南洲 龍樹(なんしゅう たつき)

ラサール学園高校、東京大学卒業、という設定。歴史小説等執筆活動中。 小説中の記載に関し…

南洲 龍樹(なんしゅう たつき)

ラサール学園高校、東京大学卒業、という設定。歴史小説等執筆活動中。 小説中の記載に関しましては当時の世相を反映しておることを鑑み、そのままの掲載としております。他意はございません。 最新作は原則、期間限定無料でやっております。是非、既作のものは是非、ご購入くださいませ☆彡

最近の記事

(期間限定無料)【小説沙門清正 宗像周遊編⑤】悪魔崇拝者二人について

「板垣退助は自由民権運動の旗手でしょう。そして谷干城は学習院の創設者でもあられる。お二人とも近代日本の理性的な側面の象徴であるかのような方々だ」宗像の後輩である筑後が、歴史上の登場人物をまるで実際に知っているかのように弁護して言った。「清正さんでしたか?君のいう様に明治維新の闇とはとても思えない」 「歴史はつねに勝者によって記されます。一方が敗れ去ると、勝った側は歴史書を書き著す。自らの大義を主張し、征服した相手を貶める内容をね」清正はナポレオンの言葉を思い出しながら言った

    • 【小説沙門清正 宗像周遊編④】沙門清正、宗像にて先祖を語る

      「谷秦山がどうだっていうんですか」宗像の後輩である筑後が言った。両の眼が漆黒に塗り固められて清正に据え付けられていた。 「谷秦山を知っていますか。めずらしいですね。高校生のころ日本史選択肢でしたか」清正は特段どうということもないというように言った。筑後は視線を保ったまま、だまっていた。 「誰かね、その谷秦山というのは。それほど有名な人物かな」宗像の父である惟門がにこにことしながら口をはさんできた。

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      • 【小説沙門清正_宗像周遊編③】沙門清正かくかたりき あるいは悪魔崇拝の話について

        「ゲイが多重人格障害と悪魔崇拝であるとはおだやかではない言い方ですね」宗像の後輩である筑後が言った。「少し突飛なような話に聞こえます」 「悪魔崇拝をしている人間がいる、というのは、日本以外の国ではわりと当たり前の話ではあります」清正が筑後の方に目をやりながら答えた。「日本人にはなじみがないのは分かりますがね。日本では狐につかれる、という言い方が好まれますがね。西洋的な言い方をすれば、笹井のバカは代々悪魔崇拝をする家柄の人間ということです」 「その悪魔崇拝が笹井という君らの同

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        • 【小説沙門清正_宗像周遊編②】沙門清正、道の駅むなかたにて、アイスコーヒーで禊ぐ

          「道の駅むなかた」は清正の職場の知人である宗像の実家の家の近くにある。清正は先ほど道の駅で購入したアイスコーヒーを飲みながら、近くを流れる釣川河口から玄界灘を眺めた。美しい海とその上にある広大な空の青を見ていると心が洗われるようである。 「無駄なものが何一つない」清正は思った。こうしていると醜い人間社会の垢が落ちるようでもある。清正は靴と靴下を脱ぎ、目の前の海に浸してみた。寄せては返す波の振動が足を通じて、自分の体に刻み込まれていくかのようだ。今は自分も海の一部なのだ。古の賢

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        (期間限定無料)【小説沙門清正 宗像周遊編⑤】悪魔崇拝者二人について

          【小説沙門清正_宗像周遊編①】宗像にて歴史の残像をみつめる。

           清正が遠路はるばる福岡まで来たのは、清正が所属している予備校の社員である宗像に誘われたからであった。 「宗像という名前は、あの宗像大社と関係があるんですか」と清正は初めて宗像と名刺交換をした際に尋ねたものだった。宗像の大宮司氏は実際には戦国時代には途絶えており、そのことをわかっての問である。実際のところ確かめたかったのは、血筋ではなく、人柄である。 「いや、その辺りよく分かっていないんですよ。ですが実家は宗像ですし、古い家とは聞いています。なんでも戦国の折には、朝鮮出兵を

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          【小説沙門清正_宗像周遊編①】宗像にて歴史の残像をみつめる。

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          【小説 沙門清正】沙門SEISHO 祇園とZIONをかく語る

