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今日の買物#5 本屋さんで本の帯を見て買う買物

手がかりは、本の帯
「本はネットで購入し、全国の書店は閉店、紙の本はいつかなくなる」、といったことをいう人がいます。確かに、10年前と比べて、書店で買うよりネットで購入することが多くなったかもしれません。特に、研究や仕事の資料を探しているときはネットが便利です。同じテーマの本が「この本を買った人は、この本も買っています」とレコメンドされます。例えば、行動経済学の本を探していたときに、「行動経済学というテーマ」で類書としてレコメンドされ、何冊か買ったことがあります。本を探すときの手がかりをレコメンドエンジンは提供してくれるのです。では、書店では何が手がかりか?それは新刊書につきものの本に巻いてある帯です。

書店で手にした本を、本棚にすぐ戻してしまう
書店で本を買うときのことを思い出してみます。書棚に平積みになっている新刊本を目でざあーっとサーチします。何を見ているかというと本の帯に書かれている文言です。ピッと私の中の何かが反応します。そしてその本を手に取ります。本の目次を開いて、またざーっとサーチします。気になった部分があったらそのページを開いてみて少し読んでみます。そのまましばらく立ち読みする場合もあるし、すぐ本棚に返す場合もあります。最近、書店に行って「問題だな」と思うことは、すぐ本棚に戻すことが多くなったことです。

なぜ、戻すのか?それは本の帯に書かれていることと内容が一致しないからです。最近、そういうことが多くなった気がします。帯を見ると「なんか面白そうだな」と思っても、いざ手に取って少し読んでみると「帯に書かれていることはウソではないけれど、ちょっと大袈裟だな」「著者は帯に書かれていることに納得しているのだろうか」と思ってしまうのです。著名人推薦の本もあふれています。でもその著名人はちゃんと読んでいるのかなと疑いを持ってしまします。この方法が多いのは、買う人も多い成功パターンになっているからでしょう。買ってしまう人も、この方法で売る方も、売り買いしているのは本なのに、何かズレているような気がしてしまいます。本の帯の役割は、本を売るための広告です。それはまぎれもない事実です。出版社と著者が相談して、どんな文言を書けば興味を引くか練りに練っていると思います。本がなかなか売れないといわれて久しいですが、少し売ることに躍起になりすぎている場合もあると感じてしまいます。せっかくいい内容なのに、広告色が強すぎてちょっと残念なことがあります。

本を買う人の行動や意識をもっと大事にしたい
コンビニで買うような飲料やお菓子と本の買物は違うと思いますが、ともすればそちらの方にだいぶ傾いているような気がします。本は知識を得るものです。喉の渇きを潤したり、小腹が空いたときに食べたりするものではないのです。ビジネスだからもちろん儲からなければなりません。でも売っているものの本質を見極めて、それに合致した売り方をしなければ、何かを失うように思います。買い手の行動や意識、インサイトを見極めることが大事だと思います。本の販売にもっとマーケティングの視点を取り入れるべきだと思います。この10年、本の売り方は変わってないなあと思います。売り手発想が強すぎるのではないかと思います。

ネットで買うときは、本の帯を見たりはしません。手がかりはレビューです。「レビューなんてあてにならない、フェイクや関係者が書いていたりするからね」ということをいう人が出版業界に多いような気がします。たしかにそういうこともあるでしょう。でも「読者の素直なきらりと光る感想」もあるのです。売り手発想の本の帯より、読者の感想の方が買いたい気持ちを刺激してきます。ネットで買う人が多くなっているのは、便利だからという理由だけでなく、買いたくなる仕掛けがあるからだと思います。本の売り方改革が進めば、書店で買う人も多くなるのではないでしょうか。書店での本の買物がもっと楽しくなることを考えたいです。

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