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しあわせな眠りの世界へ

更年期のせいか、仕事や新しい活動に興奮するせいなのか、良質な睡眠を得るのがむずかしいと、数ヶ月前まで悩んでいたのがうそみたいに、最近ものすごくよく眠れる。

ソバーキュリアス(体質的に飲めるけどあえて飲まないという選択)を決心した理由の一つに、眠りの質をもっと上げたいという強い思いがあったことは、先週のnoteに書いた通りだけど

平日も週末もお酒を飲まない、いわゆる断酒生活に入って、そろそろ1ヶ月。
お酒を断つのは、妊娠出産授乳期(約2年間)や、夫の肝機能数値が悪くて再検査を言い渡された際に付き合いで飲まなかったとき(たしか1ヶ月くらいだったか)、娘の中学受験直前期(4ヶ月間)など、過去に何度か経験しており、当然ながら、そのどの回よりもいまの自分は年齢を重ねている。

加齢による代謝機能の低下のせいもあるのか、年々、お酒が残っている朝と残っていない朝の体調の違いが大きく、体感として気持ちいいほうを選んだら、それはお酒を飲まないほうの道だった。

断酒1ヶ月での新たな発見として、以前は「お酒を飲む日は夜の気持ちよさをとり、飲まない日は朝の気持ちよさをとっている」つもりだったのが……あれ、なんか、夜もお酒を飲まないほうが気持ちよくないですか !?

「夜」といっても夕食時ではなく、食後、家事をこなし、入浴して、ヨガやパックなどの美容ルーティーンを済ませて、寝室でスタンドを消すまでの数時間のこと。
近年はお酒を飲むと、とにかく眠くなりやすかったのだけど、いまはベッドのなかでもしっかり読書が楽しめる。
そしてわたしは、ウェブサイトのプロフィールにわざわざ書くくらい、ベッドで本を読む時間にしあわせを感じる人なのだ。

就寝前のベッドの読書は、せいぜい15分、長くても30分程度。それでも、細切れをつないでいけば、そこそこ分厚い本でも1週間あれば読める。この、本を一冊読み終えて、あぁ〜いい本だったな、と目を閉じて余韻に浸りながら眠る、これが最高にしあわせなんだな。

真夏の夜の眠りを支えるもの

だがしかし、これだけで良質な睡眠が約束されるわけではないのが、アラフィフ女性の悩ましいところ、のはずが、たとえ猛暑の夜でもバッチリよく眠れているワケは、新規導入した安眠グッズが当たりだったという見方もできる。

そのグッズは2つあって、アイマスクと、薄手のレッグウォーマー。
どちらもAmazonで、レビューを読み比べつつ賭けのつもりで買ったもの。それにしては個人的に大満足でした。

このルーキーたちにくわえて、もう何本目のリピートだろう、というほど気に入っている、ニールズヤードのピローミスト。

まるでこの三者が手をつなぎ、わたしを素敵な眠りの世界へと毎晩連れていってくれるかのように、最近は朝から感動するほど「ぐっすり寝た感」が得られている。

でも、ニールズヤードのピローミストは前から使っていたし、レッグウォーマーは春・秋・冬用の愛用品から、夏用の薄手のタイプに変えただけ。
だから、いちばん変化として大きく、成果を出しているのはアイマスク、ということになるのだろう。

アイマスクを使うのは初めてではなく、これまでも、飛行機に乗った際にノベルティとしてもらったものや、それを型紙がわりに自分で縫ったものなどを使ってきた。でも、夜中にいつのまにか外していることなく、アラームが鳴るまで装着し続けられる商品は初めて。

わりと大きめで、顔の上半分をしっかり覆うようなサイズ感なのに、ふんわりとした感触で重苦しくない。そして最大のポイントは、ゴムを耳に引っ掛けるタイプだという点。
後頭部にベルトを回すタイプ(そちらの方が商品としては多数派)は枕と擦れてずれやすく、明け方には顔から外れているため、夏の朝日で目覚めてしまいがちなのだ。おまけに後ろ髪にゴムの跡がついてしまうのもネック。

