「ウイング・アンド・プレイヤー」の感想(ネタバレあり)
Amazonプライム・ビデオオリジナル配信映画。
最近だと「僕のワンダフル・ライフ」シリーズでの好演が印象的だったりで好きなデニス・クエイドが主演という事で鑑賞。
冒頭のセスナの操縦のシークエンスで主人公が飛行機に興味はあるが操縦は駄目で、後のより大きな飛行機での着陸がいかに困難なのかを分かりやすく予感させる。
この展開の分かりやすさが、この映画のポイントかなぁと思う。
サスペンス要素とかもそうなのだけど、何の為にこのシーンがあるのか?というのがとても分かりやすくてスッキリ映画を観終わった。
展開の積み重ね方も堅実で、映画でよく見る飛行機の操縦がいかに大変であるか?それに加えて「天候の変化」「横風」が影響するとどれ程怖いのか?等がセリフで分かりやすく示されて、ラストの着地の困難さをどんどん盛り上げていく。
ただそういう丁寧さ故にこの後こういう展開かなぁ?というのが予想し易くて単調とも言える気がする。
主演のデニス・クエイドがやっぱり観ていて映画として安心な華があった。
お話的にただ単に「奇跡体験アンビリバボー」の再現VTRみたいな印象になってもおかしくないんだけど、このデニス・クエイドと奥さん役のヘザー・グラハムの演技力の高さでしっかり映画的な緊迫感が表現出来ていたと思う。
ラストの祈るしかないシーンで奥さんが家族と手を繋ぎながら「娘たちの成長した姿を見たい」という所が印象的だからこそ最後の実際の家族写真がエンドクレジットで登場する所でジンワリ感動するような演出になっていてここも良かった。
管制室のダンと、操縦士兼教官もやっていたカリという兄弟のエピソードも結構良かった。
主人公もそうだし彼らもそうだし家族を失った痛みを抱えた人達が、救われていく様なラストが好きだった。
と言いつつ気になる所も結構あって、この映画だと亡くなってしまったおじいちゃん操縦士が飛び立って上昇してすぐ亡くなるのだけど元々持病があったのか?何故急死したのか?理由がよく分からないので、彼が悪いんじゃないかというバランスに見えかねない感じもして、もう少しその辺が気にならない描き方は出来なかったのかなぁという気もする。
あと航空マニアのドナちゃんという子が、この一連のやりとりを航空無線でずっと聞いていて、近くの同級生の友達を呼んだり家の近くの空港に様子を見に行こうとしたりするのだけど、この子達が全く本筋に絡まないのはビックリした。
この子達側の家族も出てくるのでその辺のエピソードが最後の方に絡んでくるのかと思いきや、最後の最後までデニス・クエイドや管制室の面々が彼女達に全く気づかないで映画が終わっていくのは謎だった。
映画を観ているこちらの目線に合わせたキャラクターだとは思うけど、流石に本編に絡まなさ過ぎて本当に物事を見ているだけという感じで、いなくても全く問題ないのが問題だと思う。
デニス・クエイドの吹き替えがちゃんと大塚明夫なのも良かったし、
「枕をフカフカにしといてやったぜ」「毎晩トロフィーをだきしているからね」若干エロいアメリカンなジョークのしゃべり方とかが上手いし、昔のアメリカ映画の吹き替え感。
ヘザー・グラハム役の日野由利加もそうだし、ダン役が花輪英司だったり全体的に吹き替え豪華で良かったし、映画の内容自体はハリウッド映画としてちゃっちい所もあるのだけど、昔懐かしい映画をTVで観ている安心感があって配信作品としてのちょうど良さを感じた。
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