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「グレイマン」の感想(ネタバレあり)

Netflix配信前に映画館で鑑賞。
配信メインの作品ではあるので文句を言ってもしょうがないけど、これだけお金のかかった派手な作品だし、大きいスクリーンで観るのが楽しい映画だと思うので、もうちょっとシネコンとかでの公開舘数が多くても良かった気がする。

ルッソ兄弟の新シリーズ

ルッソ兄弟の監督で馬鹿みたいにお金を掛けたアクション映画最新作で、しかもクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーが脚本という事で「キャプテンアメリカ2、3」や「アベンジャーズ3、4」のMCU傑作シリーズの布陣でどうしたって期待してしまう状態で観たのだけど、やっぱりとても楽しい作品だった。

お話的にはスパイ映画のジャンルには入るのだけど、「007」や「ミッション・インポッシブル」と違うのは強大な悪の組織と戦う様な話ではなく、自分が所属しているアメリカ政府に命を狙われる、組織内での内輪揉めサスペンスアクション映画になっている。

つまりこの脚本監督チームの出世作である「キャプテンアメリカウィンターソルジャー」のスパイ映画版みたいな作品になっていたと思う。

ただマーベルシリーズの様にキャラクターの魅力重視の作品ではないっぽいので、どの登場人物も結構記号的な描き方をしている印象。
まあおそらく今後シリーズ化していく前提で撮っているので登場人物の深掘りはこれからだとは思うけど。

ただその中でもシックスと人質の少女との関係性の描き方とかはかなり良くて、不器用な殺し屋が孤独な少女と絆を深めた小さなエピソードが繊細でだからこそシックスが彼女の為に頑張るのにも説得力があるし、ラストの「フツーの木曜さ」というセリフが繰り返される所がとても熱くて好きだった。

アクションシークエンス

アクション的な見せ場は流石の面白さで、格闘シーンも銃器描写もいちいち見応えがあった。

冒頭の007ばりに豪華なセットで見た目も派手な打ち上げ花火が上がる中でのアクションシーンから「お金かかってるでしょう!」とNetflix側のドヤ顔が思い浮かんでくる感じ。
でもここでのボンドガールの時のドレスとは対象的なカッコいいスーツ姿のアナ・デ・アルマスとか、ライアン・ゴスリングのラフな赤スーツの着こなしとか007とは差別化も出来てる感じがして、新しいスパイ映画シリーズ作ったりまっせ!というルッソ兄弟の宣言にも見えるシークエンスだった。


あと何と言ってもプラハのくだりの凄腕殺し屋集団達が文字通り人目をはばからずたった1人を殺す為に大暴れするシーンは高血圧過ぎて笑いながら観てしまう。
シックスの縛られた状態からの切り抜け方、路面電車を挟んでのカーチェイス、そこで登場する見た事ない様なデカい銃、ビルに映った鏡越しに余裕の顔で敵を殺すライアン・ゴスリング等等。
市井の人々を巻き込んだ街中での銃撃戦でいうと、「キャプテンアメリカウィンターソルジャー」の中盤のシーンを思い出すのだけど、さらに派手にバカっぽくパワーアップした感じで観ているだけで楽しかった。
最期にシラフになって壊滅した街を見回すライアン・ゴズリングとアナ・デ・アルマスの表情がとても味わい深い。

そしてここでこれだけの殺し屋集団をたった2人で壊滅させた強過ぎるコンビに対して、1人でその直後に真っ正面からナイフ一つで挑んで勝利していくダヌーシュの更に異次元な強さとかもめちゃくちゃ面白い。

ラストのお城での救出作戦は絵面の豪華さで引き込まれたけど、最後にしてはちょっと弱い気もした。
というのもラスボスであるクリス・エヴァンスがサイコ演技を好演はしているのだけど、主人公に対する執着も対してないし、かつてのライバルな訳でもないし、シックスとの因縁が弱過ぎてラスボスとしての存在感が薄く、タイマンとかされてもあまり燃えない。
主人公のあり得たかも知れない未来を体現してたり、例えばかつての親友だったとか具体的な関係性もないのでラスボスの格が足りてない気がした。

まあクリス・エヴァンスもはっきり死んだかなんだか分からない最期だったので今後のシリーズ出るのかも。

あと全体的にはお金のかけ方は凄まじいし、退屈する様なシーンは一ヶ所もないので観てる間はずっと楽しいのだけど、そこまで深みがあるストーリーではないし、アクション映画としてもめちゃくちゃフレッシュという訳でもないので今年を代表する傑作とかではない印象。
ただ繰り返しになるけどシリーズ化を前提で作られている作品だと思うので今後2、3と作られる度に尻上がりに評価が上がっていく気もするし、何と言っても「アベンジャーズエンドゲーム」で「MCUシリーズ」をこれ以上ない仕事でまとめ上げた監督なので今後に「007」や「ミッションインポッシブル」に並ぶ映画史に残るアクションシリーズになっていく予感を感じさせる一作目としては申し分ない出来だったと思う。

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