記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「恋は光」の感想(ネタバレあり)

小林啓一監督最新作

大好きな「殺さない彼と死なない彼女」の小林啓一監督の新作という事でめちゃくちゃ楽しみにしてたけど今作もとても素敵な作品だった。

「殺さない彼と死なない彼女」も恋愛映画というよりは登場する彼や彼女の恋を通して、人を好きになる事の意味みたいなものを問いかける様な要素が印象的だったけど、そういう意味でいうと今作はそこをより突き詰めている作品だと思う。

それでいて記号的になりそうな、いかにも漫画キャラ的な喋り方の登場人物の魅力の出し方は相変わらず抜群に上手くて、ファンタジー的だけどそこにしっかり生きている人として登場人物を描ききる手腕は流石。

そしてフード演出も素晴らしくて、食べ物やお酒でその時のキャラクター性や、その時の心情を示す様な描写もとても上手い。東雲さんの可愛いお弁当や、北代の爆食いなど、印象的なシーンが沢山。

個人的には撮影地の岡山によく行ってたので、そのロケーションも全部素晴らしくて、美観地区や後楽園の使い方、そして東雲さんの家など、ちょっとファンタジー的な世界観の今作にバッチリ合っていた。

登場人物

西条

演じてる神尾楓珠は繊細で影がある様な役がこれまで印象的だったので、今作のケンシロウみたいな喋り方の西条は結構ビックリした。
ただそういういかにも漫画的なキャラクター性の中にも、両親の愛情を充分に受けられなかったことによる喪失感みたいなものが垣間見える演技力は流石で面白くも愛おしいキャラクターになっていた。

東雲さん

北代の言う通り西条とは似たもの同士で、両親が早くに居なくなった事で早くから大人にならざるを得なかった人。
そしてこれまた西条と同じ様に漫画的なセリフ回しの役なのだけど、演じた平祐奈が全く嫌味なく演じてて凄い。

西条が彼女への想いをノートにぎっしり書いて返事をするシーンが、彼女の気持ちには答えられないけど西条がこれ以上なく誠実に答えようとしているのがとても良くて、子供用の交換ノートではなく大人用のノートに変わっているのも彼女と西条の関係性が苦いけど成長したのを表してる様で感動的。そして彼女がずっと知りたがっていた恋の痛みを知る事になるラストシーンの美しさも素晴らしかった。

宿木嬢

いわゆる悪女的な存在になってしまいそうなのに、まったく心が折れない潔さが観ていて気持ちいい。
基本的に三角関係に絡んでくる訳じゃないけど、彼女がいる事で西条の恋物語に緊張感が生まれていてかなり重要な役割。
恋愛を論理だてて考える西条や東雲さん、それを受け入れて聞いてあげる北代に対し「いや、考えすぎだろ」とストレートにツッコミを入れて、三人の関係性を実は誰より冷静に見れていたりするので、映画を観ているこちらに一番近い目線の人にも思える。

西条が勝手につけた若干失礼なあだ名に対し「嬢?」と聞き返す表情など、他の3人と絡む度にいちいち怪訝そうな顔になるのが可笑しい。

北代

あとなんと言っても北代を演じた西野七瀬が過去最高に可愛いらしくて、これまでの作品のなかでもベストアクトだったと思う。
基本的にいつも笑顔なのだけど、時々本心が見える真顔に変わる時の緊張感の出し方とかが素晴らしくて、思わず見入ってしまう魅力に溢れていた。

釣りシーンや、素晴らしいビールの飲みっぷり等のシュチュエーションが西野七瀬のアイドル映画として抜群に楽しくて、観た誰もが好きになってしまうんじゃないだろか。


その他、最近は幸薄い少女役ばかりでお馴染みの伊東蒼ちゃんがはちきれんばかりの笑顔で幸せそうに話すシーンとか他の役者さんもみんな良かった。

ラストに流れる曲も良くて、歌ってるのがズーイ・デシャネルというが、こちらも恋愛そのものを題材にした傑作500日のサマーを連想する感じでさりげないけど良いチョイスだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?