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映画館でほんのひととき、デジタルデトックス(39/100日)

ねだられるまま、子ども2人分のポップコーンとジュースを買う。トレイに乗せてもらい、それを持ってシアターへ。座席へと続く道は照明が落とされ、暗い。ほのかな明かりを頼りに、手元のチケットと照らし合わせながら座席を探す。

あった。

この奥だから、まっすぐ進んで。と子どもたちに声をかけ、座席と座席の間の細い通路をそろりそろりと歩き、席につく。持っていたトレイを座席にセットして、ようやくひと息ついた。

忘れないうちに、とスマホの電源を切る。昔の携帯電話は、「サイレント」にすれば携帯から出る音という音のすべてが「消音」になった。しかし最近のスマホは、やれ通知だアラームだメディアだと、音量設定だけでも複数いじるところがある。どれかが間違って鳴ってしまった日には大ひんしゅくなので、わたしは手っ取り早く、電源を切ることにしている。

日常生活を送るなかで、スマホの電源を切ることなんて、映画館に映画を見に行くときくらいかもしれない。それだけ、わたしの生活にスマホはなくてはならないものと化している。

作業に集中するため、一時的に通知音を消したり電源を切ったりすることはある。あるが、どうしても「この間に、何か連絡が来ているのでは」という焦燥感に駆られてしまう。別に、常に即レスしなければいけないほど差し迫った仕事を抱えているわけでもないのに。(たまにはあるけど)

けれど映画館に来ると、なんだろう。「わたしは今、映画館におりますので」という謎の免罪符が自分のなかに生まれる感じがする。電話やメールやチャットに気づけなくても、仕方ないでしょう、と。せいぜい2,3時間の間くらい、待っててくださいね、と。

そして純粋に映画を楽しんだり、その内容から派生した何かを考えたりする。なにげなくスマホを手に、調べ物を始めたりSNSを眺めてしまったりすることはない。こういう時間は、本当に希少で貴重なのではないか。ふと、先日マリオの映画を見に行ったときに思ったのだった。

よく、温泉などへ行ったらスマホの電源を切ってデジタルデトックスすると良いと聞く。聞くけれど、わたしにはたぶん無理だろうと思っていた。だって、どうしたってスマホを見てしまう。だからわたしのように意志薄弱な人間がデジタルデトックスするなら、強制的にスマホの電源を切らなければいけない場所がいい。映画館は、そういう意味でとても手軽で、取り入れやすい。良いことに気づけたな、とほんの少し、嬉しくなったのだった。

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