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ポストコロナとSDGs~競争社会から共創社会へ~

皆さんこんにちは
Naoです
今回は、コロナ後の世界と、近年注目を集めるSDGs(エスディージーズ)についてお話します。

(1)はじめに

 ご承知のとおり、今はコロナ禍の真っただ中です。収束にはまだ時間がかかるでしょう。
 多くの方が、ポストコロナの世界を予想されていますが、コロナ前に戻る、コロナ前の世界とは別世界が訪れるなど、色々な意見があります。ただ、コロナ後の世界がどうなるかは、誰にも分かりません。
 しかし、今現在、コロナ以前とはライフスタイルが大転換し、たくさんの課題が浮き彫りになったということは確かではないでしょうか。「今までと同じやり方では、これからは通用しない」と感じる方も少なからずいらっしゃると思います。
 ところで、SDGsという言葉をご存じでしょうか。国連で採択された「誰1人取り残さない」持続可能で多様性と包括性のある社会の実現のために定めた17個の目標のことです(詳細は後ほど)。一見すると、夢物語のようですが、今回のコロナ禍によって、SDGsがいかに重要であるかがはっきりしました。
 例えば、コロナウイルスへの感染は、金持ちだろうが貧乏人だろうが、平等にかかると言われています。しかし、感染後、重症化するか否かは、十分な治療が受けられるか否かにかかっており、それは、ここで貧富の差に影響されます。日本は幸い、保険制度が充実しているので実感がないかもしれませんが、アメリカでの重症患者は、黒人など貧困層であると言われています。また、日本においても、貯蓄がある世帯とそうでない世帯では、経済的なダメージが異なるでしょう。生活に余裕がなくなり、食うや食わずの生活を強いられ、役所を襲撃する事件も発生しています。
 SDGsの目標に「すべての人に健康と福祉を」、「貧困をなくそう」というものがあります。コロナで窮地に陥っている人たちのことを考えれば、この目標がいかに重要であるかが分かります。
 かつての経済は、競争によって世界が良くなるという理屈に基づき、発展しました。確かにそれによって世界は大きく発展しました。しかし、その一方で、格差の拡大や環境破壊などの弊害も露わになりました。「自分たちさえよければ良い」という理屈で突き進むのでは、持続的発展は不可能であることが分かったのです。SDGsは、コロナ以前から叫ばれていたことですが、コロナがSDGsの必要性を再認識させ、進展させるきっかけになるのではないかと思います。

(2)SDGsとは何か

 SDGsは、2015年国連で、全会一致で採択された、「誰1人取り残さない」持続可能で多様性と包括性のある社会実現のため2030年までを期限とする17の目標です。
具体的な目標は、下図のとおりです。
【17の目標】

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 各国が様々な思惑を抱く国連で、全会一致で採択されたということは、これらの目標については、どの国も必要なことと認識しているということです。
 日本はSDGs達成のため、アクションプランを作成しています。その中には、「Society5.0」や、働き方改革の推進ダイバーシティ地方創生などが挙げられています。私たちが、SDGsとは無関係に取り組んでいると思っていることも、実はSDGsと非常に深い関わりがあるのです。また、大企業もSDGsに向けた取り組みをしていたり、投資家もSDGsを意識した投資に舵を切っています。

(3)Society5.0

 「Society5.0」は、初耳の方もいらっしゃるかもしれませんので、少し説明します。
 「デジタル革新と多様な人々の想像(創造)力の融合によって価値創造と課題解決を図り、自ら創造していく社会」のことです。言葉だけではピンと来ないかもしれません。
 YouTubeに経団連が作成したSociety5.0のイメージ映像がありますので、ご覧ください(4分45秒)。
【「20XX in Society 5.0~デジタルで創る、私たちの未来~」】

 ここではテクノロジーによって、平等に豊かな生活を手に入れた人々の様子が描かれています。具体的にはAIやビッグデータ、ドローンなど既にある技術の進化させ、組み合わせることで実現させる世界です。
 歴史上、一番の金持ちはロックフェラーだそうですが、彼は映像で描かれているようなサービスを受けることはできませんでした。彼が受けていたであろう以上のものを社会全体が豊かになることで、誰もが享受することができるようになるのです。

(4)これからの世界

 「はじめに」でも申しましたが、誰にも未来のことは分かりません。あくまで予想に過ぎませんが、SDGsを踏まえ、これからの世界は、「競争社会」から「共創社会」になるのではないかと思います。
比較すると以下のとおりです。

