なんていうのもこの事に起因するでしょう。
都合の良い解釈とは主に両義性の無視や反例の無視のことです。
例えば「やさしい」という言葉は「思いやりのある」という意味の他に「厳しくできない」と捉えることもできます。
こういった言葉の二面性を無視することが両義性の無視です。
反例の無視はそのままの意味です。
自分の信じていることが覆されるような情報を無視してしまうことを言います。
ここでハロー効果と確証バイアスを具体例を交えながら説明していきましょう。
今から Aさん Bさん 二人の特徴を挙げますのでぱっと印象を考えてください。
Aさん
ギャンブル好き 怠け者 やさしい 公務員 高学歴
Bさん
高学歴 公務員 やさしい 怠け者 ギャンブル好き
どうでしょうか?
よく見るとAさんBさんの特徴は順番を逆にしただけで全く同じものなのがわかります。
しかしAさんの方が印象が悪くないですか?
そうであれば、あなたはまさしくハロー効果にハマっているという事です。
Aさんの特徴では最初の2つがアンカーとなってしまうのです。
お世辞にもこの2つのギャンブル好きと怠け者は良い特徴とは言えないでしょう。
さらにこのアンカーの悪い印象は確証バイアスによって後半の比較的良い特徴の解釈を歪めてしまい結果としてAさんの印象は悪いものとなるのです。
またBさんでは全く逆のことが起こり印象が良くなるのです。
詳しくは下にまとめましたので参照ください。
また確証バイアスが自身の能力評価に働いてしまうと自信過剰バイアスにつながります。
自動車免許取得者の半数以上の人が自分は平均より運転が上手いと思っているのはまさしく自信過剰バイアスが働くからです。
私たちは自分が人より社交的で見た目も平均より良くて知能も平均以上だと考えてしまうものなのです。
刑務所の囚人の半数以上が「自分は人よりルールを守る」と答えたなんて調査結果もあるくらいです。
その他のバイアス
ここでその他のバイアスについて説明していきましょう。
そしたらお約束の質問といきましょう。
あなたはイヤホンを購入しようと考えています。
①2000円の有線イヤホン
②6000円の格好いいワイヤレスイヤホン
あなたならどれを購入しますか?
これは本当に好みの問題だと思うので、値段をとるなら①性能を取るなら②となるでしょう。
しかしこれならどうですか?
①2000円の有線イヤホン
②6000円の格好いいワイヤレスイヤホン
③5000円のダサいワイヤレスイヤホン
どうでしょう?さっきより②が魅力的になったとは思いませんか?多分③は買おうと思った人は少ないと思います。
それはそうですよね③は②のいわば下位互換といえる商品です。
③を選ぶなら1000円くらい多く出して②を買いたいと多くの人が考えそうですよね。
それが重要なのです。
あなたがこの3つの選択肢からイヤホンを選ぶ時、頭の中で比較をして総合的に一番いいものを選ぶでしょう。
その比較の際に③という②を際立たせるわかりやすい比較対象を作ってやることで②の価値を実感しやすくなるのです。
つまり②の③と比べた相対的な価値を上げてやるのです。
そうすると①〜③の中の絶対的な価値まで②は高いように思えてしまうのです。
これを選択の相対性と言います。
合コンなんかで自分と同じ系統でちょっと自分より劣る奴を連れて行くとモテやすくなるといった具合です。(性格悪い例えですみませんw)
冗談はさておき、もしあなたが営業などの何かを売る仕事をしているとしたら売りたい物の下位互換を選択肢に混ぜとくと良いという事です。
価値というものは何かしらの比較対象と見積もるものなので、もしあなたが買い物で損をしたくないのならば、自分は今何と比較していてその比較対象は正しいのかを考えると良いでしょう。
普段の買い物でそこまで考えるのは難しいかもしれませんが。高額の買い物の際には是非そうする事をお勧めします。
もっとこだわりたい方はヒエラルキー分析などをしてみても良いでしょう。
ちなみに平等な3択では真ん中が選ばれやすい事もわかっています。
ハイエンドモデルとローエンドモデルはミドルクラスの売り上げに貢献しているという事ですね。
最後のバイアスとしてフレーミング効果も紹介したいと思います。
これはなんてことはありません、
表現(言い方)で印象が変わることをフレーミング効果と言います。
例えば
死亡率5%より生存率95%の方がより前向きな印象を与え
死亡率5%より20人に1人は死亡のほうがより恐怖を煽るといった具合です。後述した「〇人に〇人」というという言い方が%表記よりインパクトを与えるということは覚えておいて損はないでしょう。
イメージしやすいことが何よりも大切なのです。
プロスペクト理論
さあ最後はプロスペクト理論について解説しましょう。
プロスペクト理論は行動経済学の神様ともいえるダニエル・カーネマンが提唱した理論です。
プロスペクト理論を学んでこその行動経済学と言えるので最後までこの記事を読んで頂けると幸いです。
言っておきます。プロスペクト理論、超面白いです!
さあここで質問です! もう質問にも慣れましたよねw
質問1
あなたは10万円貰ったとして
①あと5万円を確実に貰う
②50%の確率で10万円貰える賭けをする
あなたはどちらを選びますか?