          川豆田 恵 事務の女性 笹伊 博文 漢文講師 浜田 英語講師 「そうするとやはりまた、あの川豆田の虚言癖ですか」清正は目の前の沖浦和光の書いた本を読むのを止めながら、隣の席の背の高い男に聞いた。 「そうです。川豆田の虚言です。僕はあんなしわだらけの女に言い寄るような性癖はありません。」男はしっかりと清正の方に柔和な顔を向けて答えた。姿勢がよいのは学生時代に柔道をやっていたからであろう。仕立ての良いサイズのきっちりと合ったシャツで細身に見えるが、薄くはあるものの最低限の筋肉が

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          【小説 沙門清正】沙門SEISHO 祇園とZIONをかく語る

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          【小説沙門SEISHO】沙門SEISHO、不忍池で着流しの烏に会う

          その日、京浜東北線の御徒町駅を降りると、ほどほどの雑踏の中をかき分けながら、不忍池に向かった。   特に何かをしようと思ったわけではない。当時、文京区の弥生町のあたりに住んでおり、丸の内近辺に勤めに出ていたので、すこし遠回りをして御徒町の駅に降り、不忍池のあたりをぶらついて帰っていくのが定例のコースだったのだ。   時間があるときはさらにいっそう遠回りをして、西郷隆盛の像を見てから帰ることもあった。翁の生前の妻である糸からは「夫はこげに着流しで人前にたつような無礼な人ではなか

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          【小説沙門SEISHO】沙門SEISHO、不忍池で着流しの烏に会う

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          【短編小説 部屋とファンファーレと未来予言】

          【小説 部屋とファンファーレと未来予言】 俺は敬礼をする衛兵たちに軽く目で会釈をすると、その個室の中に入っていた。 中には、図体の大きな男が一人、その場の暗さにはそぐわない明るい色のチノパンにポロ・ラルフローレンのシャツを着て、座っていた。さわやかな服装の色合いに対して、男の顔は角刈りで古い顔をしていた。180cmを越える日本人にしては大男だが、そのからだは女のような丸みを帯びており、何の苦労もなく、そして何の試練にも向き合わず、ただ親のいわれるままに、周りの上席のいわれ

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          【短編小説 部屋とファンファーレと未来予言】

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          (期間限定無料)【誰がために芸術はある 芸術批評_01】貧者の一橙(ひんじゃのいっとう)と天啓回帰 芥川の「蜜柑」を読んで

          人権思想が浸透した一応法治国家の日本において、その守られるべき基本的人権が日常的に蹂躙されているものの一つは、朝夕とサラリーマンを苛む通勤列車であろう。生活のため、家族のためと自身に言い聞かせ、自らの身体と、その内奥にある夢や志、あるいは幾ばくかの慈愛を、満員の電車の中に圧搾していく作業は、まさに現代の抱える病巣そのものである。時代をこえて、かつて、天才芥川もこの虚無の巣の中にいた。  短編「蜜柑」は、芥川が海軍機関学校の教師として勤めていた頃に書かれた作品である。 「頭の

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          (期間限定無料)【誰がために芸術はある 芸術批評_01】貧者の一橙(ひんじゃのいっとう)と天啓回帰 芥川の「蜜柑」を読んで

          【小説:沙門清正(しゃもんせいしょう)_01】沙門清正、秦氏渡りて鬼となったことを知る①

          【沙門清正_01】沙門清正、秦氏渡りて鬼となったことを知る① *当物語はフィクションであり、登場人物、団体は、一切架空のものです。 【The road so far】 ●登場人物  ・沙門 清正(しゃもん せいしょ) :30代 東京大学出身で現在、予備校勤務。自身の霊的経験から、仏道に入ることを検討している。  自身の菩提寺の上人から、「そのことを知るならば、自身のルーツを知らなければならない」と、お寺にその土地を寄進した家の子孫である村の古老の紹介を受ける。  ・村の古老

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          【小説:沙門清正(しゃもんせいしょう)_01】沙門清正、秦氏渡りて鬼となったことを知る①

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          はじめまして

          こんにちは。南洲 龍樹(なんちゅう たつき)です。 歴史小説を展開していきたいと思います。 よろしくお願いします。