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21ブリッジの感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。
レイトショーがない&名探偵コナンの新作の影響で、こういう渋めな作品は変な時間にしかやって無くてハシゴは無理だった。

流石のルッソ兄弟印

ルッソ兄弟プロデュース作品。
監督作の「キャプテンアメリカウィンターソルジャー」や、こないだのプロデュース作品の「タイラー・レイク」にも通じる「敵も味方も信じられない中で主人公が自分の中の正義を貫き通す話」が好きなんだろうなぁと改めて感じた。

主人公は父親をなくした過去から犯罪者を憎んでいて、すぐに射殺する男みたいな印象を他の警官にも観てる観客にも植え付けられるのだけど、事件が起きるとそれが微妙に裏切られていく。
あくまで冷静に犯人の考えを読み事件解決への道筋を立てていく。
犯人を殺した他の捜査官に対して怒りをぶつけたり、犯人であるマイケルに対しては同情的な態度を取っていたりする。
最終的に「俺が憎んでいるのはそうやって当たり前にコカインが出回る事だ」と署長との対立関係が明確になる所で彼の行動の一貫性みたいな部分が繋がる感じがして、そこからお互いが自分の信じる正義の為に派手な銃撃戦を始める所はカタルシスがあった。

それと夜から始まって朝に話が終わる。男2人の本気の追いかけっこ。地下鉄の印象的な使い方と苦味のある決着。など個人的にトム・クルーズ映画で一番好きな「コラテラル」を思い出したりした。 

ルックの渋さ

じっくり空撮でNYの夜の街を撮っているカットが何度も出てくるのだけど、「ここで今から事件が起きますよ!お楽しみに!」みたいな昔ながらの出だしがもうワクワクしてしまう。
というかこの映画はどのシーンも撮影が良くて特に引きのショットが本当素晴らしい。

お話自体は新鮮味はない今までもよくあるタイプの刑事映画という印象なのだけど、NYの街をパキッとした黒がかっこいい画作りで統一していて、濃い顔つきのキャストにもピッタリマッチし、予想出来そうな展開の連続なのに最初から最後までずっと緊張感が続く映画になっていた。

フレッシュなアクションシークエンス

アクションシーンも流石のルッソ兄弟プロデュースという感じで凄まじい緊張感だった。
特に銃声の重さみたいな部分だけで映画館で観る価値がある。
最初のアクションシーンでパトカーが突っ込んでくるタイミングとか、中盤でのドアを挟んでドアスコープを覗いた瞬間に目に銃撃されるトラウマになりそうなシーンなど、思わずビクッとしてしまう印象的なアクションが多くて良かった。

そしてそういう激しめなアクションだけじゃなく最後のアンドレとマイケル睨み合

キャストの凄み

お話的にはシンプルな刑事モノなのだけど、フレッシュなアクションに加えて、もう一つ素晴らしいのがめちゃくちゃ上手い俳優同士の演技合戦の要素。
いかにも記号的になりそうなキャラクターに佇まいや表情でそこに生きてる人間としての厚みをこれでもかと乗せている。

主人公チャドイック・ボーズマンの真っ直ぐ芯の通った存在感。それと後半の凄まじい追跡劇では長い手足が凄く映える様な走り姿で観ていて惚れ惚れする。「ブラックパンサー」での迷いながらも闘う繊細さも良かったけど、今作のブレないハードボイルドな刑事役も素晴らしかった。

犯人チームも最高。
テイラー・キッチュの薄汚れた元軍人感も良かったし、なんといっても「ビールストリートの恋人たち」でも名演を見せていたステファン・ジェームスの幸の薄い絶品な困り顔演技。
本人には悪いけど彼が追い詰められる程に胸が苦しくなり映画が面白くなっていく。

汚職警官達も今回の悪役といえば悪役なのだけど、振り返るとそれぞれに人間臭い人ばかりで彼らの方にも思いを馳せてしまう。大好きな「コップランド」とか思い出した。
リーダーのJ・K・シモンズのサイコみ込みのブレないリーダー感とかも最高。

そんな感じで最近のどんでん返し要素が多い映画群の中で映画としてワンシーンワンシーンの面白さを追求してる様な作品だった。
ブライアン・カーク監督、ゲースロとかもやってただけあって流石の職人感だったと思う。面白かった。

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