「他責思考」と言うけれど実際他人の責任だし、という話
僕のような平社員が快適な環境で働けるかどうか。
それを大きく左右するのが、上司のマネジメント能力である。
「采配を振るわれる側」である平社員は、自分の力だけで職場の環境を変えるということが、なかなか難しい。
(「平社員が文句言うな」「昇進すればいいじゃん」と思われた方は以下の記事をご覧ください)
マネジメントをしっかりする上司のもとで働くとストレスは少ないし、それが下手だと毎日ストレスばかり感じる。
サラリーマンを続けていると、マネジメントが下手というか、
マネジメントという発想すらない
というような人が上司になってしまうことがある。
僕が出会ったそのような人は、共通して
基本的に部下のことは全て放置で仕事の丸投げは当たり前だったり
丸投げをしたくせに部下が必死に作った資料に文句ばかり言ったり
あらかじめ伝えていることを「聞いていない」と言い張ったり
スケジュールや進捗状況の把握を一切していないもんだから、思い付きで締め切り直前に振出しに戻るような指示を出してきたり
自分が決裁したくせに、重役に修正を指示されたら「自分もそう思っていました」と言ったり……
このような悲しい振る舞いをするのだった。
管理職のくせに一切の管理をしないもんだから、部下の勤務時間がどんどん膨れ上がったり、特定の社員に業務が偏ったり、新人やアルバイトスタッフがその環境に絶望して短期間で辞めたりと、極めて厳しい状況が恒常的に続いてしまう。
そして、そんな状況を招いた張本人は、
と、完全に他人顔なのである。
おそらく、こんな感じで管理職の椅子にふんぞり返っているモンスター上司が、全国にたくさん生息しているのだ。
モンスター上司に当たってしまった職場では、部下が自分たちでマネジメントもしながら、仕事を進めざるを得ないのだが、当然社員一人ひとりの考え方は違うので、トラブルも起きやすくなる。
リーダー不在の職場というのは、得てして不和が生じてしまう可能性が高いのだ。
そして、そのような職場で感じたストレスをTwitter(X)なんかで愚痴ると、こんなことを言われることがある。
最近やたらと聞くようになった「他責思考」という言葉を使っての批判であるが、これは大間違いなのだ。
他責思考とは、
「本来は自分の責任なのに、他人に責任があると考えること」
であろう。
もし僕が、
と言っていたら、それはもう完全に他責思考だ。
でも、これはそうではない。
と言っているだけだ。
他責思考もクソも、実際に他人の責任なのである。
「他責事項」と言ったほうが正しいかもしれない。
という批判もよく頂戴するのだが、なぜ僕が転職しなくてはならないのか。
学校で「いじめを受けた側」が転校しなければならなくなるのがおかしいのと同じで、「上司の怠慢で被害を受けた側」の僕が転職をするのはおかしいだろう。
「転職すればいい」と言っている人が、転職をどのように捉えているのかは知らないが、少なくとも僕にとっては、不本意ながらも人生を左右するくらいリスクのある行為なのだ。
そう簡単に、「上司がクソだからやめま〜す」と言うわけにはいかないのである。
また、
と言われることもあるが、これについてはもうお門違いすぎて目眩がするレベルだ。
もし僕が、『管理職として成功する方法教えます』と言って、講演会なんかを開催してお金を取っているのなら、その批判も一理あるかもしれない。
でも、これは全く違う。
と言っているだけだ。
例えば野球チームで、監督やコーチが
と言うだけで、選手にろくな指示も出さなかったら、チームはめちゃくちゃになるだろう。
当然選手からは不満が出るだろうが、そういった不満に対して、外部から
という声が飛んできたらどう思うか。
いや、そういうことじゃなくて……となるだろう。
それくらい、パッパラパーなことを言っているのだ。
だいたい、
と立候補したのは、上司自身だろう。
これがもし、抽選で選ばれて、給料も平社員と同じなのだとしたら、めちゃくちゃ同情する。
でも、少なくとも僕の職場では、管理職になるためには
自分で立候補して
昇進試験を受けて
重役との面接を突破
しなければならない。
強制的になったのではなく、自分から
と言い出したのだ。
恐らく重役との面接でも、「マネジメントちゃんとやります!」という旨のことを、ほぼ間違いなく言っているはずだ。
管理職は平社員よりも高い給料と、高いステータスを手に入れた。
そして、それと引き換えに、大きな責任を背負っているのだ。
その責任とは、
部下の仕事内容の責任を負うこと
仕事の進捗を管理すること
職場での部下のメンタルを担保すること
である。
ミスが発生したときに、「担当の不注意」と言い訳をする人がいるが、それを確認するのが管理職の仕事だ。
部下に「あんまり残業するなよー」と、うわべだけの声掛けをするのではなく、そうできるように進捗を管理し、采配を振るうのが管理職の仕事だ。
部下のメンタルを追い込むのではなく、安定させるのが管理職の仕事だ。
そして、これらを
と言ったのは、紛れもなく管理職自身なのである。
万が一、実際に管理職になってみて、「どうしても自分にはできない」と思ったら、潔く降格を申し出るべきだろう。
ところが実際は、それらすべての責任を放棄して、自分よりも給料の低い部下に責任を押し付け、メリットだけを享受している。
この状況について、部下側が愚痴をこぼすことが、どう他責思考なのか。
誰かから
と言われてしまったらショックを受けるし、自分が悪いのかと落ち込んでしまうかもしれない。
しかし、ここで怯んではいけない。
自分の責任の範囲外であることは、きっぱりと「それは自分の仕事ではない」と表明することが必要だ。
それは他責思考なんかではなく、本来感じる必要がないストレスから身を守るための、一種の護身術みたいなものだ。
他人はそこまで気を使ってくれない。
自分の心身の健康を守ることこそが、自分の最大の責務。
これこそが、最も他責思考になってはいけないことなのだ。
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