耳にかけるゴムの長さまで調節できるので、しっかり顔を覆っていながらも違和感がほとんどない、とても優秀な商品だと思っています(絶賛)。

やっぱり睡眠は人生のカギを握るようだ


最近読んだ本でも、「やっぱり睡眠は重要なカギを握るのか」と気持ちを引き締めたのだった。

その本は、米国マウントサイナイ医科大学米国老年医学専門医・山田悠史さんの著書『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』

副題にある5つの「M」とは、
「Mobility(からだ・身体機能)」
「Mind(こころ・認知機能、精神状態)」
「Medications(くすり・ポリファーマシー=多数の薬を服用している状態)」
「Multicomplexity(よぼう・多様な疾患)」
「Matters Most to Me(いきがい・人生の優先順位)」のこと。

アメリカの大学病院の老年医学・緩和医療科の医師として高齢者医療に従事し、人間の老化に日々向き合っている著者が、自らの診療経験から、どうしたら人生の最後の時期を最高のものにできるのか、本人や周囲の心がけ、努力によって実現可能なことについて解説してくれる。

なぜこの本を手にしたかというと、最近また義母の認知症が進行してしまったことで、「老い」の現実を目の当たりにしているからだ。
「ここでずっと暮らしたい」と、ほんの2年前まで満足そうに語っていた施設を、介護度が進んだことによって出なければならなくなってしまい、別の施設に転居したばかり。認知機能だけでなく、腸や膀胱などあちこちの臓器にも疾患が出はじめ、一時は医師から「このままだと半年もたない」とまで言われて言葉を失った。

幸い、施設を移ったことでケアが手厚くなったおかげなのか、またそれによって本人も安心したのか、ずいぶん元気を回復し、ガラス越しに笑顔で面会もできるまでになった。
とはいえ、1歳しか変わらないわたしの実の両親は週2、3回はゴルフに出かけている姿を見ると、同じ80歳でも、人の老い方はまったく違うことに驚かされる。

そんな背景もあって手にした話題の新刊だったが、普段はエッセイや小説などを多く読んでいるわたしにも、とてもおもしろく読めた。
なかでも興味深く読んだのは、2つめのMとして挙げられた「Mind(認知機能、精神状態)」の章。
認知症=アルツハイマー病ではない、という説明にはハッとさせられ、とくに認知症とうつ病が深く関係していること、また、うつ病を引き起こす要因はさまざまでも、不眠によって症状が悪化しやすいこと、さらに認知症の発症リスクは、睡眠が7時間を割り込むほど上がる(7時間以上は横ばいらしい)という研究結果も出ているとのことで、とにかく50代以上の中高年者にとって、良質な睡眠を一定時間とることは、それこそ最高の老後を送れるかどうかを左右する重要な問題ではないかと思った。

親が高齢となって介護する立場になる人はもちろん、自分がこれから年齢を重ねていくうえでも、心身ともにすこやかに生きていくヒントがたくさん詰まった良書。おすすめです。

不眠がうつを引き起こす過程が描かれた小説も

高齢者だけでなく、若く体力がある人でも、不眠によって心身のバランスが崩壊し、うつになってしまう。西加奈子さんの最新長編作『夜が明ける』には、その様子が痛々しく描かれていた。

本作のテーマは日本の若者の貧困と過重労働。テレビ制作会社で働く主人公の、トイレの個室で数分間しか睡眠がとれない、あまりにブラックな職場環境の描かれ方は、ページをめくるのが本当につらかった。

ここまでの状況に陥る人ばかりではなく、女性ならば産前産後や更年期など、ホルモンバランスによって満足な睡眠がとれなくなることは簡単に起こり、他人事ではない。

それを軽視してはいけないというのが、いまわたしが肝に銘じていることで、だから1日1日、その日の終わりの気持ちよさと、はじまりの気持ちよさに、しっかり向き合っていきたいと思っている。

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