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①企業の活動目的は「利益」から「課題解決」になる
 皆さんご承知のとおり、企業は営利を目的とした組織です。ですから、利益第一に考えることは間違いではありません。しかし、これからの世界では、利益を「目的」とするのではなく、「手段」とする世の中になるでしょう。
 企業を取り巻くステークスホルダーのうち、利益の源泉となるのは顧客です。では、顧客に自社の利益のため活動している会社と社会の課題を解決ために活動している会社では、どちらが選ばれやすいでしょうか。顧客が選ぶのは、自分たちに役立つかどうかであって、会社の利益になるかどうかではないのです(その会社を応援しているファンでない限り)。
 また従業員にとって、利益は自分たちの給料に反映されるものですから、勿論重要なものですが、顧客に選ばれなければ利益を上げることはできませんから、利益偏重は従業員のためにもなりません。また、利益だけで社会のために何の役にも立たない企業(存在意義がない企業)では、働くモチベーションが下がります。更に、社会が進化して、安価に豊かな生活を手に入れることができるようになれば、そもそもたくさんの給料がなくても生活に満足感を得られるでしょう。
 最後に株主ですが、先述のように利益偏重の投資に対する反省から、ESG投資に舵を切り始めました。結局のところ、社会全体が成長するような投資が高いリターンを上げるという考えに至ったのです。
『マネジメント』で有名なドラッガーは、利益を「将来の事業に必要な費用」と言いました。つまり、利益は事業継続の手段であって、しかも必要なだけ頂ければ合格点なのです。それよりも重要なのは、人々から「欠かせない企業」と思われるために、その企業の役割を認識し、実行することなのです。

②ライバル企業との関係は弱肉強食から提携へ
 企業間の競争がなくなるとは思いませんが、他社との関係は、お互いに蹴落とし合う弱肉強食ではなく、得意分野を伸ばし、業界首位に立つ者同士の提携関係に変わるのではないかと思います。
 というのは、顧客のニーズが多様化・細分化し、数ある会社の中から、自分が求めるものを提供してくれる会社の中から、業界首位のものを選ぶようになっているからです。
たとえば、何かを買うとき、まずネットで検索します。検索結果はたくさん出てきますが、それらを全て比較する人はいないでしょう。自分の要望に沿っていて、評価が一番いいものか、それに準ずるもの(「顧客満足度No.1」、「価格No.1」など)のうち2~3個をピックアップして、その中から選択するでしょう。
 いわば、千差万別の「売り」を持つ企業が乱立し、その中から自分が欲しいものを提供してくれる、業界首位の中から2~3社ピックアップし、そこから選択するということです。
 企業もまた、何でもかんでも自前で用意するという方法から、「餅は餅屋」に任せる方法に転換しつつあります。できたばかりのベンチャー企業であっても、「これだけは業界内で負けない」という武器が1つあれば、それを欲する大企業と提携し、両者両得の関係を築くことができます。

③働く意味が、労働から活動に変わる
 働く意味が、生きるための労働から、課題解決や何かを創造する活動に変わるでしょう。
 そもそも、働く目的は衣食住を得るために必要な賃金を得ることです。働かなければ生きていくことができません。賃金で生活必需品を買い、余裕があれば嗜好品などを買うことができます。しかし、生産性はここ数百年で飛躍的に向上しました。これからAIなど、機械を活用すれば、衣食住は、人の手を介さずに生産できるようになるでしょう。
 例えるなら、古代ローマの市民と奴隷のような関係です。古代ローマでは、生きるために必要な生産は奴隷が行い、市民は政治や芸術活動など、高度な活動に勤しんでいました。つまり、古代ローマの奴隷にあたるのがAIで、人間は市民の活動をするようになるということです。これからは、自分で課題を見つけ、個々の能力を活かし、自分なりに解決に向けて行動できる人材が求められていくでしょう。
 思いつきですが、個々の能力を活かすために必要になるサービスは以下のようなものではないでしょうか。
 ・個人の思想・創作物を発表できるプラットフォーム
 ・個々の才能を見出すための自己分析ツール。また、能力開発サービス
 ・各クリエイター同士を結び付けるマッチングサービス

(5)まとめ

 本稿では、コロナ禍をきっかけに、以前から叫ばれていたSDGsの重要性が再認識され、これからどのような世界になっていくのか、私なりの考えを述べました。
 私なりの考えでは、誰もが豊かな生活基盤を手にするということを前提に、利益を目的とする競争社会から、社会課題を解決する共創社会へ転換すると思います。理想主義的に思われるかも知れませんが、現実的に考えれば考えるほど、このような世界になっていくと考えられます。
 より良い社会の実現のため、一人ひとりがSDGsへの関心を高め、課題認識をもって行動していただけると嬉しく思います。

(参照)外務省HP

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