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「ブギーマン」の感想(ネタバレあり)

スティーヴン・キングの原作は未読だったけど前評判の高さでとても楽しみにしていた作品。

「ドアの隙間」「ベットの下」等、僕らの普段の生活でも感じるちょっとした隙間の闇の中に何かが居そうな感覚に寄り添ってくる怖い演出の数々にビクビクしながら鑑賞した。
襲われる事よりその闇の中に何かが居ることが怖くて、普通の生活スペースの闇の中に目が二つ浮き上がる演出を思い出す度嫌な気持ちになる。
電気消して寝られなくなっちゃうだろ、、、。

もちろんこういう日常にある怖さみたいなものを描くのはホラー映画としてはベタなのだけど、演者の怯えた表情や、闇が際立つライティングや、じわーっと近づいて行く様なカメラワークや、不穏になり続け音楽等、一つ一つの要素が丁寧でそこまでフレッシュさは無いかも知れないけど、手堅くしっかり怖いホラー映画になっていたと思う。

怖さ表現倍増の光を印象的に使うアイテムの数々も良かった。
特に次女が持ってる光の玉。もう出てきた時点で起こり得る怖いシチェーションを想像するだけで逆に笑えてきてしまう。
ベッドの下を転がす所の緊張感がマジで嫌過ぎた。

母親の喪失によって心が弱った家族に取り憑き、その命を吸い取る存在に悩まされるホラーなのだけど、このお話しがいかにもスティーヴン・キングっぽい。
家族の喪失と真剣に向き合い乗り越える事そのものが、怪物を倒す事と重なっていく。
この辺はホラーの構成として「イット」とかによく似てる。

ブギーマン自体の正体もはっきり分かる訳じゃないのも、「本当に終わったのか?」とかと、不気味で嫌な余韻が残る。
映画が観終わった観客に「その隙間にご注意」みたいな怖いお土産を渡してくる感じが最悪で最高な切れ味だと思う。

後半からはモンスターパニック映画的になって、物理攻撃攻めで殺そうとするバトル展開も熱い。
家族パワーでこれでもかとボコボコにされていくブギーマンの哀れなデザインも良い。
個人的には前半ホラーでこれでもかと繊細に怖がらせて、終盤ににそれがぶっ飛ぶ熱いバトル展開になる流れのホラー映画が大好きなので今作はとてもツボだった。

主演のソフィー・サッチャーがめちゃくちゃ華があって良かった。アニャ・テイラー=ジョイとかと通じる眼力の強さ。ホラー映画はやはり主人公の怯えたり、覚悟を決めたりする眼が大事な要素だと思うので、ホラーヒロインとして資質が本当に申し分無い。

その他のキャストも良くて、おそらくこの映画で一番有名俳優のデビッド・ダストマルチャンは相変わらず不穏過ぎてインパクトがあるし、不幸過ぎて不幸を伝染させてしまう今回の映画で重要な役割を説得力を持って演じ切れていたと思う。
あとその夫とは正反対に好戦的にブギーマンを殺す事に囚われている妻も凄く良いキャラで、めちゃくちゃカッコよかった。

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