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コトリドリル、始めました

こんにちは、はじめまして。言語聴覚士(げんごちょうかくし)の、ななと申します。

言語教材作りました

 ことばのドリルを作りました。その名も、「コトリドリル」。このドリルでお喋り大好きなお子さんになってもらえたらと、さえずる小鳥をイメージし、名づけました。

 このドリルはずばり、日本で初めて「音韻意識」に注目し、アプローチすることを目的としたドリルです。

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・おしゃべりが不明瞭

・言いまちがいが多い

・ひらがなの学習がすすまない

・読み書きが心配

・スモール・ステップで学びたい

              こんなお子さんに、ぜひ使ってほしいです。

音韻意識ってなに・・・

 「うちの子、やっとことばが伸びてきたと思ったら、不明瞭で言ってることが全然わからないんです」

 こうしたご相談に来る親御さんはとてもたくさんいらっしゃいます。お子さんのお喋りがどのようなものかというと。

「ママ、いーといびる(訳:ママ、りんごたべる)」
「ポピーつるの?(訳:コピーするの?)」
「でんま、けけう(訳:でんわ、かける)」
「たなみみ、どよどよ(訳:かみなり、ごろごろ)」
「ぱぽぱー、ぴぱ!(訳:ぱとかーきた!)」

 おかしくって笑ってしまうのですが、喋っているお子さんたちは真剣そのもの(お母さんは後ろで笑ってます)。

 何を言ってもとにかく音が違う。何度言い直させてもなおらない、それどころかどんどん変わっていっちゃう・・・

 そう、これが音韻意識の正体です。正確には、音韻意識が充分に発達していないお子さんのお喋りですね。大変に興味が深い・・・

 音韻意識とは、ことばを構成する音を意識する力、音を頭のなかでイメージする力です。これが適切に働いているから、わたしたちは「りんご」がいつも「り」と「ん」と「ご」の音から構成されていることが自明であるし、一音でも音が置き換われば違うことばになってしまうと知っています。りんごと言うたびに「いーと」になったり「ンゴ」になったりしては大変。いちいち、「ねえ、それってあの赤い皮のくだもののことで、うちの冷蔵庫に入ってるやつのことだよね?」と確認しなければなりません。

 ちなみに音韻意識と読み書きの関係については、前回のnoteに書きました。読み書きのレディネスとして、音韻の力は必須です。

音韻意識にアプローチする日本で初めてのドリル

 コトリドリルシリーズ記念すべき第1作目、「ことばの発達を支えることばドリルVol.1」は、ド直球に音韻にアプローチすることを考え設計されたドリルです。

1.絵とことばだけー余分なものが無い

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紙面をシンプルに構成し、各ページ6語に統一。注意の逸れやすいお子さんにも取り組んでいただけます。最近では、英語を併記してあるスタイルの知育教材をよく見かけますが、そういったものも無し。枠線や説明書きなどの余分な装飾もできるかぎり紙面から排しています。

2.言いやすいことば・言って楽しいことばを厳選

 ことばの難しさ、親しみやすさ、音の数のバランスを考えて、ことばを配置しています。たとえば、こどもは「ぱんつ」と言うのがなぜか大好き(・・・苦笑)。臨床現場の知見から、概ね4歳前後の語彙力を持つお子さんがよく触れることば(高頻度語)、生活のなかで身近なことば(高親密語)、イメージしやすいことば(高心像語)、そのなかからセラピーで特に人気のあることばを厳選採用しました。また、発達の段階に照らし、比較的獲得の早い音(あ行・ま行など)を選んでいます。

3.かわいい!楽しい!わかりやすい絵柄

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 このイラスト、かわいくないですか?自画自賛です。実はわたしが描きました。このたび描き下ろしたイラストは実に120点。贅沢にも全ページカラー印刷なんですよ!

