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【詩】新しい光

いつも君は僕の光だった
まぶしくて 
ボロ切れまとった
僕にはそぐわない気がして
自分をとりつくろった

他の誰にも負けたくなかった
君にふさわしい自分で
ありたかった

君にありのままの自分を
見せたら きっと失望するだろう
そんな思い込みと先入観の
美しさを身にまとって
君に媚びて取り入ろうとして
自分を壊した

そんな僕を怪訝な顔で見つめながらも
君は病んだ心に寄り添ってくれた
だから君が病んだ時は、
僕が君の薬になりたかった

愛を与えられるだけじゃなく
与えたかった
でも妥協を許さない僕の心が
それを認めなかった

不完全な自分では
君の助けになどなれないと
こんな自分には
存在価値などないと

僕は愛の為に
叩き出す答えを
間違えた

君は君で 僕は僕
比べなくても
大丈夫だったのに

現在はひとり
湯船に浸かりながら
高く積み上げたプライドと
エゴと独占欲と葛藤を
洗い流し 排水溝に捨てる

他人を引きずりおろさなくても
高みに登らなくても
君の薬になる夢破れても
僕は僕のままで
生きていけるように

温かい家庭で育ち
才能あふれる君が奏でる
新しい音楽を
遠くから見守れるように

湯船に浮かんだ水垢が囁く
「これからは君自身が光になるんだよ」


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