好きなことに挑戦した覚悟のお試し期間。 葬儀社員が偏愛ライターになるまで
いまの仕事が自分に向いてない、好きではない。そうもやもやしている方も多いのではないでしょうか。
現在フリーライターとして活躍されている北村さんもかつてはその一人でした。
好きなことに挑戦したいという思いで、葬儀業界からライターに転身された北村さん。そんな北村さんに今回はお話を伺いました。
親友の一言をきっかけにお試し期間でライターに挑戦
ーこれまでのキャリアについて教えてください。
北村さん:新卒で葬儀会社で就職したあとに、書店員のアルバイト、パソコン教室で講師をしていました。その後、未経験でフリーランスになりWebライターになって現在3年目となります。
もともと書くのは好きで、学生時代も自分で小説や歌詞を書いてネットで公開してたんです。小説家を目指したこともありましたが、当時の自分の文章のクオリティに自信がなく、その道には進みませんでした。少しでも関われるかなと思い出版業界を受けていましたがご縁がなく、最終的に地元の葬儀会社に就職しました。
ただこの仕事はなかなかハード。初めから辞めたいと思いながらも我慢して自分を騙しながら結局5年ほど働きました。
ー辞めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
北村さん:きっかけは、親友の一言です。彼女は大学時代からの友人で会社の同期でした。
ある日居酒屋で飲んでいたときに、その子が「会社を辞める」と宣言したのです。
そのときに「今っていう時間は今しかないじゃない」と言われました。
そこではっとしました。自分の人生で20代って一度しかないじゃないか、と。
ー友人の一言に背中を押されたのですね。
北村さん:そうですね。その言葉に感化されて辞めようと思い切ることができました。
会社員時代は忙しかったけど、辞めたことで自分と向き合う時間ができましたね。
そのときにフリーライターという生き方があることを知り、興味が湧いたのです。
30歳になる前にやりたいなと思ったことに挑戦しようとふと思ったんですよね。
そこでお試し期間を設けることに。30歳になるまでに、ある程度収入の目途が立たなかったら潔くやめようと思い、見切り発車で出発しました。
書くことが好き。それがわたしの原動力
ー未経験からライターのお仕事をどのようにして始められたのでしょうか?
北村さん:クラウドソーシングのライターの案件に応募するところから始まりました。すでにインターネットに掲載されている情報をまとめてまた記事にし直す、いわゆる「こたつ記事」を書いてましたね。
でも次第に他の分野にも挑戦して、よりライターとしてスキルを上げたいなと思うようになりました。取材記事だといろんな人との出会いもあると考え、こたつ記事ではなく取材記事をメインで取り組もうと決めました。
ー取材の仕事でプチ炎上を経験したそうですね。
北村さん:取材対象者の方が話した意図と私の受け取り方が違ったりして、揉めてしまったんです。良かれと思って要約した内容がちょっと言葉足らずになってしまったのだと思います。その経験から、自分の生み出す記事の影響力・責任と向き合い、気をつけようと思うようになりました。
当時は「自分の顔も名前も出してこの記事を書いてるのに、今後どう生きていけばいいのかな」と不安にもなりました。でもトライアンドエラーを繰り返していかないとわからないこともありますよね。
こういったプチ炎上の経験も含め書く仕事は面白いなって思いました。やっぱり、書くこと、取材することが好きだったんですよね。この好きという気持ちがモチベーションになっています。しんどいときはしんどいですけど、次はもっと頑張ろうって前向きに思えるようになりました。
ーキャリアチェンジのあとに拠点を東京に移されていますが、何かきっかけがあったのでしょうか。
北村さん:あるインフルエンサーの作品のファンでした。最初の頃は東京で開催されたその方のイベントに北海道から駆けつけてましたね。その方が主催するオンラインサロンにも入ってたんです。フリーランスとしてバリバリ活動してるサロンメンバーによく話を聞いていました。
今でこそオンライン講座などで日本のどこにいても同じ情報を受け取れますけど、当時は田舎と都会で情報格差がありました。すごく狭い北海道の田舎で全部が完結していたので、オンラインサロンで色んな人たちに出会ったことで、一気に世界が開けました。普段の生活では会えないような人たちに会うことも大切ですよね。
そのときの衝撃もあって東京に拠点を移しました。
夢は最初の頃から変わらず、自分で紙の本を出すこと。
ー偏愛ライターと名乗られてますが、どのような背景があったのでしょうか。
北村さん:偏愛というか、何かにオタクの人たちがうらやましいなと思ってました。
1つのことが好きで、それだけに愛を向けている人たちの話を聞いてるのが好きなんです。それぐらい熱を向けられるものが私も欲しいなと羨ましいのですが、熱量の差はあれど誰にでも「これが好き」と感じるものがあるのではないかなと思います。
そういう人たちを掘り下げて取材したくて「偏愛ライター」と名乗りました。
ー今後の目標はなんでしょうか。
北村さん:人生で1回は本を出したいです。それこそが最初の頃の夢、私の原点です。紙の本がいいですね。自分のエッセイだったり、取材したインタビュー集だったり。そのためにもう少し頑張って、この業界に私の名前が届くぐらいのレベルになりたいなと思います。
ー今後フリーランスライターを目指している方に何かメッセージをお願いします。
北村さん:フリーランスって結構流行りのイメージがあるかもしれませんが、正直、精神負荷が強いので手放しにおすすめできません。(笑)
「来月仕事を取れるのかな、食べていけるのかな」という状況を楽しめる人、波乗りで楽しめる人ではないと辛いと思います。とはいえわたしも前職で苦しかった時代の気持ちをモチベーションにしてます。
今の仕事が本当に好きなのか、本当にやりたいことをやれているのか、少しでも疑問に思っているなら、「1年間はお試し」のスタンスで挑戦してみると良いかもしれませんね。
(インタビューはここまで)
いまのキャリアにもやもやしてるなら一度お試し期間で挑戦してみるとよい。北村さんのエール、とても心に響きますね。
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