 イラストについては、4歳ていどの発達段階のお子さんが見てわかりやすくを心がけました。また、特別支援の場での使用も想定しています。お子さんそれぞれの発達の段階に合わせ、生活年齢(実年齢)にこだわらずお使いいただければと思います。比較的高い年齢のお子さんの使用も想定し、過度に幼い絵柄にならないようにも気をつけました。

4.難易度のばらつきがすくない・問題形式を統一

 市販の一般的な学習参考書は、さまざまな問題がバラエティ式に登場するものがほとんどです。それも賑やかで楽しくってよいのですが、「このタイプの問題にやっと慣れてきたばかりなのに、また別の問題に変わるの!?」解説役の親御さんはへとへと。それはたんに「問題形式の攻略を繰り返してる」んですね。問題形式がバラエティに富んでいると、さまざまな問題タイプに触れ、慣れる練習には最適ですが、特定の力にはたらきかける(たとえば音韻意識など)には適さないことがあります。

5.文字を読めない・文字を書けないお子さんでも取り組める

 「ことばドリル」では、「ことば分解シート」が21枚、「ことば抽出シート」が21枚、ことば抽出シートのこたえ合わせをする「こたえ合わせシート」が21枚。同じタイプの問題がなんと6問×21枚も!「ことば分解シート」は、繰り返しお使いいただくことができます。

 ことば分解シートでは、音韻分解能力を鍛えることができます。音韻分解能力とは、あたまに浮かべたことばの輪郭をなぞり、拍ごとに分けて具体・明確にしていく力。かな文字の描かれた円を指差しながら、声に出してことばを言います。お子さんが、手と声のタイミングをうまく一致させられるかどうか、みてあげてください。教材にはかな文字が書かれているので、文字が読めないお子さんでも音とかな文字の一対一対応の規則について自然と学ぶことができます(取り組むのに、文字を理解しておく必要はありません)。

6.こたえ合わせも自分でできる!

 ことば抽出シートでは、音韻抽出能力を鍛えることができます。音韻抽出能力とは、ターゲットの音がことばのどこにあるか探し、取り出すことのできる力。ドリルでは、音を探し出し枠のなかに付録のシールを貼ります。シールを使って問題を解くので、まだ字を書くのが難しいお子さんにも取り組んでいただけます

 そして、こたえ合わせシートを重ね、音の位置をお子さん自身が自分の手で確かめることができるので、こたえ合わせもたんなる手続きではなく楽しみになります。
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 写真のように、シールを正しい場所に貼れたかどうか、「こたえあわせシート」で確認します。自分の目で見て、その場でこたえがわかるのがこのドリルのポイント。認知心理学では、行動から得られた結果のフィードバックが即座に行われることが、その行動の強化に大切であるとされています。また、音韻意識が弱いお子さん=音を耳(聴覚)でとらえるのが苦手なお子さんには、視覚的なフィードバックの併用が効果的です。


以上、6つのポイントです

  1.絵とことばだけー余分なものが無い

  2.言いやすいことば・言って楽しいことばを厳選

  3.かわいい!楽しい!わかりやすい絵柄

  4.難易度のばらつきがすくない・問題形式を統一

  5.文字を読めない・文字を書けないお子さんでも取り組める

  6.こたえ合わせも自分でできる!

 こんな教材があったらいいのにな…と、日々お子さんと接するなかで思い描き続けてきた念願の教材がやっとやっと形になりました!

 ぜひ、みなさま実際にお手にとってお確かめください。

ことばの発達を支えることばドリル Vol.1

 minne販売ページ: https://minne.com/items/20071412

【内容】   

 ●解説文

 ●ことば分解シート     21枚 

 ●ことば抽出シート     21枚

 ●こたえあわせシート   21枚 

 ●付録 丸シール         7シート

※Vol.1には「あ行、ま行、ぱ行、ば行、わ」が含まれています。このチョイスにも意味があるのですが、それはまたいずれ。

 お勉強はつまらないもの・苦しいもの――、はじめからそう考えて
いるお子さんはいません。
どの子も、おどろき、わくわくしながらことばの世界・文字の世界
にふみ出します。
どうか、好奇心いっぱいの子どもたちをお迎えするのにふさわしい、
ことばの冒険のはじまりとなりますように。              (コトリドリル まえがきより抜粋)

いただいたサポートは、ことばの相談室ことりの教材・教具の購入に充てさせていただきます。