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Digging Angry(穴掘り怒り)

疲れをコントロールするのがプロ

デンマークでは、ヴィルヘルムハーツというハンドメイドの杖の職人の工房で半年間、丁稚奉公もした。彼の本職である建具屋の仕事を手伝っていた時のこと。

庭先にサンルームを造るために、地面をシャベルカーで掘り起こし、深く張った根を手作業で地面から取っていた。ただひたすら根を引っこ抜いては脇に寄せる…。

それを黙々と続けていたらふと、無性に自分に腹が立ってきた。

なんで自分はこんなことをしているのだ…わざわざ日本から来てるのに」。

それでも、作業の手を止めないでいると、今度はこんなことをやらせている職人、さらには日本にいる家族や自分を取り囲む世界に対してまでも怒りがこみ上げてきた。

次の日になっても怒りは収まらないまま、また職人と同じ作業場へ向った。2人きりの車中、意を決して昨日の出来事を職人に伝えてみた。

すると彼は大笑い!「それは“Digging Angry( 穴掘り怒り)”だよ!」と。そして「すまん、師匠の自分が、お前の体力をコントロールする役目だった…」。

彼によると、人間はどんな仕事でも集中できる時間は決まっていて、集中力が切れる直前に休憩することがプロフェッショナルだと言う。そして1日に働けるのは7時間ぐらいが限界だと。「集中力が切れてまで作業をしているとストレスになり、やがて怒りになる。この怒りまで到達してしまうと、もう自分じゃ制御が効かなくなる」。

それがDigging Angry なのだという。

今まで感じていたモヤモヤが一気に晴れた気がした。自分を知り、コントロールができるようになるのがプロフェッショナル

皆さんもぜひ休憩を。

尚工藝代表・宮田尚幸

シルバー新報 2020年(令和元年) 1月24日(金曜日)発刊号より

- シルバー新報 -
「介護の文化を創る専門誌」として介護保険にかかわる行政の施策や、民間の取り組みを取材し、発信している週刊タブロイド紙。
創刊は1987年。25年以上の歴史をもつ週刊の介護保険専門紙です。
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家主とおしゃべり休憩は必須

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なにかのヒントになっていたら幸いです。