さらに続けて質問です。
質問2
あなたは20万円貰ったとして
①5万円確実に減る
②50%の確率で10万円減る賭けをする
あなたはどちらを選びますか?
どうだったでしょうか?大切なのは質問1 2それぞれの答えが一致したかどうかです。なぜならどちらも
①確実に15万円
②50%で20万円、もう50%で10万円
ということに変わりはありません。
そして多くの人が①を選ぶことが分かっています。
あまりリスクを負いたくないということですね。
しかし質問2の方が②を選ぶのに抵抗がなくはなかったですか?
質問1では①質問2では②を選ぶなんて方もいらっしゃったんではないでしょうか?なぜ質問2では②を選びやすくなったのでしょうか。
それは損失はリスクを冒してでも回避したいと思うからです。
損失の価値を利益の価値より高く見積もる事を損失回避と言います。
また損失の価値は利益の価値より2倍程度も高く見積もることが分かっています。この結果を示す理論をプロスペクト理論と言います。
そして何も人が避けようとする損失は金銭的な物ではありません。
特に機会(可能性)の損失を無くすことを人は避けようとするのです。
つまりとにかく後悔したくないということです。
これを後悔回避と言います。
例えばスマートフォンの契約の際、もしかしたら使うかもと思い、要らないであろうオプションをつけてしまった経験はありませんか?それは未来にそのオプションを使う機会(可能性)を失うことが怖いから起こる後悔回避と言えるのです。
ここで後悔回避の中でも特に面白い事例を3つ説明していきましょう。
①保有効果
1つ目は保有効果です。簡単に言えば捨てられないことです。
ここではコーネル大学の学生を対象にした実験が面白いので説明しておきましょう。実験は実にシンプルです。
半分の被験者には大学のロゴが入ったマグカップをいくらなら買うかを尋ね
もう半分にはあらかじめ同じマグカップをプレゼントしておき、いくらなら売ってもいいかを尋ねるという物です。
結果としてはプロスペクト理論通りに
いくらで買うか?と聞かれた学生の平均は5.25ドル
いくらで売るか?と聞かれた学生の平均は2.75ドル
となったそうです。
もし掃除の際に処分するものを決めるときは「同じものを買い直すか?」と言った質問を自分に投げかけて判断すると良いでしょう。
②やって後悔?
2つ目は現状維持バイアスについて解説していきたいと思います。
現状維持バイアスとは現状を変えることのリスクを過大評価することを言います。
この記事を読んでいる方の中にも挑戦したくてもなかなかできていなかったり、なかなか自分を変えられないと思っている方も多いのではないでしょうか?
「やらずに後悔」より「やって後悔」なんて言葉もあるように多くの人が挑戦したいと思っているのです。しかしできない!それはなぜか?
簡単な事です。
「やらずに後悔」より「やって後悔」の方が怖いからです。
ここで一つ例を出してみましょう。
私もやったことはないのですが、あえてパチンコを例にしてみました。
(わかりやすいかなぁと思って、、、)
あなたはパチンコを今しています。
しかし、なかなか当たりが出ないので隣の台に変えることを考えています。
①台を変えずにいたら、隣の台は座られてしまい、しかも大当たりしている。
②台を変えたら、さっきまで自分の座っていた台に新しい人が座り、しかも大当たりしている。
①②どちらの方が悔しいと思いますか?
どうでしょう、なぜか②のほうが悔しく感じませんか?
これが現状維持バイアスです。人は行動して後悔することを行動しないで後悔することより怖がるのです。
しかしここで大切なのはあくまでどちらの方が後悔しそうかという予想の話ということです。
ほとんどの場合はこの予想は過大評価であると分かっていますので、何かに挑戦しあぐねている方は是非この記事の内容を思い出してもらい「今の自分は挑戦して失敗する後悔を過大評価しているだけだ」と自分に言い聞かせ、現状維持バイアスを突破するお役に立てれば幸いです。
最後に③かけたコストを手放す後悔
サンクコストバイアスについて解説しましょう。
サンクコストとは埋費用とも言い、どう頑張っても回収のしようがない費用の事を言います。
合理的に考えれば回収できないのであればさっさと諦めて投資の継続を断念するべきです。
そうすれば損失が増えることはないのですから。
しかし過程の投資が莫大だったため諦めきれずに投資の継続を促してしまう事をサンクコストバイアスと言います。
サンクコストバイアスの最も有名は例はコンコルドという旅客機開発の例でしょう。
イギリスとフランスが共同開発した旅客機コンコルドは開発しても採算がとれない事実が途中で分かりました。
しかしそれまでの投資が膨大だったため開発を継続し、さらに赤字を増やす事になってしましました。
この事例からサンクコストバイアスはコンコルドの誤謬なんて言われ方もします。
もしあなたが今まで頑張ってきたからという理由だけで採算の取れないプロジェクトを進めてしまっているのなら、辞める勇気を持つことが賢明だということです。
いかがだったでしょうか?
これで節約脳の作り方もとい行動経済学の記事は終わりになります。
この記事を読む事であなたが少しでもバイアスにハマりにくくなったり、合理的な行動を選択できるようになったり、無駄遣いを減らせるようになったりしたのだとしたら、私にとってもこんなに嬉しいことはありません。
最後に参考文献を載せておきます。
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