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ハンキ―パンキー

ハナレグミさんが歌うと聞き入ってしまうし、歌われている世界観っていうのはかなり日常に近い。
すごいパリピな人の人生を歌った曲だったとしても、「あ、それわかるわ」みたいな錯覚に陥ってしまいそう。というか陥ってると思う。

実際、この”ハンキ―パンキー”っていう言葉は、恐らく”hanky-panky”であり、
意味としては、不正やいんちき、性愛の戯れ というようなものだそうだ。
https://eow.alc.co.jp/search?q=hanky-panky
すこし砕けた表現のようで、皮肉めいたときやからかう際に使われるみたい。
https://britisheigo.com/british_word/11357.html#hanky-panky-2

「ハンキーパンキー 遊ぼうよ 答えは一つだけじゃないんだよ ハンキーパンキー 楽しいと 素直に言えるほうが素敵だよ」というサビもそう聞こうとすると、最初に聞いた印象と違って見えてくると思う。
また歌詞全体を見渡してもまた違ってくる。

ただ、
なんだ、ただのイチャイチャしたいがために別れたくないと嘆いている人の歌だったのか。。。
と落胆する必要はないと個人的に思う。
だって、そういう気持ちあるでしょ?

なんとなく別れたくないし、別れたとしてもズルズルと引きずってしまうのって、あるでしょ?
戯れたいからでしょ。引きずるのは。
んで、別にその対象って大体”その人”っていうよりかは、”その人といた記憶”だったりするよね。
実存より実質を求めてしまう気持ちってあるよね。
本当はその人じゃなくて別のヒトで埋めようとしちゃったりさ。
そういう人前では隠しておきたい心の根っこの隅をつつくのがハナレグミさんの歌声であり、世界観なんだろうなと思った。


で、もうちょっと歌詞全体を見渡してみたらさ、
「これ誰を皮肉っているんだろう」って思ったのさ。
もしかしたら、自分自身に向けて歌っている?

「ハンキーパンキー 遊ぼうよ 誰も君を奪えやしないんだよ ハンキーパンキー 出ておいで 誰かのためなんて生きれないよ ハンキーパンキー 遊ぼうよ 答えは一つだけじゃないんだよ ハンキーパンキー 楽しいと 素直に言えるだけでいいんだよ」
お前が引きずっているのはただ、性愛の戯れがしたいだけなんだろ?
それを抑えてきれいごと言ってないで、そう思いたいならそう思っとけ、歌っとけ。って、
自分自身を皮肉ってる感じだともとれるんじゃないかな。

僕は小学生のときに担任の先生が持ってきたであろう、ハナレグミさんのアルバムの「家族の風景」をクラスのラジカセで聞いて、ハナレグミさんにのめり込んだ。
そこから数年たち少しは成長した後でも、ここまでハナレグミさんの歌が響くのはなんでだろうって考えた。
1つは、冒頭でもいった、人々の心の根っこの隅をつつくからなのではということ。
もう1つは、自虐であるからなのではないかということ。

自分を律するために他者や外の環境を観察することは重要なんだけど、それらはどこまでいっても所詮情報でしかないわけで。
その情報をどう処理して自分の栄養とするのか、うんことするのか。このような選択をすることしか、律するという行動は生まれない気がする。

人間なんてすぐ調子にのる。それは律すること、選択することが苦手だからだ。
自分じゃない他者や環境に選択権を持ってもらった方がラクだし、いざとなったら責任転嫁できるから都合がいい。
別にそれが悪いとも思っていない。だって苦手なんだもん。しょうがない。

でも僕みたく、少しでもそれに抗ってみようという好奇心が働く人は割とたくさんいる。
だから、自分で選択しようとしてみるんだ。自分を律しようとしてみるんだ。
するとどうなるかって?
大体は疲れちゃうんだ。
だって苦手なんだもん。他者や環境に依存した方がラクなんだもん。
なんでこんな大変なことしてるんだって、なるもん。
いわゆる自虐だよね。

でも僕は思うんだけど、そういう人って素敵だよね。なんか抗ってる感じが最高にダサいし、イタイんだけど、イカしてるんだよね。
なんか不器用な感じが人間っぽいなーって思うんだよね。(僕自身がそう思いたいだけなのかもしれないけど。。。)

こういう人が巷でいう”個性”ってやつを手にするんだろうね。だって、自分で選択してるんだもん。(選択する意思を持とうという志向性を信じてるっていった方がいいのかな)
だから僕はそういう人を素敵だなって思うし、素敵ですっていうようにしてる。
意外と多いよ。素敵なヒト。

素敵な人たちは真面目でいい人。だからいい。
自虐っていうのはそういう人たちの特権であり、とてもいいことだと思う。

だいぶ話脱線したけど、
僕がハナレグミさんの歌に響いているのはそういう理由もあるんだと思う。

ハンキ―パンキー遊ぼうよ。
っていう自虐をしながら、日々を生きていくしかないし、さらけ出していったほうが素敵だよね。っていう話でした~。


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