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仮放免の子どもたちが描く「家族の絆」~絵画展・作文展~【イベント報告】

概要

 2022年8月19日(金)に、「入管を変える!弁護士ネットワーク」主催で上記イベントを開催しました。共催として、BONDメンバーは当日までの準備および当日運営に関わりました。
 イベントの展示には作文と絵画があり、作文は中学生〜大学生の作品が中心、絵画は小学生の作品が中心となりました。来場者は、メディア、一般参加など、合計で約80名となりました。
 午前中はメディアが入り、絵画と作文の授賞式が行われました。午後は一般公開で、支援者や当事者のほか、SNSなどで興味を持って来た方などが来場しました。

開催趣旨

 イベントの開催目的は、主に未成年の仮放免者の存在を、絵や作文を通して可視化させ、日本生まれ育ちの子どもやその家族まで強制送還の対象になっていることに反対する世論を形成することです。

 退去強制令が出された外国人のうち約1%の人たちは、どうしても国籍国に帰れない切実な事情を抱えています。彼らの多くは難民です。それに、日本人または在留資格を持つ外国人と結婚していたり、家族、子どもがいたりする人は、強制送還により家族が離れ離れになってしまう可能性があります。。数十年日本に暮らして、生活基盤が日本にしかない人もいます。

 特に、今回のイベントでフォーカスした未成年の仮放免者は、日本で生まれ育ったにもかかわらず在留資格がなく、仮放免の状態に置かれています。仮放免であることを理由に、大学進学を断られることもあります。さらに、働くことを禁止されているので、将来の夢や希望を持つことさえ絶望的な状態に置かれているのです。

 入管は、何も悪いことをしていない、ただ一生懸命日本で生きている子どもたちとその家族の未来を奪い、さらには彼らの切実な事情などお構いなしに強制送還しようとしています。

 また、未成年の仮放免者の多くは、自分の置かれた境遇について、学校などでごく近しい人にしか打ち明けることができないジレンマも抱えています。本来であれば、社会のなかで孤立している彼らの存在に、しっかり光が当たって救済されなければなりません。しかし、誤解や偏見により危害が及ぶリスクが存在するため、彼らは自分たちの声を届けることができないのが現状です。この状況を招いている根本原因は、過去から現在に至るまで外国人をご都合主義的に扱い、事情があって帰国できない外国人に対しても帰国を強硬に迫る、という入管による民族差別・人権侵害です。これは抜本的に変えていかなければなりません。

参考:『基調報告 入管の民族差別・人権侵害と闘う2.16院内集会』(入管闘争市民連合)

参加したBONDメンバーの感想

⚫︎Aさん
「強制送還は日本で生まれ育った子どもたちからしたら知らない国への追放です。家族や友達、恋人、仲間がいて、自分の全てがある日本から追放されようとしていることに理解ができません。絶対にしてはなりません。
細かいことや大人の事情など子どもは知りません。日本で安心安全に住み続けられる権利と資格を今すぐに与えてください。深刻で差し迫った、当事者は今もずっと苦しめられている問題なのです。入管問題の当事者は私たちと同じ人間です。個性豊かで、考え、思いや願いを持って生きているのです。
絵画展に来てくれた方の多くは、作品を一つ一つ時間をかけて見ていました。それだけ子どもたちの切実な素直な思いが描かれていたのだと思います。自分が描いた絵を見に来た子どもたちはとても嬉しそうでした。こうした子どもたち、家族が一刻も早く安全に安心して日本で暮らせるようにしなければなりません。」

⚫︎Bさん
「年齢を問わず、家族が皆で一緒にいる絵が多かった。それが皆の願いだからだろう。さらにそれぞれの顔が皆笑顔!もちろんこれも皆の願いに決まっている。しかし現実はどうだろう。すでに日本の学校に通い、友達もいて、社会に適応して生活しているのに、在留資格がないという理由で、様々な制約を受け、将来の不安を抱えながら暮らすという理不尽さ。日本政府はなぜそんなことすら想像する心がないのか理解に苦しむ。子どもたちに悲しい思いをさせない大人の責任を感じて欲しい。今すぐ子どもたちに在留特別許可を!という思いを新たにした。引き続き日本の皆さんにこの現実を知ってもらえるよう行動したい。」

⚫︎Cさん
「準備の時に驚いたのは、作文や絵画に子どもたちが記した名前を、付箋等で隠したことです。このような子どものためのイベントに参加することでさえ、警戒しなくてはならないという、入管の酷さを改めて感じました。国籍にかかわらず、子どもが希望を持って生きていけるようにするのは、大人の責任だと改めて感じました。」

⚫︎Dさん
「当事者の子どもたちは、日本の政府による理不尽な理由で表に出ることが難しく、公になりにくい問題です。そのため、彼らの生の感情に触れることができるのは貴重な機会だったと思います。作文や絵画からは彼らの家族が大好きな気持ちや夢をあきらめなくてはいけなかった悔しい気持ちが痛いほど伝わってきました。できるだけ多くの人がこの問題に目を向けて、少しでも早く解決するべきだと考えています。」

⚫︎Eさん
「当事者の子どもたちの思いに触れて、改めて理不尽な大人の都合で子どもたちの夢や家族との時間を奪ってはいけない、日本を母国と思ってくれている存在を大切にしたいと思いました。」

BONDからの今後に向けたメッセージ

 今秋にも政府与党は、様々な事情から帰国できない外国人の人権を無視した入管法改悪案を再提出しようとしています。この改悪法案が成立すれば、今回のイベントで絵や作文を寄せてくれた未成年の仮放免者たちをさらに苦しめる事に繋がります。

入管法改悪案は、彼らに対する人権侵害を正当化し加速させるものです。絶対に提出・成立させてはなりません。

日本に暮らす人々は、彼らの存在・声があるということを無視してはなりません。

彼らに一刻も早く在留資格を出すよう、真の意味での多文化共生社会にするよう、彼らに連帯し声を上げていきましょう。

入管問題の当事者、入管法改悪についてもっと知りたい方は、是非こちらのtweet解説画像をご覧ください。⇩


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