短評:「鬼」浄土るる、小学館「第85回新人コミック大賞」第84回佳作作品

「鬼」浄土るる(17歳・群馬県)、小学館「第85回新人コミック大賞」第84回佳作作品 Twitter経由で知ってオンラインで読む

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学校のいじめと母子家庭でのDVにさいなまれつつ、うまくすりぬけてゆこうとする主人公 学校では同じ境遇の転校生に出会い、友だちになるが、しかし・・・という話である

作家としては出発点みたいな作品 たぶん自分の体験をベースにしている 体験そのままではなくても、おそらく現在の学校や家庭で十分起こりえる状況を描いている いっしゅのドキュメンタリー的な作品といえそう

その状況での心の軋みを一歩突き放した視点をとりつつ描いているという点で 琴葉とこ(「メンヘラちゃん」)や、山田花子(「花咲ける孤独」)などに通じる流れと言えそうだ

実録、告白、私小説というスタイルはこれまでにもある

マンガやオンライン投稿などのチャネルが開かれたことで 非プロフェッショナルが かなり私的な視点から なおかつ多様な表現になれた高いレベルでこういった作品を作る機会が増えているのだろう

でもそういった題材がセラピーだけではなく、内田春菊や西原理恵子のように 儲けに直結できるしたたかさがないと商業作家としては続けてゆけないだろう