南洲 龍樹(なんしゅう たつき)

ラサール学園高校、東京大学卒業。歴史小説等執筆活動を展開したくnoteを開始しました。…

南洲 龍樹(なんしゅう たつき)

ラサール学園高校、東京大学卒業。歴史小説等執筆活動を展開したくnoteを開始しました。空いた隙間時間で予備校で働いて糊口をしのいでおります。是非、ご覧くださいませ☆彡

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(期間限定無料)【小説沙門SEISHO】沙門SEISHO、不忍池で着流しの烏に会う

その日、京浜東北線の御徒町駅を降りると、ほどほどの雑踏の中をかき分けながら、不忍池に向かった。 特に何かをしようと思ったわけではない。当時、文京区の弥生町のあたりに住んでおり、丸の内近辺に勤めに出ていたので、すこし遠回りをして御徒町の駅に降り、不忍池のあたりをぶらついて帰っていくのが定例のコースだったのだ。 時間があるときはさらにいっそう遠回りをして、西郷隆盛の像を見てから帰ることもあった。翁の生前の妻である糸からは「夫はこげに着流しで人前にたつような無礼な人ではなか

    • (期間限定無料)【短編小説 部屋とファンファーレと未来予言】

      【小説 部屋とファンファーレと未来予言】 俺は敬礼をする衛兵たちに軽く目で会釈をすると、その個室の中に入っていた。 中には、図体の大きな男が一人、その場の暗さにはそぐわない明るい色のチノパンにポロ・ラルフローレンのシャツを着て、座っていた。さわやかな服装の色合いに対して、男の顔は角刈りで古い顔をしていた。180cmを越える日本人にしては大男だが、そのからだは女のような丸みを帯びており、何の苦労もなく、そして何の試練にも向き合わず、ただ親のいわれるままに、周りの上席のいわれ

      • (期間限定無料)【誰がために芸術はある 芸術批評_01】貧者の一橙(ひんじゃのいっとう)と天啓回帰 芥川の「蜜柑」を読んで

        人権思想が浸透した一応法治国家の日本において、その守られるべき基本的人権が日常的に蹂躙されているものの一つは、朝夕とサラリーマンを苛む通勤列車であろう。生活のため、家族のためと自身に言い聞かせ、自らの身体と、その内奥にある夢や志、あるいは幾ばくかの慈愛を、満員の電車の中に圧搾していく作業は、まさに現代の抱える病巣そのものである。時代をこえて、かつて、天才芥川もこの虚無の巣の中にいた。  短編「蜜柑」は、芥川が海軍機関学校の教師として勤めていた頃に書かれた作品である。 「頭の

        • (期間限定全編公開)【小説:沙門清正(しゃもんせいしょう)_01】沙門清正、秦氏渡りて鬼となったことを知る①

          【沙門清正_01】沙門清正、秦氏渡りて鬼となったことを知る① *当物語はフィクションであり、登場人物、団体は、一切架空のものです。 【The road so far】 ●登場人物  ・沙門 清正(しゃもん せいしょ) :30代 東京大学出身で現在、予備校勤務。自身の霊的経験から、仏道に入ることを検討している。  自身の菩提寺の上人から、「そのことを知るならば、自身のルーツを知らなければならない」と、お寺にその土地を寄進した家の子孫である村の古老の紹介を受ける。  ・村の古老

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