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タクシーの運転手さんが真夜中にお墓参りに行ったら、塔婆が揺れた話
怖さ:☆☆☆
コロナの感染予防ということもあって、なんとなく車の中での会話は控えた方が良いかなと、タクシーに乗っても運転手さんに話しかけることはせず、行き先だけを伝えて、後は黙って座席の前についている小さなモニターに映るCMを見ていました。
ですが、このところ感染者数が減ったというニュースを読んだり、またワクチン接種も終えたこもとあったので、先日タクシーに乗った時に、思い切って運転手さんに「なんか怖い話あります?」と尋ねてみました。
「僕は幽霊とかそういうの全く信じないんで、怖い話なんてないですよ」と即答でした。
残念ですが仕方がありません。しばらくは世間話をしていたのですが、話が途切れてしまいました。ちょっと沈黙があった後、「お墓で塔婆が揺れたことはありますけどね」と突然おっしゃったのです。
「夜中の2時ごろお墓参りに行ったら、塔婆が揺れてカタカタ音がしたんです。風もなかったんですよね」
真夜中にお墓参りに行く、そのシチュエーションが不思議だったので「どうしてそんな夜中にお墓参りに行ったんですか?」と尋ねると、「バイクでたまたま近くを通ったんで」と教えてくれました。
今から20年ほど前、タクシーの運転手さんがオートバイでツーリングをしていた時のことです。茨城県の実家の近くを通りました。
すでに夜中の2時くらいを回っていましたが、近くに実家のお墓があったので、「しばらくお墓参りにも行ってなかったし、お参りをしよう」と思い立ちました。
運転手さんの実家のお墓は、お寺が経営する霊園の中にあります。
深夜の霊園に入って、実家のお墓のところに行きました。
すると、卒塔婆がカタカタを音を立てて揺れました。
風が吹いたわけでもないし、その時は不思議だなと思って霊園を出たそうです。特に怖いとかそんな感じはなかったそうです。
「真夜中の霊園って灯りとかはあるんですか?」と尋ねると、「灯りはなかったかな?でも月明りなのか真っ暗ではなくて、お墓参りはできましたよ」とおっしゃっていました。
運転手さんは「全然怖くなくてすみませんが、その程度の話しかないです」と恐縮されていましたが、盛ったり脚色したりしない、そのままの体験談を聞かせていただけて、私はとても嬉しかったです。
話し手:タクシーの運転手(男性)
採取時期:2021年10月
採取場所:東京都内
「お墓」のなんか怖い話
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